管理業務主任者試験とは
管理業務主任者試験は、マンション管理会社で重要な役割を担う管理業務主任者になるために必要な国家試験です。管理業務主任者は、マンション管理業者が管理組合と管理受託契約を結ぶ際の重要事項説明や、管理事務の報告などを行う専門職です。
試験では、マンション管理適正化法、区分所有法、民法、管理組合の運営、管理事務、建物・設備の維持管理など、マンション管理業務に必要な幅広い知識が問われます。法律知識だけでなく、管理組合の実務や建物管理に関する理解も必要です。
マンション管理会社、不動産会社、建物管理会社などで活用しやすい資格です。マンション管理業者の事務所では、一定数の管理業務主任者を置く必要があるため、マンション管理業界で働きたい人や、不動産管理分野で専門性を高めたい人に向いています。
管理業務主任者試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(業務独占資格、必置資格) |
| ジャンル | 建築・不動産 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 年1回。例年12月上旬ごろに実施。 |
| 試験方法 | 筆記試験。四肢択一式で実施。 |
| 免除科目 | マンション管理士試験の合格者は、申請により一部問題が免除されます。 |
| 試験場所 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県とその周辺地域。 |
| 受験料 | 8,900円(非課税) |
| 登録・更新 | 試験合格後、管理業務主任者として業務を行うには登録が必要。登録には原則として2年以上の実務経験が必要ですが、実務経験がない場合は登録実務講習の修了により登録要件を満たせます。管理業務主任者証の有効期間は5年で、更新時には講習の受講が必要です。 |
| 問い合わせ | 一般社団法人 マンション管理業協会 |
| 関連資格 | マンション管理士 マンションリフォームマネジャー 工事担任者 建築設備検査資格者 |
管理業務主任者試験の試験日
2025年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 12月7日 | 郵送:8月1日~8月29日 Web:8月4日~9月30日 | 1月16日 |
管理業務主任者試験の試験内容
四肢択一式の筆記試験で実施されます。出題数は50問で、マンション管理士試験の合格者など、一部免除の対象者は5問免除されます。
出題は、管理事務の委託契約、管理組合の会計・出納、マンションの建物・設備、マンション管理適正化法、区分所有法などから行われます。記述式問題はなく、すべてマークシート方式で解答します。
出題範囲
管理事務の委託契約
管理組合と管理会社の間で締結する管理委託契約について問われます。標準管理委託契約書、契約内容、重要事項説明、管理事務の範囲、管理会社の義務などを理解しておく必要があります。
管理業務主任者は、管理受託契約に関する重要事項説明や契約成立時の書面交付に関わるため、管理委託契約に関する知識は重要です。
管理組合の会計・出納
管理費、修繕積立金、管理組合の収支、会計処理、予算、決算、滞納管理などが出題されます。
管理組合の資金を適切に管理するため、会計の基本知識だけでなく、管理費等の徴収、保管口座、収納口座、滞納対応なども整理しておく必要があります。
マンションの建物・設備
建物の構造、建築設備、給排水設備、電気設備、消防設備、劣化診断、長期修繕計画、大規模修繕工事などが問われます。
建物や設備の維持管理に関する内容が中心で、専門的な施工知識よりも、マンション管理の実務で必要となる基本的な構造・設備・修繕の知識を理解しておくことが大切です。
マンション管理適正化法
管理業務主任者制度、マンション管理業者の登録、重要事項説明、契約成立時の書面、財産の分別管理、管理事務報告などが出題されます。
一部免除の対象者は、この分野に相当する5問が免除されます。
区分所有法・標準管理規約
区分所有法、マンション標準管理規約、管理組合、総会、理事会、管理者、共用部分、専有部分、規約、決議要件などが問われます。
管理組合の運営や意思決定に関わる内容のため、法律上のルールと標準管理規約の考え方をあわせて理解しておく必要があります。
試験科目と出題数
出題数は50問、試験時間は2時間です。一部免除者は45問、試験時間は1時間50分です。
出題分野は、管理事務の委託契約、管理組合の会計・出納、建物・設備、マンション管理適正化法、区分所有法・標準管理規約などです。
合格基準
合格基準点は試験回ごとに決定されます。固定の合格点ではなく、その年の問題難易度などを踏まえて合格点が決まります。
50問すべてが1問1点で採点され、一部免除者は免除5問を正解扱いとして判定されます。科目ごとの足切りはありません。
管理業務主任者試験の受験者数・合格率
| 年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 17,410人 | 14,435人 | 2,832人 | 19.6% |
| 2024年度 | 17,775人 | 14,850人 | 3,159人 | 21.3% |
