近年、小学生のうちから英検(実用英語技能検定)に挑戦する子どもが増えています。
以前は中学生や高校生が受験する資格というイメージが強かった英検ですが、今では小学生が3級や準2級、さらには2級以上に合格したという話題も見かけるようになりました。
2026年10月13日には、東洋経済オンラインで「中学受験はやめて英検取得」という動きを取り上げた記事が公開されました。
参考:東洋経済オンライン「中学受験はやめて英検取得」令和に広がる小学生の英検トレンド
中学受験に向けた勉強だけでなく、子どもの得意な英語を伸ばすことに力を入れる家庭があるという内容です。
では、なぜ小学生の英検受験がこれほど注目されるようになったのでしょうか。
今回は、日本英語検定協会の公式データや教育制度の変化を確認するとともに、実際に子どもに英検を受験させた保護者の体験談も交えながら、その背景を詳しく解説します。
小学生の英検受験者数は10年間で約1.5倍に増加
まずは実際のデータを確認してみましょう。
日本英語検定協会が2025年8月に公表した「統合報告書2025」によると、2024年度に英検を受験した小学生は37万5,991人でした。
これは2014年度と比較すると約1.5倍にあたります。
さらに注目したいのは、受験する級が変化していることです。
| 英検の級 | 2014年度との比較 |
|---|---|
| 4級 | 約1.6倍 |
| 3級 | 約1.9倍 |
| 準2級 | 約2倍 |
特に3級や準2級といった比較的難しい級の受験者数が増えていることが分かります。
英検3級は中学校卒業程度、準2級は高校中級程度の英語力が目安です。
つまり、単に英検を受験する小学生が増えたのではなく、これまで中学生や高校生が中心だったレベルに挑戦する小学生も増えているということです。
同協会は、CEFRと呼ばれる国際的な英語力の指標でも、A1(3級相当)やA2(準2級相当)の水準に到達する小学生が増加していると報告しています。
出典:日本英語検定協会「統合報告書2025・小学生の英語力向上の状況」(PDF)
ただし、ここで紹介したのは受験者数の増加であり、合格者数が同じ割合で増えているわけではありません。
また、受験者数が毎年増加し続けているという意味でもありません。長期的な傾向として、小学生の英検受験が広がってきたと理解するのが正確でしょう。
なぜ小学生の英検受験が増えたのか?考えられる5つの理由
1. 小学校で英語を学ぶ時期が早くなった
大きな理由の一つが、小学校における英語教育の変化です。
2020年度から実施された学習指導要領では、小学3・4年生で外国語活動、小学5・6年生で正式な教科として外国語を学ぶことになりました。
以前は中学校から本格的に学ぶイメージが強かった英語ですが、現在では小学校の段階から英語に触れることが当たり前になっています。
学校で習った英単語や簡単な会話を家庭で復習したり、英語教室で学んだ内容を授業で活用したりと、英語に接する機会が増えています。
こうした環境の変化によって、学校の勉強だけでなく、資格試験にも挑戦してみようと考える家庭が増えた可能性があります。
日本英語検定協会も、小学校での外国語の教科化や学習到達目標の明確化が、児童の英語力向上につながった可能性を指摘しています。
2. 中学受験で英検を評価する学校がある
小学生の英検受験が注目される理由として、中学受験での活用も見逃せません。
一部の私立中学校では、英検の取得級によって入試で優遇を受けられる制度を設けています。
例えば、英検の取得級に応じて加点を受けられたり、英語試験の得点に換算されたりする場合があります。
中学受験というと、国語・算数・理科・社会の勉強を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、学校によっては英語力を評価する入試制度があるため、英検を取得しておくことが進路選択の一つの材料になります。
特に英語が得意な子どもにとっては、自分の強みを受験に生かせる可能性があることは魅力でしょう。
ただし、英検による優遇はすべての中学校で実施されているわけではありません。
対象級や加点内容も学校によって異なり、制度そのものが変更される場合もあります。
中学受験を目的に英検を取得するのであれば、志望校の募集要項を確認することが重要です。
3. 中学受験より英語学習を優先する家庭もある
2026年10月13日に公開された東洋経済オンラインの記事では、中学受験から英語学習に重点を移す家庭の動きが紹介されています。
中学受験では複数の教科を長期間にわたって勉強する必要があり、子どもによっては負担が大きくなることもあります。
一方、英語学習は中学校、高校、大学、さらに社会人になってからも役立つ可能性がある分野です。
英語が好きな子どもであれば、苦手な教科を無理に伸ばすよりも、得意な英語をさらに伸ばすという教育方針も考えられます。
もっとも、英検の取得と中学受験は必ずしも対立するものではありません。両方に取り組んでいる家庭もあります。
また、中学受験をやめて英検に切り替える家庭が全国的にどの程度増えているのかを示す十分な統計があるわけではありません。
