工事担任者試験とは
電気通信回線に端末設備や自営電気通信設備を接続する工事について、必要な知識と技術を認定する国家試験です。電話、インターネット回線、LAN、光回線などの通信設備に関わる工事で、接続工事を適切に行うための専門性が問われます。
資格区分は、総合通信、第一級アナログ通信、第二級アナログ通信、第一級デジタル通信、第二級デジタル通信に分かれています。総合通信はアナログ通信とデジタル通信の両方を扱える上位区分で、第一級はより広い範囲の工事に対応でき、第二級は比較的小規模な設備を対象とします。
試験では、電気通信技術の基礎、端末設備の接続に関する技術・理論、関係法規などが出題されます。定期試験に加えて、一部区分ではCBT方式による試験も実施されており、区分によって受験しやすい形式が用意されています。
通信工事会社、電気通信設備会社、インターネット回線工事会社、電気工事会社、ネットワーク関連企業などで活用しやすい資格です。通信設備の接続工事に関わる人や、電気通信分野で専門性を高めたい人に向いています。
工事担任者の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(必置資格) |
| ジャンル | 電気・無線 |
| 資格区分 | 総合通信、第一級アナログ通信、第一級デジタル通信、第二級アナログ通信、第二級デジタル通信 |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信は年2回。第二級アナログ通信・第二級デジタル通信はCBT方式で通年実施 |
| 試験方法 | 第一級・総合通信は筆記試験。第二級はCBT方式で実施 |
| 免除科目 | 科目合格者、一定の資格保有者、実務経験者、認定学校の修了者などは、申請により一部科目または全科目が免除される場合があります |
| 試験場所 | 第一級・総合通信は全国の指定試験地。第二級のCBT方式は全国のCBT試験会場 |
| 受験料 | 第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信:14,600円/第二級アナログ通信・第二級デジタル通信:9,800円/全科目免除申請は第一級・総合通信9,400円、第二級6,300円 |
| 登録・更新 | 試験合格後、総務省の地方総合通信局または沖縄総合通信事務所へ申請し、資格者証の交付を受けることで工事担任者となります |
| 問い合わせ | 一般財団法人 日本データ通信協会 |
| 関連資格 | 電気工事士 給水装置工事主任技術者 電気工事施工管理技士 管工事施工管理技士 |
工事担任者の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 第1回:5月24日 | 2月1日~2月25日 | 6月15日 |
| 第2回:11月22日 | 8月1日~8月21日 | 12月14日 |
工事担任者の試験内容
総合通信、第一級アナログ通信、第二級アナログ通信、第一級デジタル通信、第二級デジタル通信に分かれています。総合通信が最上位区分で、アナログ通信とデジタル通信の両方を含む広い知識が問われます。
試験は、電気通信技術の基礎、端末設備の接続のための技術及び理論、端末設備の接続に関する法規の3科目で構成されています。電気通信回線に端末設備を接続するために必要な、通信技術、設備構成、施工、ネットワーク、法令の知識が中心です。
出題範囲
総合通信
アナログ通信とデジタル通信の両方に関する知識が問われます。電話回線、PBX、配線設備、LAN、IPネットワーク、光アクセス、VoIP、情報セキュリティ、端末設備の接続技術などを幅広く理解しておく必要があります。
アナログ系の音声通信設備と、デジタル系のデータ通信設備の両方を扱うため、工事担任者の区分の中でも出題範囲が広い区分です。
第一級アナログ通信
アナログ伝送路や電話設備、PBX、配線設備、端末設備の接続など、アナログ通信設備に関する知識が問われます。
第二級アナログ通信よりも扱える工事範囲が広く、アナログ回線を利用した通信設備の施工、接続、保守に必要な技術を理解しておく必要があります。
第二級アナログ通信
アナログ通信設備の基本的な知識が中心です。電話回線、端末設備、配線、接続方法、保安器、屋内配線、通信品質などについて、基礎的な内容を理解しておく必要があります。
アナログ通信の仕組みや、端末設備を安全かつ適切に接続するための基本を確認する区分です。
第一級デジタル通信
デジタル通信設備、LAN、IPネットワーク、光ファイバ、ルータ、スイッチ、VoIP、情報セキュリティなどが問われます。
第二級デジタル通信よりも範囲が広く、より大規模なデジタル通信設備の接続工事に関する知識が必要です。ネットワーク構成、通信プロトコル、配線、光アクセス、障害対策などを整理しておくことが大切です。
第二級デジタル通信
デジタル通信の基礎、LAN配線、IP通信、端末設備、ネットワーク機器、情報セキュリティなどが出題されます。
家庭や小規模事業所で使われる通信設備を想定し、デジタル通信設備を正しく接続するための基本的な知識を確認する内容です。
電気通信技術の基礎
電気回路、電子回路、伝送理論、通信方式、電気通信の基礎計算などが出題されます。
通信設備を理解するための土台となる科目で、電圧・電流・抵抗、交流回路、デジタル信号、伝送損失、雑音、符号化などの基礎を押さえておく必要があります。
端末設備の接続のための技術及び理論
端末設備、配線、ネットワーク機器、施工方法、通信品質、保守、情報セキュリティなどが問われます。
区分によって、アナログ通信設備、デジタル通信設備、またはその両方の内容が出題されます。実際の接続工事に関係する分野のため、設備構成や施工上の注意点を理解しておくことが重要です。
