行政書士試験とは
行政書士になるために必要な知識を問う国家試験です。行政書士は、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成や、これらに関する相談業務などを行う法律系の専門職です。
行政書士は業務独占資格のため、試験に合格しただけでは行政書士として業務を行うことはできません。行政書士として活動するには、日本行政書士会連合会の行政書士名簿に登録する必要があります。
法律系資格の中でも人気が高く、独立開業を目指す人や、行政手続き・許認可・相続・契約書作成などに関わりたい人に向いています。難易度は高めですが、受験資格がないため、法律を基礎から学んで専門職を目指したい人にも挑戦しやすい資格といえるでしょう。
行政書士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(業務独占資格) |
| ジャンル | 法律・法務 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 年1回、例年11月頃 |
| 試験方法 | 筆記試験。択一式・多肢選択式・記述式 |
| 免除科目 | なし |
| 試験場所 | 全国の指定試験地 |
| 受験料 | 10,400円 |
| 登録・更新 | 試験合格後、行政書士会への登録で業務可能。登録後は会費などが必要 |
| 問い合わせ | 一般財団法人 行政書士試験研究センター |
| 関連資格 | 宅建士 司法書士 弁理士 司法試験 |
行政書士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 11月8日(日) | 郵送:7月21日~8月17日 インターネット:7月21日~8月24日 | 1月27日 |
行政書士試験の試験内容
法令等科目と基礎知識科目で構成されています。法令等科目では、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学が出題されます。基礎知識科目では、一般知識、行政書士法等の行政書士業務に関係する法令、情報通信・個人情報保護、文章理解などが問われます。
出題形式は、5肢択一式、多肢選択式、記述式です。記述式は法令等科目で出題され、事例を読み取り、法律関係や結論を40字程度でまとめる力が必要です。
出題範囲
法令等科目
憲法では、人権、統治機構、判例、条文知識などが問われます。行政法では、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法など、行政活動に関する法律知識が中心です。
民法では、総則、物権、債権、親族、相続が出題されます。商法では、会社法を中心に、商取引や会社に関する基本的な知識が問われます。基礎法学では、法の一般的な考え方や法律用語、法制度に関する基礎知識が出題されます。
基礎知識科目
一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解が出題されます。
情報通信・個人情報保護では、インターネット、情報管理、個人情報保護制度などが問われます。文章理解では、文章の内容把握、要旨の理解、空欄補充など、読解力を確認する問題が出題されます。
試験科目と出題数
試験は全60問、300点満点で実施されます。法令等科目は46問、基礎知識科目は14問です。
法令等科目は、5肢択一式、多肢選択式、記述式で出題されます。基礎知識科目は、5肢択一式で出題されます。試験時間は3時間です。
合格基準
合格するには、次の3つの基準をすべて満たす必要があります。法令等科目は満点の50%以上、基礎知識科目は満点の40%以上、試験全体では満点の60%以上が必要です。
300点満点の試験であるため、全体では180点以上が目安になります。ただし、法令等科目または基礎知識科目の基準を下回ると、総得点が基準に達していても合格できません。試験問題の難易度によっては、補正的措置が加えられる場合があります。
行政書士試験の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年 | 50,163人 | 7,292人 | 14.54% |
| 2024年 | 47,785人 | 6,165人 | 12.90% |
| 2023年 | 46,991人 | 6,571人 | 13.98% |
| 2022年 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
| 2021年 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
| 2020年 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
| 2019年 | 39,821人 | 4,571人 | 11.48% |
| 2018年 | 39,105人 | 4,968人 | 12.70% |
| 2017年 | 40,449人 | 6,360人 | 15.72% |
| 2016年 | 41,053人 | 4,084人 | 9.95% |
行政書士試験の難易度
合格率はほとんどの年度で10%以下と、かなり難易度の高い資格だと分かります。法律は暗記しなければいけないことが沢山あるし、年々新しい法律が制定され、覚えなければいけないことが沢山あります。
法律系資格No.1と言われる司法試験の合格率が25%程ほどあることを考えると、もしかして司法試験より難しいのでは??と思われる方も少なからずいると思います。しかし、司法試験を受験するには法科大学院で課程を修了させるなど、物凄く高いハードルを乗り越えなければいけません。
一方、行政書士は、年齢・学歴・国籍などに関わらず、誰でも受験することができます。極端な話、小学生でも幼稚園児でも受験することが可能です。また、テレビ番組などで取り上げられることも多く、受験者数は毎年50000万人以上います。これは司法試験の受験者数が約8000人、司法書士の受験者数が約20000人から考えると、かなりの数の受験者数が存在するのが分かります。