今回のニュースは、進路選択における新しい考え方の一例として捉えるのが適切でしょう。
4. 高校・大学受験を見据えて早くから勉強している
英検が活用されるのは中学受験だけではありません。
高校や大学でも、英検の取得級やCSEスコアを評価する学校があります。
小学生のうちに5級や4級を取得し、中学生で3級や準2級、高校生になってから2級以上を目指すというように、段階的な学習目標を立てられることも特徴です。
特に英語は、単語や文法、リスニングなどを継続して積み重ねる必要がある教科です。
小学生のうちに基礎を身につけておけば、中学校で本格的な文法学習が始まったときにも、余裕を持って取り組める可能性があります。
ただし、大学入試などでは一定期間内に取得したスコアのみを認める制度もあります。
小学生のうちに英検を取得すれば、その資格が将来の入試で必ず有利になるというわけではありません。
5. 学習の成果が資格として残る
英検には、努力の成果を目に見える形で確認できるという特徴があります。
学校のテストではクラスや学校内での成績を確認できますが、英検では全国共通の基準に基づいて英語力を測ることができます。
特に小学生の場合、資格取得そのものが勉強のきっかけになることもあるでしょう。
例えば、英検5級に合格したことで自信がつき、次は4級に挑戦したいと考えるようになるケースも想像できます。
英語学習は成果が分かりにくいこともありますが、明確な目標があることで勉強を継続しやすくなる子どももいます。
一方、合格だけを目標にしてしまうと、英語を楽しむ気持ちが薄れてしまう可能性もあります。
資格の取得は大切ですが、英語力を伸ばすための手段であることを忘れないようにしたいところです。
実際に小学生に英検を受験させた保護者の口コミ・体験談4選
ここからは、実際に子どもが英検を受験した家庭の体験談を紹介します。
英検の早期取得というと、順調に勉強して合格した話ばかりを想像するかもしれません。
しかし、実際の保護者の声を見ると、勉強の進め方に苦労したり、試験当日に不安を感じたりと、さまざまな経験があることが分かります。
以下は、公開されている保護者本人の体験記事を要約したものです。
口コミ1:小学3年生で英検5級に合格!勉強では親子の衝突も
小学3年生の息子を持つ保護者が、英語の学習経験がほとんどない状態から、約2か月半で英検5級に合格した経験を紹介しています。
学校で英語に触れ始めたものの、当初は英語に対して苦手意識があったそうです。
そこで、塾に通わせるのではなく、家庭で英検の勉強に取り組むことにしました。
目標があると頑張れるという子どもの性格に合わせて学習を進めた一方で、親子で勉強することによる衝突もあったと振り返っています。
英検5級は最も易しい級ですが、英語を初めて学ぶ小学生にとっては決して簡単な試験ではありません。
この体験談からは、家庭学習だけでも合格を目指せる一方、保護者が勉強を支える難しさも伝わってきます。
出典:節約生活研究所「小3英語ゼロから2ヶ月半!塾なしで英検5級に合格した親子のドタバタ体験記」
口コミ2:小学4年生で準2級に合格!それでも親は不安だった
家庭で英語学習を続けてきた子どもが、小学4年生で英検準2級に合格したという体験談もあります。
この家庭では、小学1年生で5級、小学2年生で4級、小学3年生で3級を受験し、小学4年生で準2級に挑戦しました。
ただし、毎回順調に試験を受けられたわけではありません。
保護者によると、試験当日に子どもが受験を嫌がったり、会場の雰囲気に圧倒されたりすることもあり、受験させる判断が本当に正しかったのか悩むこともあったそうです。
準2級の受験前も、長文読解への対応や試験時間の使い方などについて、親子で工夫を重ねています。
最終的には合格しましたが、保護者は子どもが無理をしていないか気にかけながら受験を支えていたことが印象的です。
小学生の英検受験では、英語力だけでなく、試験という慣れない環境への対応も重要であることが分かります。
出典:note「ある小学4年生の英検準2級体験記&英検を受けさせる親の心境」
口コミ3:小学6年生で準2級に合格!本人の希望が勉強の原動力に
小学6年生の長男が英検準2級に合格したという保護者の体験談では、受験のきっかけが紹介されています。
この家庭では、子どもが志望する公立中高一貫校の英語教育方針を知り、本人が小学生のうちから準2級を目指したいと希望したそうです。
小学4年生で5級・4級、小学5年生で3級に合格し、6年生で準2級に挑戦しました。
合格までの道のりは決して簡単ではありませんでした。
一次試験後の自己採点では本人が不合格だと思い込み、精神的に落ち込んでしまったこともあったといいます。
しかし、最終的には準2級に合格。
保護者は、級が上がるにつれて子どもが自主的に学習できるようになったことにも触れています。
この事例で注目したいのは、親が一方的に受験を決めたのではなく、本人の希望が勉強を続ける動機になっていたことです。
出典:苦手なことは子育てです「小学生が英検準2級に合格しました|一次試験から二次試験までの記録」
口コミ4:小学生の英検S-CBT受験では、試験方式にも注意が必要
