ITサービスマネージャ試験とは
情報システムやITサービスを安定して提供し続けるために、運用管理・品質管理・障害対応・改善活動などを担う人材の知識と実務能力を評価する国家試験です。高度情報処理技術者試験に分類され、ITサービスの運用や管理に関わる専門性を証明できる試験です。
ITサービスマネージャには、システムを安全かつ安定的に稼働させるだけでなく、障害発生時の影響を最小限に抑え、原因分析や再発防止策を講じる力が求められます。また、利用者や顧客のニーズを踏まえ、サービスレベルの維持・向上、コスト管理、継続的改善を行うことも重要な役割です。
試験では、ITサービスマネジメント、サービスの設計・移行・運用、インシデント管理、問題管理、変更管理、可用性管理、容量管理、情報セキュリティ管理、継続的改善など、ITサービスを運営するうえで必要な幅広い知識が問われます。
ITサービスマネージャ試験は、システム運用管理者、情報システム部門の管理者、ITサービスマネージャ、運用リーダー、SRE、ITILに関わる業務を担当する人などに向いています。システムを「作る」だけでなく、安定して「使い続けられる状態」に保つ力を証明したい人に適した資格といえるでしょう。
ITサービスマネージャ試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格 |
| ジャンル | IT・パソコン |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 年1回程度。2026年度からCBT方式へ移行予定 |
| 試験方法 | CBT方式。多肢選択式・記述式・論述式 |
| 免除科目 | 条件を満たす場合、午前Ⅰ試験の免除あり |
| 試験場所 | 全国のCBTテストセンター |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
| 登録・更新 | なし |
| 問い合わせ | 独立行政法人 情報処理推進機構 情報処理技術者試験センター |
| 関連資格 | 基本情報技術者試験 応用情報技術者試験 プロジェクトマネージャー試験 システム監査技術者試験 |
ITサービスマネージャ試験の試験日
2026年度からCBT方式で実施予定です。
ITサービスマネージャ試験の試験内容
ITサービスの安定提供と継続的な改善を担う人材を対象とした国家試験です。情報処理技術者試験の高度区分に位置づけられており、システム運用管理者、サービスマネージャ、インフラ運用責任者、ITサービス管理担当者などに関係の深い試験です。
試験では、ITサービスマネジメント、サービスの設計・移行・運用、インシデント管理、問題管理、変更管理、サービスレベル管理、継続的改善、リスク管理、情報セキュリティなどが問われます。2026年度からはCBT方式で実施予定ですが、出題形式・出題数・試験時間は従来から変更しないと案内されています。
出題範囲
ITサービスマネジメント
ITサービスの計画、設計、提供、運用、改善など、利用者に安定したITサービスを提供するための管理知識が問われます。
サービス運用・保守
インシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理、リリース管理、可用性管理、キャパシティ管理など、日々の運用を安定させるための知識が出題されます。
サービスレベル・品質管理
サービスレベル合意、運用品質、顧客満足、継続的改善、運用プロセスの評価など、サービスの品質を維持・向上させるための内容が問われます。
リスク管理・情報セキュリティ
障害対応、事業継続、セキュリティ対策、システム監査、リスク分析など、安全性と信頼性の高いITサービスを提供するための知識も出題範囲に含まれます。
試験科目と出題数
2026年度のITサービスマネージャ試験は、CBT方式で2026年11月頃に実施予定です。
科目A-1試験は多肢選択式30問で50分、科目A-2試験は多肢選択式25問で40分です。科目B-1試験は記述式で3問中2問を解答し、試験時間は90分です。科目B-2試験は論述式で2問中1問を解答し、試験時間は120分です。
合格基準
合格基準は、科目A-1・科目A-2・科目B-1がそれぞれ100点満点中60点以上です。科目B-2は論述式で、評価ランクAが合格基準になります。
ITサービスマネージャ試験の受験者数・合格率
| 年度・期 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年度春期 | 2,898人 | 2,002人 | 295人 | 14.7% |
| 2024年度春期 | 2,879人 | 2,000人 | 300人 | 15.0% |
| 2023年度春期 | 2,886人 | 1,936人 | 294人 | 15.2% |
| 2022年度春期 | 2,851人 | 1,954人 | 289人 | 14.8% |
| 2021年度春期 | 3,060人 | 2,018人 | 303人 | 15.0% |
| 2020年度 | 実施なし | 実施なし | 実施なし | ― |
| 2019年度秋期 | 5,120人 | 3,388人 | 497人 | 14.7% |
