衛生管理者試験とは
衛生管理者試験とは、労働安全衛生法に基づいて実施される国家試験です。衛生管理者は、職場で働く人の健康障害を防ぐために、作業環境の確認や健康管理、労働衛生教育など、職場の衛生面に関する管理を行う役割を担います。
資格には第一種衛生管理者と第二種衛生管理者があり、第一種はすべての業種の事業場で衛生管理者として選任されることができます。一方、第二種は有害業務との関連が少ない一部の業種に限られます。
また、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、業種や労働者数に応じた衛生管理者を選任しなければなりません。 そのため、企業の人事・総務・労務部門をはじめ、工場や店舗、事業所など幅広い職場で必要とされる資格です。労働環境の改善や従業員の健康管理に関わる実務資格として、安定した需要がある資格といえるでしょう。
衛生管理者試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(必置資格) |
|---|---|
| ジャンル | 事務・ビジネス・経営 |
| 資格区分 | 第一種、第二種 |
| 受験資格 | 学歴と労働衛生の実務経験により異なります。主な例として、大学・短大・高等専門学校卒業後に1年以上、高校卒業後に3年以上、または学歴に関係なく10年以上の労働衛生実務経験がある場合などが対象です。受験には事業者証明書などの提出が必要です。 |
| 試験日程 | 【試験日】毎月 【申込期間】試験開始の2ヶ月前~14日前まで 【合格発表】試験の日に合格発表日を告知 |
| 試験方法 | 筆記試験 |
| 免除科目 | 衛生管理者適任証書を受けた者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するものは労働衛生が免除 |
| 試験場所 | 全国の安全衛生技術センター |
| 受験料 | 6,800円 |
| 登録・更新 | – |
| 問い合わせ | 安全衛生技術センター |
| 関連資格 | 労働衛生コンサルタント 食品衛生管理者 労働者派遣契約責任者検定 経営管理士 |
衛生管理者試験の試験日
衛生管理者試験は、第一種・第二種ともに全国の安全衛生技術センターや試験場で随時実施されています。試験日は会場ごとに異なり、毎月複数回実施されている地域もあります。
申込期間は、原則として試験日の2か月前から受付が始まります。オンライン申請・郵送申請は試験日の14日前まで、窓口持参の場合は試験日の2日前までが目安です。ただし、定員に達した場合は受付期間内でも締め切られることがあります。
合格発表は、試験日からおおよそ7日後に行われます。合格者の受験番号は、安全衛生技術試験協会の公式ページで確認できます。
衛生管理者試験は実施回数が多いため、記事内ではすべての日程を細かく掲載するよりも、受験予定の地域・会場ごとに公式ページで最新日程を確認する形で案内するのが分かりやすいです。
衛生管理者試験の内容
事業場における労働者の健康障害を防ぎ、職場の衛生管理を適切に行うための知識が問われる試験です。主な出題分野は「労働衛生」「関係法令」「労働生理」の3つで、職場環境の管理、労働者の健康管理、労働安全衛生法などの法令、人体の仕組みなどについて出題されます。
衛生管理者には「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」があります。第一種衛生管理者は、すべての業種で衛生管理者として選任できる資格で、有害業務に関する内容も試験範囲に含まれます。一方、第二種衛生管理者は、有害業務との関連が少ない一定の業種で選任できる資格のため、有害業務に関する内容は出題範囲から除かれます。
第一種衛生管理者試験は、全44問・400点満点で、試験時間は3時間です。第二種衛生管理者試験は、全30問・300点満点で、試験時間は同じく3時間です。
出題範囲
労働衛生
労働衛生では、職場における健康障害の防止や、労働者の健康保持に関する知識が問われます。作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育、健康診断、救急処置、職業性疾病の予防など、実際の職場管理に関わる内容が中心です。
第一種衛生管理者では、有害業務に係る労働衛生も出題されます。有害物質、粉じん、騒音、振動、有機溶剤、特定化学物質、鉛、電離放射線など、健康障害を引き起こす可能性のある作業環境や、それに対する管理方法について理解しておく必要があります。
第二種衛生管理者では、有害業務に係る内容を除いた労働衛生が出題されます。一般的な職場における健康管理、メンタルヘルス、作業環境の改善、労働者の健康保持増進などが主な学習範囲になります。
関係法令
関係法令では、労働安全衛生法や労働基準法など、衛生管理に関係する法律の知識が問われます。衛生管理者の選任、衛生委員会、健康診断、安全衛生教育、作業環境測定、労働時間、休憩、休日など、職場の衛生管理を行ううえで必要な法的ルールを理解しておく必要があります。
