救急救命士試験とは
救急救命士として働くために必要な国家資格を取得するための試験です。救急救命士は、救急現場や救急車内で傷病者の観察や応急処置を行い、医師の指示のもとで一定の救急救命処置を実施する医療専門職です。
試験では、人体の構造と機能、疾病や外傷、救急医学、救急処置、搬送、医療倫理、関係法規など、救急医療に必要な幅広い知識が問われます。限られた時間と情報の中で傷病者の状態を判断し、適切な処置や医療機関への搬送につなげる力が重要になります。
合格後は救急救命士名簿に登録され、消防機関、救急医療機関、民間救急、医療搬送、災害対応関連などで働くことができます。救急医療の最前線で命を守る役割を担う、責任と実務性の高い資格です。
救急救命士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(名称独占資格) |
| ジャンル | 医療・心理 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 文部科学大臣指定の学校、または都道府県知事指定の救急救命士養成所で必要な知識・技能を修得した者・修得見込みの者、救急業務に関する一定の実務経験を有し養成課程を修了した者、外国の救急救命士に関する学校・養成所を卒業した者、または外国で救急救命士に相当する免許を取得し、厚生労働大臣の認定を受けた者など |
| 試験日程 | 年1回。例年3月ごろに実施 |
| 試験方法 | 筆記試験 |
| 免除科目 | なし |
| 試験場所 | 北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県 |
| 受験料 | 30,300円 |
| 登録・更新 | 合格後、救急救命士名簿に登録することで救急救命士免許を取得。救急救命士免許自体に定期更新制度はありません |
| 問い合わせ | 一般財団法人 日本救急医療財団 |
| 関連資格 | AED管理士 医師 看護師 消防設備士 |
救急救命士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 3月8日 | 1月5日~1月23日 | 3月31日 |
救急救命士試験の試験内容
救急救命士として必要な医学知識、救急処置、観察・判断、搬送、救急現場での対応力を確認する国家試験です。試験は筆記試験で行われ、一般問題と状況設定問題で構成されます。
出題範囲
出題範囲は、基礎医学、臨床救急医学総論、臨床救急医学各論、救急症候・病態生理学、疾病救急医学、外傷救急医学、環境障害・急性中毒学などです。厚生労働省の試験科目では、基礎医学、臨床救急医学総論、臨床救急医学各論、病院前医療活動概論、救急救命処置概論などが整理されています。
心肺停止、気道確保、人工呼吸、循環管理、外傷、急病、中毒、熱傷、感染症、精神科救急、小児・妊産婦・高齢者への対応など、救急現場で必要になる判断と処置に関する内容が中心です。
試験科目と出題数
試験は、一般問題と状況設定問題で構成されます。一般問題は1問1点、状況設定問題は1問2.5点で採点されます。必修問題と通常問題に分けて判定され、必修問題では救急救命士として特に基本的で重要な知識や判断力が問われます。
固定の科目別問題数で整理するより、基礎医学、臨床救急医学、病院前救護、救急救命処置に関する内容を、一般問題と症例形式の状況設定問題で確認する試験として考えるとよいでしょう。
合格基準
合格には、必修問題と通常問題の両方で基準を満たす必要があります。直近の合格基準では、必修問題が55点満点中44点以上、通常問題が220点満点中132点以上とされています。
必修問題は8割程度、通常問題は6割程度が目安です。総得点だけでなく、必修問題で基準を下回ると不合格になるため、救急救命士として必ず身につけるべき基礎事項を確実に得点することが重要です。
救急救命士試験の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | 3,524人 | 3,344人 | 94.9% |
| 2025年 | 3,436人 | 3,242人 | 94.4% |
| 2024年 | 3,330人 | 3,137人 | 94.2% |
| 2023年 | 3,255人 | 3,054人 | 93.8% |
| 2022年 | 3,263人 | 2,979人 | 91.3% |
救急救命士試験の難易度
養成課程で学んできた人にとっては合格を目指しやすい国家試験です。ただし、救急現場での判断に直結する内容が多く、医学知識だけでなく、限られた情報から傷病者の状態を見極める力が求められます。
この試験では、解剖生理、病態生理、内因性疾患、外傷、心肺停止、ショック、意識障害、呼吸困難、循環不全、小児・高齢者・妊産婦への対応、救急処置、救急医療体制、関係法規などが問われます。疾患名や処置名を覚えるだけでなく、症状やバイタルサインから緊急度を判断する力が重要です。
つまずきやすいのは、病態の理解と現場対応を結びつける部分です。胸痛、脳卒中、呼吸不全、外傷、熱傷、中毒、アナフィラキシーなどでは、何を優先して観察し、どの処置につなげるかを考える必要があります。知識が断片的なままだと、似た症状の問題で迷いやすくなります。
また、特定行為や医師の指示、搬送判断、観察項目など、救急救命士ならではの実務的な内容も重要です。救急現場では時間的余裕が少なく、患者の状態が急変することもあるため、医療安全やチーム連携を含めた判断力が問われます。
養成校や救急救命士課程での学習、実習を積み重ねてきた人であれば、極端に難しい試験ではありません。一方で、出題範囲は広く、医学知識・救急処置・現場判断を横断して理解する必要があるため、苦手分野を残していると得点が安定しにくい試験です。
資格を活かせる仕事
消防機関の救急隊、病院の救急外来、救命救急センター、民間救急、患者搬送、イベント救護、災害医療支援、医療機関の救急部門などがあります。特に、急病人や事故の傷病者に対する初期対応、救急車内での処置、医師や看護師への引き継ぎ、災害時の救護活動などでは、資格を直接活かすことができます。
救急救命士は、命に関わる現場で迅速な判断と処置を行う専門職です。現場では、限られた時間と情報の中で傷病者の状態を見極め、必要な処置を行いながら医療機関へつなぐ力が求められます。体力や冷静さだけでなく、観察力、判断力、チームで連携する力、家族や周囲への対応力も重要です。
就職・転職においては、救急医療や消防分野に直結する実用性の高い資格です。ただし、救急救命士の資格を取得しただけで消防職員として働けるわけではなく、消防機関で救急隊員を目指す場合は、各自治体の消防職員採用試験に合格する必要があります。
救急救命士試験は、救急医療の最前線で人命救助に関わりたい人に向いています。免許取得後も、消防や医療機関での現場経験を積みながら、救急対応、災害医療、病院前救護、救急外来などの分野で専門性を高めていくことで、仕事の幅を広げやすくなるでしょう。