端末設備の接続に関する法規
電気通信事業法、有線電気通信法、電波法、不正アクセス禁止法、端末設備等規則、工事担任者規則などが問われます。
端末設備を電気通信回線に接続する際の技術基準、工事担任者の役割、事業者や利用者に関係する法令を整理しておく必要があります。
試験科目と出題数
試験科目は、電気通信技術の基礎、端末設備の接続のための技術及び理論、端末設備の接続に関する法規の3科目です。
総合通信、第一級アナログ通信、第二級アナログ通信、第一級デジタル通信、第二級デジタル通信の各区分で、3科目について多肢選択式の試験が行われます。
科目合格制度があり、一部科目に合格した場合は、一定期間その科目の受験が免除されます。また、一定の資格や実務経験、認定学校の修了などにより、科目免除を受けられる場合があります。
合格基準
各科目で100点満点中60点以上を取る必要があります。3科目すべてで合格基準を満たすと、受験した区分の試験合格となります。
科目合格制度があるため、すべての科目を一度に合格する必要はありません。電気通信技術の基礎、技術及び理論、法規をそれぞれ分けて対策し、苦手科目を残さないことが重要です。
工事担任者の受験者数・合格率
| 年度 | 申請者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 12,556人 | 10,542人 | 3,754人 | 35.6% |
| 2024年度 | 14,681人 | 12,287人 | 4,328人 | 35.2% |
| 2023年度 | 17,681人 | 14,561人 | 5,502人 | 37.8% |
| 2022年度 | 20,049人 | 16,493人 | 6,396人 | 38.8% |
| 2021年度 | 27,607人 | 23,348人 | 9,218人 | 39.5% |
工事担任者の難易度
工事担任者試験は、第二級デジタル通信であれば通信工事やネットワークの基礎を学ぶことで取り組みやすい一方、第一級デジタル通信や総合通信になると出題範囲が広がり、難しさが増します。電話回線やインターネット回線、LAN、光ファイバ、端末設備、法規などを幅広く理解する必要があります。
難しさの理由は、通信技術と法規の両方を押さえなければならないためです。技術分野では、電気通信の基礎、ネットワーク構成、デジタル通信、光ファイバ、IPネットワーク、端末設備の接続などが問われます。普段から通信設備やネットワーク工事に関わっている人は理解しやすいですが、初学者は専門用語や仕組みに慣れるまで時間がかかりやすいでしょう。
特に負担になりやすいのは、基礎科目の計算や通信理論に関する内容です。電気回路、信号、伝送、ノイズ、インピーダンスなど、暗記だけでは対応しにくい問題もあります。計算問題に苦手意識がある人は、公式を覚えるだけでなく、過去問を使って出題パターンに慣れておくことが大切です。
また、法規では電気通信事業法や端末設備等規則など、通信設備の接続や工事に関するルールを正確に覚える必要があります。似た用語や基準が出てくるため、曖昧な理解のままだと選択肢で迷いやすくなります。
通信工事、ネットワーク構築、設備保守、情報通信関連の仕事に関わっている人は、実務と結びつけながら学習しやすい資格です。初学者の場合は、まず通信の基本用語とネットワークの仕組みを整理し、そのうえで技術・基礎・法規をバランスよく対策することが合格につながります。
工事担任者の勉強法
基礎では、電気回路、電子回路、論理回路、伝送理論などが出題されます。計算問題もあるため、公式を丸暗記するだけでなく、過去問を使って実際に解き方に慣れておくことが大切です。
技術では、ネットワーク、端末設備、配線設備、施工方法、情報セキュリティ、光ファイバ、IP通信などを学びます。単に用語を覚えるだけでなく、通信回線に機器を接続する場面をイメージしながら理解すると覚えやすくなります。
法規では、電気通信事業法、有線電気通信法、端末設備等規則、工事担任者規則などが出題されます。条文や数字が多いため、過去問で繰り返し問われる部分を中心に整理し、似た制度を混同しないように復習しましょう。
工事担任者試験は、過去問演習の効果が出やすい試験です。基本的には、テキストで基礎を確認し、過去問を繰り返し解き、基礎の計算問題、技術の接続・施工、法規の頻出項目を重点的に復習する勉強法がおすすめです。
資格を活かせる仕事
電気通信工事会社、通信会社、インターネット回線工事会社、ネットワーク構築会社、電話設備会社、ビルやオフィスの通信設備工事、LAN配線工事、光回線工事、企業の情報通信設備管理などがあります。特に、電話設備やネットワーク機器を通信回線に接続する工事では、資格を直接活かしやすいでしょう。
工事担任者は、通信設備の工事に関わる人にとって実用性のある資格です。オフィスや店舗、マンション、工場などでは、電話、インターネット、防犯カメラ、社内ネットワークなどの通信環境が欠かせないため、通信設備を正しく接続・管理できる知識は現場で役立ちます。
就職・転職でも、電気通信工事やネットワーク工事の分野では評価されやすい資格です。特に、電気工事士や電気通信主任技術者、電気工事施工管理技士などと組み合わせることで、電気・通信設備の両方に対応できる人材としてアピールしやすくなります。
一方で、工事担任者だけで通信業界のすべての仕事に対応できるわけではありません。実務では、配線作業、ネットワーク機器の設定、光ファイバー工事、LAN構築、障害対応、現場での安全管理なども重視されます。
工事担任者試験は、電気通信工事やネットワーク設備工事の分野で働きたい人に向いています。通信インフラやオフィスネットワーク、防犯・監視設備などに関わる仕事でキャリアを広げたい人にとって、取得する価値のある資格といえるでしょう。