| 2023年度 | 17,855人 | 14,652人 | 3,208人 | 21.9% |
| 2022年度 | 19,589人 | 16,217人 | 3,065人 | 18.9% |
| 2021年度 | 20,691人 | 16,538人 | 3,203人 | 19.4% |
管理業務主任者試験の難易度
不動産・マンション管理系資格の中では標準よりやや難しめの試験です。宅建士と比べると受験者数は少なめですが、区分所有法やマンション管理適正化法、管理実務、建築設備、会計など幅広い分野を学ぶ必要があり、軽い暗記だけで合格を目指すのは難しい資格です。
難しさの理由は、法律・実務・設備・会計をバランスよく押さえる必要があるためです。特に区分所有法、標準管理規約、マンション管理適正化法は出題の中心になりやすく、管理組合、総会、理事会、規約、管理委託契約などの仕組みを正確に理解しておく必要があります。
また、マンションの建物・設備に関する問題も出題されます。給排水設備、電気設備、消防設備、長期修繕計画、大規模修繕など、法律だけでなく建物管理の知識も必要になるため、建築や設備に慣れていない人はこの分野で苦労しやすいでしょう。
会計や管理実務の分野では、管理費、修繕積立金、収支予算、決算、滞納対応など、管理組合の運営に関わる知識が問われます。実務に近い内容も多いため、マンション管理会社で働いている人はイメージしやすい一方、初学者は用語や仕組みを整理するところから始める必要があります。
宅建士やマンション管理士の学習経験がある人は、法律分野の知識を活かしやすい資格です。ただし、管理業務主任者試験では管理委託契約や管理事務の実務に関する内容も重要になるため、過去問演習を通じて出題パターンをつかみ、法律・設備・会計を偏りなく対策することが大切です。
管理業務主任者試験の勉強法
特に重要なのは、区分所有法、マンション標準管理規約、マンション管理適正化法、管理委託契約書に関する分野です。管理組合、総会、理事会、規約、議決要件、重要事項説明などは頻出なので、制度の流れを整理しながら覚えることが大切です。
民法や宅建業法に近い内容も出題されるため、宅建やマンション管理士の学習経験がある方は知識を活かしやすい試験です。ただし、管理業務主任者試験ではマンション管理会社の実務に関する内容も問われるため、管理委託契約や管理事務報告などは重点的に確認しておきましょう。
建物・設備分野では、給排水設備、電気設備、消防設備、長期修繕計画、大規模修繕などが出題されます。専門用語が多い分野なので、図や表を使いながら、実際のマンション管理の場面と結びつけて覚えると理解しやすくなります。
管理業務主任者試験は、過去問演習の効果が出やすい試験です。基本的には、テキストで基礎を固め、過去問を繰り返し解き、区分所有法・標準管理規約・管理適正化法・管理委託契約を重点的に復習する勉強法がおすすめです。
管理業務主任者試験のお勧めテキスト
2026年度版 管理業務主任者 基本テキスト
管理業務主任者試験の基礎知識を体系的に学べるTAC出版のテキストです。区分所有法、標準管理規約、民法、管理委託契約、建築・設備などを整理して学べます。独学で全体像をつかみたい人に使いやすい教材です。
2026年版 出る順管理業務主任者 速習テキスト
管理業務主任者試験に専願で合格したい人向けのLECの速習テキストです。試験に出やすい論点を効率よく整理できるため、短期間で重要ポイントを押さえたい人に向いています。過去問題集と併用すると学習しやすいです。
2026年度版 管理業務主任者 項目別過去8年問題集
直近8年分の本試験問題をテーマ別に収録した過去問題集です。さらに2年分のWebダウンロードサービスがあり、合計10年分の過去問演習ができます。テキスト学習後の仕上げ教材として使いやすい一冊です。
管理業務主任者試験の資格講座
資格スクール大栄が実施している「管理業務主任者講座」では、本科講座と答練講座の二つの講座が実施されています。
資格を活かせる仕事
マンション管理会社、不動産管理会社、管理組合の運営サポート、フロント担当、マンション管理事務、建物管理会社、不動産会社、修繕・設備管理関連会社などがあります。特に、管理組合との打ち合わせ、理事会・総会の運営補助、管理委託契約の説明、管理費・修繕積立金の確認、建物の維持管理に関わる仕事では、資格を直接活かしやすいでしょう。
マンション管理会社では、事務所ごとに一定数の管理業務主任者を置く必要があるため、資格保有者は業界内で評価されやすいです。マンション管理士よりも、管理会社で働く実務に直結しやすく、就職・転職でもアピールしやすい資格といえます。
一方で、管理業務主任者を取得しただけで、すぐにマンション管理の仕事をすべてこなせるわけではありません。実務では、住民対応、管理組合との調整、建物設備の知識、修繕計画、クレーム対応、会計処理、フロント業務の経験なども求められます。
管理業務主任者試験は、マンション管理会社や不動産管理業界で働きたい人に向いています。宅地建物取引士やマンション管理士、建築・設備系資格と組み合わせることで、マンション管理や不動産管理の分野でより活かしやすくなる資格といえるでしょう。