小学生の子どもと一緒に英検S-CBTを受験した保護者は、パソコンを使う試験ならではの注意点を紹介しています。
英検S-CBTは受験日の選択肢が多いなどのメリットがありますが、試験はパソコンを使って進めるため、通常の筆記試験とは異なる準備が必要になります。
この保護者は、事前に試験の流れを確認しておくことが重要だと説明しています。
特に小学校低学年の場合は、英語の問題そのものだけでなく、試験環境に対する不安が大きくなる可能性があると感じたそうです。
そのため、子どもの年齢や性格によっては、従来型の英検を選んだ方がよい場合もあるとしています。
英検というと勉強方法ばかりに目が向きがちですが、受験方式の選択や当日の準備も、保護者にとって大切な役割であることが分かります。
出典:親子でおうち英語 モモシロップ「小学生の英検S-CBT体験談!親子で受験してわかった注意点」
保護者の体験談から見えてくる共通点
4つの体験談を見てみると、英検を受験する理由も、勉強方法も、子どもの性格もそれぞれ異なります。
英語の勉強を始めて間もない状態から5級に挑戦する家庭もあれば、幼い頃から英語に触れ、上位級を目指す家庭もあります。
共通しているのは、子どもの英語力だけでなく、保護者によるサポートが受験に関わっているという点です。
小学生の場合、受験の申し込みや日程管理、試験会場への移動、勉強の進み具合の確認など、子ども一人では難しいことが少なくありません。
また、勉強の理解度が十分でも、試験当日に緊張したり、思うような結果が出ずに落ち込んだりすることもあります。
一方で、目標を達成することが自信につながり、次の級に挑戦する意欲を生む場合もあるようです。
英検を受験させるかどうかは、周囲の子どもの取得級だけで判断せず、本人の興味や学習状況を確認しながら決めることが大切でしょう。
※ここで紹介した4件は個人の体験談です。すべての家庭で同じ結果や効果が得られることを示すものではありません。
小学生は英検何級を目指すのがよい?
英検を受験させようと考えたとき、保護者が気になるのが「何級から受験するべきか」という点でしょう。
英検には、各級の英語力の目安が設定されています。
| 英検の級 | 学習レベルの目安 |
|---|---|
| 5級 | 中学初級程度 |
| 4級 | 中学中級程度 |
| 3級 | 中学卒業程度 |
| 準2級 | 高校中級程度 |
| 準2級プラス | 高校上級程度 |
| 2級 | 高校卒業程度 |
英語初心者なら5級からでも十分
英語を本格的に学び始めたばかりの小学生であれば、5級から挑戦する方法が考えられます。
5級は中学初級程度の英語力を測る試験ですが、英語の読み書きに慣れていない小学生にとっては、十分に挑戦しがいのある内容です。
特に小学3・4年生では、学校の外国語活動で英語の音や表現に親しんでいても、英単語を読むことや書かれた英文を理解することには慣れていない場合があります。
そのため、英会話が得意だからといって、必ずしも英検の問題を簡単に解けるとは限りません。
まずは過去問を確認し、本人が無理なく取り組めそうな級を選ぶことをおすすめします。
3級からはライティングや面接への対策も必要
英検3級以上では、一次試験でライティングが出題され、二次試験では面接形式のスピーキングテストが実施されます。
そのため、単語や文法を理解するだけでなく、英語で自分の考えを伝える力も求められます。
特に小学生の場合、日本語でも考えをまとめることが難しいテーマに直面することがあります。
英語力が十分にあっても、質問に対する意見を考えたり、理由を説明したりすることに苦労する可能性があります。
級を上げる際は、英語そのものの理解度だけでなく、試験で求められる表現力にも目を向けたいところです。
小学生のうちに英検を取得するメリット
中学校の英語学習に余裕を持てる可能性がある
小学生のうちに英単語や基本的な文法を学んでおけば、中学校で同じ内容を学習したときに理解しやすくなる可能性があります。
また、英語を聞くことや英文を読むことに慣れていれば、授業への抵抗感も小さくなるかもしれません。
ただし、英検の合格が中学校での成績向上を保証するわけではありません。
合格後も英語学習を継続し、学んだ内容を定着させることが大切です。
自信や達成感につながる
合格という明確な結果が出ることは、子どもにとって大きな達成感になる場合があります。
特に、それまで勉強があまり得意ではなかった子どもが、自分の好きな英語で資格を取得できれば、学習に対する自信につながる可能性があります。
もちろん、合格できなかったとしても、それまでの勉強が無駄になるわけではありません。
試験結果を通して苦手な分野を確認し、次の学習に生かすことも英検の活用方法の一つです。
英語を学び続ける目標になる
英語学習では、どこまで勉強すればよいのか分からなくなることがあります。
英検は5級から1級まで段階的に試験が用意されているため、具体的な目標を設定しやすい資格です。
ただし、次の級に進むことだけを目標にせず、日常会話や読書など、実際に英語を使う経験も大切にしたいところです。
小学生の英検受験にはデメリットもある?