何が言いたいのかというと、まともに試験対策をせず、「とりあえず受けてみよう」「合格できればラッキー」ぐらいの意気込みで受験している人が数多くいます。一部の情報によると、3人中2人は大した勉強をしていないと言われています。
確かに難しい資格なのは間違いないですが、合格率が10%程しかないので、絶対無理という訳でもなく、実質的(万全に試験対策をした人)な合格率で言えば30%程はあると考えられます。
- 一般知識は、出題範囲の幅が広く、4割以上正解しなければ不合格という足きりもあり、大変です。法令科目では、細かい判例の言い回しや条文を覚えていないと解けない問題もあるので、法学初心者の受験は難しく、勉強時間もかなり必要です。(40代男性 会社員)
- 社会保険労務士や司法書士、弁護士等に比べれば、合格率も高く難易度も低めです。(30代男性 会社員)
行政書士試験の勉強法
テキストで基礎を固めたあと、過去問を繰り返し解く流れがおすすめです。特に行政法は出題数が多く、得点源にしやすい科目なので、条文、判例、手続きの流れをしっかり押さえておくことが大切です。
民法は範囲が広く、理解に時間がかかる科目です。暗記だけで対応するのではなく、事例問題を通じて、誰にどのような権利義務が発生するのかを整理しながら学習すると理解しやすくなります。
記述式問題では、知識を覚えているだけでなく、40字程度で要点をまとめる力が必要です。過去問や記述対策問題を使い、キーワードを入れながら簡潔に書く練習をしておきましょう。
独学でも合格を目指せますが、法律初学者にとっては難易度の高い試験です。基本的には、テキストで基礎を固め、過去問で出題傾向をつかみ、行政法・民法・記述式を重点的に対策する勉強法がおすすめです。
行政書士試験のお勧めテキスト
2026年度版 合格革命 行政書士 基本テキスト
行政書士試験の定番テキストです。憲法・民法・行政法・商法・基礎知識まで、出題範囲を体系的に学べます。独学でも使いやすく、同シリーズの基本問題集や肢別過去問集とあわせると学習の流れを作りやすい一冊です。
2026年度版 合格革命 行政書士 肢別過去問集
行政書士試験の過去問演習で定番の一冊です。過去問を肢別に整理しているため、知識の定着度を細かく確認できます。基本テキストで学んだ後、何度も繰り返して弱点をつぶしたい人に向いています。
2026年版 出る順行政書士 合格基本書
LECの行政書士試験対策シリーズの基本書です。テーマごとに整理されており、別冊六法も付属しているため、条文を確認しながら学習できます。法律をしっかり理解しながら合格を目指したい人におすすめです。
2026年度版 みんなが欲しかった!行政書士の教科書
フルカラーで読みやすく、初学者でも法律知識を整理しやすいテキストです。図表やイラストを使って理解しやすくまとめられているため、法律の勉強が初めての人や、まず全体像をつかみたい人に向いています。
資格を活かせる仕事
行政書士の資格を取得する人の理由として、「資格を取得すれば簡単に開業できるから」と思われている受験者が多数います。確かに登録費さえ払えば、容易に開業することができます。
毎年5000人以上の合格者を輩出している資格ですが、実際に登録をしている人は、2013年で43000人程しかいません。その理由として、登録費が30万円程かかりますので、資格を取得しても登録しない人がいるのと、登録して開業したけど、仕事がなく結局廃業してしまったという方が大勢いるからです。
こういった背景からも、行政書士の資格を取得したからといって、いきなり独立して高収入を得るのは難しいです。ですので、まずは行政書士事務所などの法律事務所で経験を積み、取引先とのコネクションを確立した方が良いでしょう。
行政書士の取扱業務は1万種類以上と言われており、アイデア次第で様々な方向から仕事を生み出すことができます。
行政書士の平均年商は500万円程度と言われています。弁護士の平均年商が650万円程度、司法書士の平均年商が600万円程度と言われている中で、多少落ちるものの、一般会社員の平均年収に比べると高いので、行政書士の資格さえ取得すれば、それなりの収入を得られると思われている方も大勢いるかもしれません。(年商なので、経費を差し引いた実際の年収はこれよりも下がります)
行政書士を対象にしたアンケートによると、行政書士の7割以上が年商500万円以下になります。また、開業したはいいけど、ほとんど(というか全く)収入を得られないので、アルバイトなどで他の仕事をしながら生活している人も大勢います。
司法書士や弁護士の場合は、案件単価が高いので、一つ仕事を取れれば、ある程度収入の目処が立ちますが、行政書士の場合は、案件単価が低いので、数多く仕事をこなさなければいけません。
行政書士事務所などの法律事務所で勤務する場合でも、未経験の場合は、月20万円以下が普通です。経験を積んで、顧客を増やせるようになってやっと収入が上がっていきます。
ただ夢はあります。アンケート結果によると、年商1千万以上稼いでいる行政書士は5~10%程いると言われています。また、5000万円以上は1%程います。行政書士が取り扱える業務は1万種類と言われていますので、業務の幅が広く、やり方次第ではいくらでも稼ぐことができます。
司法書士や弁護士にも言えることですが、年商の幅がかなり広いので、平均年商というのはあまりアテになりません。
高収入を得るには業務の幅を広げることが大切になりますので、司法書士や宅建士などの資格の取得も視野にいれ、ダブルライセンス、トリプルライセンスを目指して、他の資格の勉強もしておいた方が良いでしょう。
受験者の口コミ評判
割と簡単
5.0 名無し 50代その他
若いころに免許センターの近くで行政書士に書類を作成してもらったのがきっかけです。
初老の男性でしたがささっと書類を書いて2千円。材料費は紙だけでしょうか?当時はタイプ打ちでしたので、インク代もかな?