第一種衛生管理者では、有害業務に係る関係法令も出題されます。有害な作業に関する規制、作業主任者、特殊健康診断、作業環境測定、有害物質の管理など、危険性や有害性の高い業務に関する法令知識が含まれます。
第二種衛生管理者では、有害業務に係る内容を除いた関係法令が出題されます。一般的な事業場で必要となる衛生管理体制や健康管理、労働条件に関する法令を中心に学習する形になります。
労働生理
労働生理では、人の体の仕組みや働きに関する基礎知識が問われます。血液、呼吸、循環、消化、神経、筋肉、感覚器、体温調節、疲労、睡眠など、労働者の健康管理を理解するために必要な人体の基本的な働きが出題されます。
労働生理は、第一種・第二種のどちらでも共通して出題される科目です。専門的な医学知識を深く問うというよりも、衛生管理者として職場の健康管理を行うために必要な基礎知識を確認する内容になっています。
試験科目と出題数
第一種衛生管理者試験は、労働衛生が17問、関係法令が17問、労働生理が10問の合計44問です。労働衛生と関係法令は、それぞれ「有害業務に係るもの」と「有害業務に係るもの以外のもの」に分かれて出題されます。
具体的には、労働衛生のうち有害業務に係るものが10問、有害業務に係るもの以外が7問です。関係法令も同じく、有害業務に係るものが10問、有害業務に係るもの以外が7問です。労働生理は10問で、第一種・第二種共通の内容です。
第二種衛生管理者試験は、労働衛生が10問、関係法令が10問、労働生理が10問の合計30問です。第二種では、有害業務に係る内容は出題範囲から除かれます。
合格基準
衛生管理者試験の合格基準は、科目ごとに40%以上得点し、かつ全科目の合計で60%以上得点することです。第一種衛生管理者では、労働衛生や関係法令のうち「有害業務に係るもの」と「有害業務に係るもの以外のもの」が分かれているため、それぞれの範囲ごとに40%以上の得点が必要です。
第一種衛生管理者は400点満点のため、合計では240点以上が合格の目安です。第二種衛生管理者は300点満点のため、合計では180点以上が合格の目安になります。
ただし、合計点が合格ラインに達していても、特定の科目や範囲で40%を下回ると不合格になります。そのため、得意分野だけで点数を稼ぐのではなく、労働衛生、関係法令、労働生理をバランスよく学習することが重要です。
衛生管理者試験の受験者数・合格率
2024年度
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | 64,911人 | 30,081人 | 46.3% |
| 第二種衛生管理者 | 39,262人 | 19,546人 | 49.8% |
2023年度
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | 67,572人 | 31,108人 | 46.0% |
| 第二種衛生管理者 | 37,061人 | 18,374人 | 49.6% |
2022年度
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | 68,066人 | 31,207人 | 45.8% |
| 第二種衛生管理者 | 35,199人 | 18,089人 | 51.4% |
2021年度
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | 68,210人 | 29,113人 | 42.7% |
| 第二種衛生管理者 | 36,057人 | 17,922人 | 49.7% |
2020年度
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | 43,157人 | 18,916人 | 43.8% |
| 第二種衛生管理者 | 22,220人 | 11,729人 | 52.8% |
衛生管理者試験の難易度
難易度は、国家資格の中では比較的やさしめ〜標準レベルです。
ただし、まったく勉強せずに合格できる試験ではなく、特に第一種は有害業務に関する内容も出題されるため、第二種よりも出題範囲が広くなります。
令和6年度の合格率は、**第一種衛生管理者が46.3%、第二種衛生管理者が49.8%**となっており、どちらもおおむね2人に1人前後が合格している試験です。第二種の方がやや合格率は高いものの、極端に大きな差があるわけではありません。
難易度としては、過去問を中心にしっかり対策すれば独学でも十分合格を狙えるレベルです。特に出題傾向が比較的つかみやすいため、まずは過去問を繰り返し解き、間違えた問題の解説を確認しながら知識を固めていく勉強法が効果的です。
一方で、合格率が高めだからといって油断すると不合格になる可能性があります。衛生管理者試験では、関係法令、労働衛生、労働生理など幅広い分野から出題されるため、苦手分野を残したまま受験すると得点が伸びにくくなります。