英検の早期取得にはさまざまなメリットがありますが、注意点もあります。
資格取得が目的になってしまう可能性
最も気をつけたいのは、英語力を伸ばすことよりも、合格すること自体が目的になってしまうケースです。
試験対策では、頻出単語や問題の解き方を覚えることが必要になります。
しかし、問題集では高得点を取れるのに、実際の会話では英語が出てこないということも考えられます。
合格後も英語の動画を見たり、英語で会話したり、興味のある本を読んだりするなど、学んだ英語を使う機会を持つことが大切です。
勉強の負担が大きくなる場合がある
小学生は学校の宿題だけでなく、習い事やスポーツ、友達との遊びなど、さまざまな活動に時間を使います。
そこに英検対策を追加することで、自由な時間が減ってしまう場合があります。
特に上位級になると覚える単語が増え、長文読解やライティングへの対策も必要です。
周囲の子どもが準2級に合格したからといって、同じ級を急いで目指す必要はありません。
親子関係に影響する可能性も
保護者の体験談にもあったように、家庭で勉強を教える場合には、親子で衝突することがあります。
保護者は合格させたいと思っていても、子ども本人は英検を受けたいと思っていない場合もあるでしょう。
特に小学生の場合、勉強を嫌がる理由が、英語そのものの難しさではなく、疲れや遊びたい気持ちにあることも考えられます。
無理に勉強を続けさせるのではなく、本人が英語に興味を持って取り組める環境を整えることが重要です。
小学生の英検受験に関するよくある質問
小学1年生でも英検を受験できる?
英検には原則として年齢制限がないため、小学1年生でも受験できます。
ただし、試験問題を理解する英語力だけでなく、解答用紙への記入や試験中の指示を理解する力なども必要です。
年齢が低い場合は、事前に過去問を使って試験形式に慣れておくとよいでしょう。
英語教室に通わなくても合格できる?
英語教室に通っていなくても、家庭学習で合格を目指すことは可能です。
実際に、家庭での学習を中心に英検5級に合格した保護者の体験談もあります。
ただし、必要な勉強時間や対策方法は、子どもの英語経験や受験級によって異なります。
小学生で英検3級に合格したらすごい?
英検3級は中学校卒業程度の英語力が目安とされているため、小学生のうちに合格することは評価できる成果といえるでしょう。
ただし、英検の取得級だけで子どもの英語力全体を判断できるわけではありません。
特に英語でのコミュニケーション能力は、試験結果だけでは測りきれない部分もあります。
小学生で英検2級に合格することは可能?
英検2級には年齢制限がないため、小学生でも受験できます。
ただし、2級は高校卒業程度の英語力が目安であり、語彙や読解、ライティングなどで高度な内容が求められます。
小学生で2級に合格する例もありますが、それをすべての小学生が目指すべき標準的な目標と考える必要はありません。
小学生の英検は中学受験に必ず有利になる?
必ずしも有利になるわけではありません。
英検の取得級を評価する中学校がある一方で、英検による優遇制度を設けていない学校もあります。
志望校が決まっている場合は、入試要項を確認したうえで受験級を検討するとよいでしょう。
小学生の英検取得は増加傾向。ただし早期取得だけを目標にする必要はない
小学生の英検受験者数は、この10年間で約1.5倍に増加しました。
その背景には、小学校での英語教育の早期化、中学受験での優遇制度、将来を見据えた英語学習など、さまざまな要因があると考えられます。
また、中学受験だけにこだわらず、子どもが得意とする英語を伸ばすという教育方針も注目されています。
実際に英検を受験させた保護者の体験談からは、合格による達成感がある一方、勉強の負担や試験当日の不安など、さまざまな苦労も見えてきました。
英検を早く取得することにはメリットがありますが、何年生までに何級を取らなければならないという決まりはありません。
子どもが英語を楽しいと感じ、自分から学び続けたいと思えることも、大切な成果です。
英検の取得級だけで他の子どもと比較するのではなく、一人ひとりの成長に合わせて学習を進めていくことが、長期的な英語力の向上につながるのではないでしょうか。