しかも、年齢がいってもマイペースで収入が得られるならいいなぁと思って挑戦してみました。
何をどう勉強していいのかわからず、何度も失敗してしまいましたがある勉強法に出会って即合格。
正しい勉強法で目指せば、割と簡単に合格できます。(2019年1月)
幅広い世代の方が受験していた
3.5 なな 30代会社員
法律の勉強をしていたので、力試しのつもりで行政書士にチャレンジしてみました。当時はあまり人気もなく、難易度もそれほど高くなかったので簡単に感じました。ここ数年は難化しているようなので事情が変わっているかもしれません。
行政法等は比較的出題数も多く、過去問から出題される傾向が強いので、こういったところを中心に過去問を回す勉強をしていました。受験していた人は学生から年配の方まで幅広い方がいたのが印象的でした。(2018年3月)
難易度は上がっている
3.5 名無し 30代会社員
行政書士試験は、よく短期間3ヶ月でも合格したとかありますが法律初学者からみると、1年位は必要かと思います。テキストは、市販本が出てますのでそれと、過去問での学習となりますが一般知識は、公務員試験などの問題集を使った方がいいと思います。
この試験の難しさは、一般知識と記述問題の採点基準にあると思います。記述採点方法が謎なので、不安な状態で年を越す受験生が大半ではないかと思います。
ロースクール組、予備試験組、司法書士受験組などが受けに来てるので、難易度はあがってると思います。(2017年11月)
2年間の勉強で取得できた
3.0 すもも 30代会社員
会社員として働きながらでしたので毎日勉強できませんでしたので、週末と平日の寝る前に2時間程度勉強しながらで、トータル2年かかりました。
最初は独学での取得を目指しましたが、挫折して結局ユーキャンの通信講座を利用して、基本的にはテキストに沿って勉強しました。ただ、通信講座の教材だけだと厳しいので、行政書士試験用の『行政書士六法』を購入して併せて勉強しました。
ユーキャンの行政書士講座で60,000円ぐらい、行政書士六法が3,000円ぐらい、入門編のテキスト1冊と過去問1冊で4,000円程度かかったので、トータルだと67,000円程ですね。+受験料
独学で取得するなら10,000円ぐらいで取得できますね。
基本的な勉強法は、暗記カードを作りつつ、通信講座のテキストと市販で買った試験対策本を徹底的にこなして、試験3ヶ月前からは過去問しかしていませんでした。
資格の取得を目指すキッカケは、小さな行政書士事務所で事務職員として勤務していますが、勤務していた行政書士さんが退職したのをキッカケに所長から取得を促されました。なので、元々は自分の意志ではありません。
資格を取得してメリットを感じることは、当たり前ですが法律の知識が身に付きましたね。今でも基本的な業務は一般事務ですが、いずれは行政書士としてのキャリアを積めればと思っています。
行政書士の資格自体、あまり就職や転職で有利になることはほとんどありませんが、企業の総務課や法務課だと重宝される資格になるので、取得をお考えの方は積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょう。(2017年8月)
予備校に通いながら資格を取りました
2.0 奈美恵 20代会社員
予備校に通いながら取得しました。予備校の費用が20万円ぐらいかかりました。独学で勉強する際に購入した「伊藤塾 入門ゼミ」と「伊藤塾 行政書士総合テキスト」、その他、古本屋で購入したテキスト代で1万円ぐらいは使ったと思います。
資格の取得を目指すキッカケは、行政書士の仕事に興味があったから。資格を取得してメリットを感じることは、収入がアップしました。
私は元々行政書士事務所で事務員として勤務していたので、知り合いを通じて他の事務所に転職して行政書士として働いていますが、そういったコネがない人は、資格を取得したからといっていきなり生かせる職場を見つけるのは困難でしょう。
収入に関しては私が勤務している法律事務所では、年収1000万円以上稼いでいる人もいます。ただ、それはごく一部の人だけで、私は5年勤務して年収が400万円程しか無いので一般のサラリーマンとさほど変わりません。ただ、開業という選択肢があるので、やり方次第では高収入を得ることも可能。(2017年5月)
タイトルなし
4.0 ごん 30代会社員
行政書士試験は、一昔前のほうが難しく、文章能力なしには取得できない資格でした。制限時間内に上手に社会問題に対する意見をまとめて書く力が必要です。それは練習しても無駄ではないかと思います。もともと才能があるかどうかの判断で、とてもこのような課題をこなすことはできません。最近の試験では、その難題が省かれたようです。(2017年1月)


割と簡単
幅広い世代の方が受験していた
難易度は上がっている
2年間の勉強で取得できた