司法試験とは
裁判官、検察官、弁護士といった法曹を目指すための国家試験です。法律系資格の中でも最難関クラスの試験として知られており、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法など、法律に関する高度な理解と応用力が求められます。
受験するには、原則として法科大学院を修了するか、司法試験予備試験に合格する必要があります。現在は、一定の条件を満たせば法科大学院在学中に司法試験を受験できる制度もあります。
試験は短答式試験と論文式試験で構成されています。合格後もすぐに裁判官・検察官・弁護士として働けるわけではなく、司法修習を受け、修了後の考試に合格することで法曹としての道が開かれます。
法曹を目指す人にとって避けて通れない試験であり、法律の専門家として社会的責任の大きい仕事に就きたい人に向いています。難易度は非常に高いものの、弁護士、検察官、裁判官を目指すうえで中心となる国家試験といえるでしょう。
司法試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格 |
| ジャンル | 法律・法務 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 法科大学院修了者、司法試験予備試験合格者、または所定要件を満たす法科大学院在学中の受験資格認定者 |
| 試験日程 | 年1回、例年7月頃 |
| 試験方法 | CBT方式。短答式試験・論文式試験 |
| 免除科目 | なし |
| 試験場所 | 全国の指定試験会場 |
| 受験料 | 電子出願:31,000円/郵送出願:32,000円 |
| 登録・更新 | 合格後、司法修習を経て法曹資格取得へ |
| 問い合わせ | 法務省 |
| 関連資格 | 司法試験予備試験 行政書士 司法書士 ビジネス実務法務検定試験 |
司法試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 7月15日(水)・7月16日(木)・7月18日(土)・7月19日(日) | 電子出願:3月9日~4月2日 郵送出願:3月19日~4月2日 | 短答式試験成績発表:8月6日 合格発表:11月11日 |
司法試験の試験内容
論文式試験と短答式試験で構成されています。論文式試験では、公法系、民事系、刑事系、選択科目について、事例を読み取り、法律上の問題点を整理して論述する力が問われます。
短答式試験では、憲法、民法、刑法の基本知識が問われます。令和8年司法試験についても、短答式試験は憲法・民法・刑法、論文式試験は公法系科目、民事系科目、刑事系科目、選択科目で実施されると案内されています。
出題範囲
論文式試験
公法系科目、民事系科目、刑事系科目、選択科目が出題されます。
公法系科目は、憲法と行政法です。憲法上の権利、統治機構、行政活動の適法性、行政救済などについて、事例に即して法的に構成する力が問われます。
民事系科目は、民法、商法、民事訴訟法です。契約、不法行為、物権、会社法、商取引、民事訴訟手続などについて、当事者間の法律関係を整理して論述する力が必要です。
刑事系科目は、刑法と刑事訴訟法です。犯罪の成否、共犯、罪数、捜査、公判、証拠などについて、事案に含まれる論点を見つけ、条文や判例を踏まえて説明する力が問われます。
選択科目は、倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)から1科目を選択します。
短答式試験
憲法、民法、刑法が出題されます。憲法では人権・統治、民法では総則・物権・債権・親族・相続、刑法では総論・各論を中心に、条文や判例、基本的な法解釈の理解が問われます。
短答式試験は知識の正確性が重視されるため、基本条文、判例、制度趣旨を整理しておく必要があります。
試験科目と出題数
論文式試験は、公法系科目、民事系科目、刑事系科目、選択科目で実施されます。公法系・刑事系は各2問、民事系は3問、選択科目は2問が出題されます。配点は、公法系200点、民事系300点、刑事系200点、選択科目100点です。
短答式試験は、憲法、民法、刑法の3科目です。令和8年司法試験のQ&Aでは、短答式試験の科目は憲法、民法、刑法と案内されています。
合格基準
短答式試験には、各科目の最低ラインがあります。各科目の満点の40%点に満たない科目がある場合は、短答式試験の合計得点にかかわらず不合格となります。
最終合格は、短答式試験と論文式試験の成績をもとに判定されます。論文式試験では、法律知識だけでなく、事例を読み取り、論点を抽出し、条文・判例・法的評価を筋道立てて記述する力が重要です。
司法試験の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年 | 3,837人 | 1,581人 | 41.20% |