| 2018年度秋期 | 5,605人 | 3,715人 | 530人 | 14.3% |
| 2017年度秋期 | 5,779人 | 3,932人 | 535人 | 13.6% |
| 2016年度秋期 | 非公表 | 3,555人 | 501人 | 14.1% |
ITサービスマネージャ試験の難易度
高度情報処理技術者試験に分類される上位資格であり、ITサービスの運用・管理に関する深い理解が求められます。システムを作る側の知識だけでなく、安定して運用し続けるための管理能力や、障害対応、改善活動、サービス品質の維持といった実務的な視点も必要になります。
特に難しいのは、知識を覚えるだけでは対応しにくい点です。実際のITサービス運用の場面を想定しながら、問題の状況を読み取り、適切な対応や改善策を考える力が求められます。そのため、運用管理やサービスマネジメントの実務経験が少ない人にとっては、かなり難しく感じるでしょう。
また、論述対策も大きなハードルになります。自分の経験や考えをもとに、設問の意図に沿って論理的に文章を組み立てる必要があるため、単なる暗記型の学習では合格しにくい試験です。
総合的に見ると、ITサービスマネージャ試験は、ITサービスの運用管理に関わる人向けの難関資格です。ITの基礎知識に加えて、実務経験、問題解決力、文章で説明する力も求められるため、十分な準備が必要な試験といえるでしょう。
ITサービスマネージャ試験の勉強法
システム運用やITサービス提供の知識に加えて、実務上の判断力や改善提案力も問われる試験です。まずは過去問や対策テキストを使い、ITIL、SLA、インシデント管理、問題管理、変更管理、可用性管理、キャパシティ管理などの基本用語を押さえましょう。
午前Ⅰ・午前Ⅱは、過去問演習を中心に進めるのが効率的です。特に午前ⅡではITサービスマネジメントに関する専門知識が問われるため、間違えた問題は答えだけでなく、関連する用語や考え方まで確認しておくことが大切です。
午後Ⅰは記述式なので、問題文を正確に読み取り、設問に合う答えを短くまとめる練習が必要です。過去問を解くときは、模範解答を読むだけでなく、本文中のどこを根拠に答えるのかを意識して復習すると力がつきます。
午後Ⅱは論述式で、この試験の大きな山場になります。サービスの安定運用、障害対応、再発防止、運用改善、SLAの見直し、関係者との調整などをテーマに、自分の経験や想定事例をもとに論文の骨子を作っておくとよいでしょう。
独学でも合格を目指せますが、午後Ⅱの論文は自己採点が難しいため、論文集や添削付き講座を活用するのも有効です。基本的には、午前は過去問で知識を固め、午後Ⅰは記述練習、午後Ⅱは論文の型と具体的な事例作りを進める勉強法がおすすめです。
ITサービスマネージャ試験のお勧めテキスト
情報処理教科書 ITサービスマネージャ 改訂版
ITサービスマネージャ試験の定番対策書です。科目B-1の記述対策、科目B-2の論述対策を中心に、専門知識や過去問解説をまとめて学べます。論文構成例や添削付き解答例もあり、総合対策の中心教材として使いやすい一冊です。
2026年度版 ALL IN ONE パーフェクトマスター ITサービスマネージャ
TAC出版のオールインワン型対策書です。重要知識と記述・論述テクニックを効率よく学べる構成で、科目A-2、科目B-1、科目B-2まで幅広く対応しています。2026年度のCBT方式にも大きな支障なく利用できると案内されています。
2025-2026 ITサービスマネージャ 総仕上げ問題集
アイテックの総仕上げ用問題集です。分野別Web確認テスト、直近10期分の本試験問題、実力診断テストなどで段階的に演習できます。テキスト学習後に、本番形式で解答を書く練習をしたい人に向いています。
資格を活かせる仕事
ITサービスマネージャ、システム運用管理者、社内SE、インフラ運用担当、ヘルプデスク管理者、サービスデスク責任者、情報システム部門、運用保守部門、ITアウトソーシング企業、SIer、データセンター運用、ITコンサルタントなどがあります。特に、システムの安定稼働、障害対応、運用品質の改善、利用者満足度の向上に関わる仕事では、資格で学んだ知識を実務に活かしやすいでしょう。
ITサービスは、導入して終わりではなく、日々安定して使える状態を保つことが重要です。そのため、トラブルが起きたときの対応力だけでなく、問題を未然に防ぐ仕組みづくり、運用ルールの整備、関係部署との調整力も求められます。ITサービスマネージャ試験は、こうした運用・保守・改善の分野で専門性を示しやすい資格です。
また、IT企業では資格手当や一時金の対象になる場合もあり、社内評価や収入アップにつながる可能性があります。高度情報処理技術者試験の一つであるため、運用管理部門や情報システム部門でキャリアアップを目指す人にとってもアピール材料になります。
ただし、資格を取得しただけで即戦力のITサービスマネージャになれるわけではありません。実務では、システム運用経験、障害対応経験、ITILなどの運用管理知識、コミュニケーション力、マネジメント経験なども重視されます。ITサービスマネージャ試験は、IT運用・保守分野で専門性を高めたい人や、情報システム部門の管理職を目指す人にとって、取得する価値の高い資格といえるでしょう。