勉強時間の目安としては、第二種であれば30〜50時間程度、第一種であれば50〜80時間程度を見ておくと安心です。すでに労務・安全衛生の知識がある人であれば短期間でも合格を目指せますが、初めて学ぶ人は1〜2か月ほどかけて計画的に進めるとよいでしょう。
総合的に見ると、衛生管理者試験は「難関資格」ではありませんが、出題範囲を一通り押さえる必要がある試験です。過去問演習を中心に、分かりにくい部分だけ参考書や解説で補強していけば、独学でも十分合格を目指せる資格といえます。
衛生管理者試験の勉強法
国家資格の中では比較的取り組みやすい試験とされています。そのため、基本的には過去問を中心に学習する方法が効率的です。
まずは市販の過去問題集や公式に近い形式の問題を繰り返し解き、出題傾向をつかむことから始めるとよいでしょう。衛生管理者試験では、まったく新しい知識を一から深く学ぶというよりも、よく出る論点を正確に押さえることが重要です。
ただし、過去問の解説だけでは理解しにくい分野もあります。特に、労働衛生、関係法令、有害業務に関する内容などは、用語や制度の意味を理解していないと暗記だけでは対応しにくい場合があります。そのような箇所は、参考書やネット上の解説を活用して、基礎から確認しておくと理解が深まります。
独学でも十分に合格を目指せる資格ですが、勉強が苦手な方や、できるだけ短期間で合格したい方は、通信講座やスクールを利用するのも一つの方法です。講座を利用すれば、出題されやすいポイントを効率よく学べるため、学習の進め方に迷いにくくなります。
特に初めて受験する方は、最初から完璧を目指すよりも、過去問を解きながら分からない部分を補強していく進め方がおすすめです。繰り返し問題に触れることで、試験で問われやすい表現や選択肢のパターンにも慣れていくでしょう。
衛生管理者試験のお勧めテキスト
2026年度版 スッキリわかる 第1種衛生管理者 テキスト&問題集
図表やイラストが多く、初めて衛生管理者試験を受ける人でも理解しやすい一冊です。テキストで学んだ直後に問題演習へ進める構成なので、基礎固めから過去問対策まで効率よく進めたい人に向いています。
2026年度版 第1種衛生管理者 過去8回本試験問題集
衛生管理者試験は過去問演習が非常に重要なため、仕上げ用として持っておきたい問題集です。直近の出題傾向を確認しながら実戦形式で演習できるので、テキスト学習後の総仕上げや苦手分野の確認に役立ちます。
第1種・第2種衛生管理者 合格教本&問題集
第1種・第2種それぞれの試験範囲に合わせて学習できる教材です。講座や受験指導のノウハウをもとに、つまずきやすいポイントも整理されているため、独学でも試験範囲を体系的に学びたい人に向いています。
衛生管理者を活かせる仕事
衛生管理者とは、職場の労働環境の改善をするのが主な仕事となります。昔は職場でも目立たない、あまり知られていない存在でしたが、労働安全衛生法が拡充されてからは、50人以上の従業員がいる職場では衛生管理者を必ず1人置く事が義務付けられました。
労働者が病気や怪我をすると言った労働災害が起こらない様に予防する事は大事な事ですね。その為に、衛生管理者はそれぞれの職場の状況に基づき、如何に労働者が安全な環境で働く事が出来るかを考えます。
特に土木・建設業界では労務災害が起こりやすいので、衛生管理者が専任として配属されています。
各職場では総務部(課)か労務部(課)に配属される事が多いです。又、その部署にいる人の中から衛生管理者の資格を取らせる場合もあります。
受験者の口コミ評判
★★★★☆
コスパの良い資格
スケジュールの関係で試験まで3カ月も取りましたがほとんどの人で1ヶ月間週末に集中すれば合格できるのではないかと思います。
ウチの会社では資格手当が1万円付くので、私にはコスパは非常に良いです。
試験内容は過去問を少しひねった問題が多かったと思います。
労基法の問題は社労士資格を持ってる人でも初見では間違えるレベルの問題が出てましたね(年少者が禁止されてる業務や年休の比例付与等)。
それでも市販のテキストと過去問だけで十分です。
法令等ばかりでなく、健康管理や応急処置、食中毒に関する知識等、実生活に役に立つ知識も豊富ですので受けて損は無いと断言できます。
ハッシー 30代会社員(2019年12月)
★★★☆☆
会社の指示で受験
会社の事業拡大のために、急遽取得しろと上司に言われ独学で1ヶ月勉強して、一回目の試験で見事合格できました。しかし、これから新たにこの資格に挑戦する皆様にご報告(大げさかな?)いたします。
正直、私が受験したとき「過去問」を集中的に勉強して挑みましたが、実際の試験では過去問がほとんど出題されておらず(過去問集に載っていた問題は4~5問位しか出てなかった)新問が過半数以上を占める割合で出題されていました。
もっとも、単に受験のタイミングが悪かっただけかも知れませんが・・・
まぁ、とにかく、単純に過去問だけを覚えるのではなく、各法令などを「広く浅く」覚えられるところは「できるだけ深く」覚えてから試験に臨んだ方が良いと思います。
satoru 20代会社員(2018年12月)