| 2024年 | 3,779人 | 1,592人 | 42.13% |
| 2023年 | 3,928人 | 1,781人 | 45.34% |
| 2022年 | 3,082人 | 1,403人 | 45.52% |
| 2021年 | 3,424人 | 1,421人 | 41.50% |
| 2020年 | 3,703人 | 1,450人 | 39.16% |
| 2019年 | 4,466人 | 1,502人 | 33.63% |
| 2018年 | 5,238人 | 1,525人 | 29.11% |
| 2017年 | 5,967人 | 1,543人 | 25.86% |
| 2016年 | 6,899人 | 1,583人 | 22.95% |
司法試験の難易度
法律系資格の中でも最難関クラスの国家試験であり、単に法律の条文や判例を覚えるだけでは対応できません。憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法など、幅広い法律分野について深く理解し、事案に応じて正しく考える力が求められます。
また、司法試験は受験できる人自体が、法科大学院で学んだ人や予備試験に合格した人などに限られます。そのため、受験者のレベルも非常に高く、その中で合格を目指す必要がある点でも難易度はかなり高い試験です。
特に難しいのは、知識を答案として論理的に組み立てる力が必要になる点です。法律知識を持っているだけでは不十分で、問題文の事案を読み取り、どの法律問題があるのかを見つけ、自分の考えを筋道立てて説明しなければなりません。
短期間の暗記だけで突破できる資格ではなく、長期的な学習と答案練習の積み重ねが必要です。法律を初めて学ぶ人にとってはもちろん、法学部出身者や法科大学院生にとっても簡単な試験ではありません。
総合的に見ると、司法試験は、法律資格の中でもトップクラスに難しい試験です。合格には、法律知識の正確な理解、論理的思考力、文章力、長期間学習を続ける継続力が求められる、非常に難易度の高い資格といえるでしょう。
司法試験の勉強法
独学よりも予備校や通信講座を利用するのが一般的です。憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、選択科目まで範囲が非常に広く、基礎講義、論証整理、短答対策、論文答練を段階的に進める必要があります。
短答式試験では、憲法・民法・刑法の知識を正確に押さえることが重要です。条文、判例、基本論点をテキストで確認したうえで、過去問を繰り返し解き、間違えた問題はなぜ誤ったのかまで復習しましょう。
論文式試験では、知識を覚えているだけでなく、問題文から論点を見つけ、法的三段論法に沿って答案を書く力が求められます。早い段階から答案練習を行い、添削を受けながら、論点の拾い方、答案構成、時間配分を身につけることが大切です。
司法試験は短期間で合格を狙うのが難しい試験です。基本的には、基礎知識を固める、短答過去問で知識を確認する、論文過去問と答練で答案作成力を鍛える、という流れで進めるのがおすすめです。
講座
司法試験予備試験の講座で有名なのがLEC東京リーガルマインドです。
LECの入門講座受講者の合格者数が2017年度までで5,000人以上輩出しているので実績も十分です。
資格を活かせる仕事
弁護士、裁判官、検察官、法律事務所、企業法務、官公庁、自治体、金融機関、コンサルティング会社、大学・研究機関、国際取引に関わる法務部門などがあります。特に、契約書の作成・確認、訴訟対応、交渉、労働問題、企業買収、知的財産、相続、離婚、刑事事件、コンプライアンス対応など、法律判断が必要な仕事では非常に強く活かせます。
司法試験に合格し、法曹資格を得れば、法律事務所で弁護士として働くだけでなく、企業内弁護士として一般企業の法務部門で働く道もあります。近年は、企業のコンプライアンスや契約管理、M&A、海外取引、個人情報保護などの重要性が高まっており、企業内で法律専門家を求める場面も増えています。
就職・転職においては、非常に強い資格です。法律系の仕事を目指すうえでは最も評価されやすい資格の一つであり、一般的な民間資格とは比べものにならない実用性があります。
一方で、司法試験に合格しただけで希望通りのキャリアが保証されるわけではありません。弁護士として活躍するには、専門分野、営業力、実務経験、依頼者対応力、文章力、交渉力なども必要です。特に独立開業を目指す場合は、法律知識だけでなく、顧客獲得や事務所運営の力も求められます。
司法試験は取得までの負担が非常に大きい資格ですが、法律分野で専門職として働きたい人にとっては、最も大きな武器になる資格です。弁護士・裁判官・検察官を目指す人はもちろん、企業法務やコンプライアンス分野で高度な専門性を活かしたい人にとっても、取得する価値の高い資格といえるでしょう。

