通関士試験とは
輸出入に関する通関手続きや関税に関する知識を評価する国家試験です。通関士は、通関業者において輸出入申告や関税・消費税の計算、税関への申告書類の確認などに関わる専門職で、貿易実務の中でも通関分野に特化した資格といえます。
通関業者では、営業所ごとに通関士の設置が求められるため、貿易会社、物流会社、通関業者、フォワーダー、商社などで活かしやすい資格です。受験資格に制限はなく、実務経験がない人でも受験できます。
ただし、試験に合格しただけで直ちに通関士として働けるわけではありません。実際に通関士として業務を行うには、通関業者に所属し、税関長の確認を受ける必要があります。貿易・物流業界で専門性を高めたい人や、輸出入に関わる仕事を目指す人に向いている資格といえるでしょう。
通関士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(必置資格) |
| ジャンル | 法律・法務 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 年1回、例年10月頃 |
| 試験方法 | 筆記試験、マークシート方式。通関業法・関税法等・通関実務の3科目 |
| 免除科目 | 通関業務などの実務経験により、一部科目免除あり |
| 試験場所 | 全国の指定試験地 |
| 受験料 | 3,000円 |
| 登録・更新 | 試験合格後、通関業者に勤務し、確認を受けることで通関士として業務可能。資格更新制度なし |
| 問い合わせ | 通関業監視官 |
| 関連資格 | 貿易実務検定 行政書士 司法書士 弁理士 |
通関士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 10月4日(日)予定 | 7月下旬~8月上旬予定 | 11月上旬~中旬予定 |
通関士試験の試験内容
通関業法、関税法等、通関実務の3科目で構成されています。いずれもマークシート方式で実施され、通関業者の業務、輸出入申告、関税の課税・納付、貨物の分類、通関書類の作成など、通関手続きに関する知識と実務処理能力が問われます。
通関実務では、輸出申告書と輸入申告書の作成問題が各1問出題されます。各試験科目で合格基準を満たす必要があるため、法令科目だけでなく、申告書作成や計算問題への対応も重要です。
出題範囲
通関実務
通関書類の作成要領、輸出入申告、貨物分類、課税価格の計算、関税額の計算、申告書作成などが問われます。輸出申告書・輸入申告書の作成問題に加えて、計算問題も含まれるため、法令知識を実際の通関処理に当てはめる力が必要です。
関税法等
関税法、関税定率法、関税暫定措置法、関税に関する政令・省令、外国為替及び外国貿易法などが出題範囲です。輸出入貨物の通関手続き、関税の課税・納付、保税制度、減免税、輸入規制など、通関実務の前提となる法令知識が中心になります。
通関業法
通関業の許可、通関業者の義務、通関士の設置・確認、通関業務の範囲、監督処分、罰則などが問われます。通関業者や通関士が業務を行ううえで守るべきルールを正確に理解しておく必要があります。
試験科目と出題数
試験科目は「通関業法」「関税法等」「通関実務」の3科目です。配点は、通関業法が45点、関税法等が60点、通関実務が45点です。
出題形式は、択一式、選択式、計算式、申告書作成などで、いずれもマークシート方式により実施されます。通関実務では、輸出申告書と輸入申告書の作成問題がそれぞれ1問ずつ出題される形式です。
合格基準
各試験科目で合格基準を満たす必要があります。例年は各科目とも満点の60%程度が目安とされますが、実際の合格基準は試験回ごとに公表されます。
1科目でも基準に届かない場合は、他の科目で得点できていても合格できません。そのため、通関業法、関税法等、通関実務を偏りなく対策する必要があります。
通関士試験の受験者数・合格率
| 年度・回 | 申込者数 | 受験者数 | 受験率 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年・第59回 | 8,205人 | 6,322人 | 77.1% | 954人 | 15.1% |
| 2024年・第58回 | 8,024人 | 6,135人 | 76.5% | 759人 | 12.4% |
| 2023年・第57回 | 8,086人 | 6,332人 | 78.3% | 1,534人 | 24.2% |
| 2022年・第56回 | 8,194人 | 6,336人 | 77.3% | 1,212人 | 19.1% |
| 2021年・第55回 | 8,972人 | 6,961人 | 77.6% | 1,097人 | 15.8% |
| 2020年・第54回 | 8,770人 | 6,745人 | 76.9% | 1,140人 | 16.9% |
| 2019年・第53回 | 8,661人 | 6,388人 | 73.8% | 878人 | 13.7% |
| 2018年・第52回 | 8,491人 | 6,218人 | 73.2% | 905人 | 14.6% |
| 2017年・第51回 | 8,627人 | 6,535人 | 75.8% | 1,392人 | 21.3% |
| 2016年・第50回 | 9,285人 | 6,997人 | 75.4% | 688人 | 9.8% |
通関士試験の難易度
貿易・物流関係の国家資格の中では代表的な資格であり、通関業務に関する法律や手続き、申告書作成などの実務的な知識が求められます。貿易事務や物流業界で働いている人であれば理解しやすい部分もありますが、初学者にとっては専門用語や法律の考え方に慣れるまで少し時間がかかるでしょう。
特に難しいのは、暗記だけでは対応しにくい点です。制度や用語を覚えるだけでなく、実際の通関手続きの流れを理解し、問題に合わせて正確に判断する力が必要になります。計算や書類作成に関する内容もあるため、知識を使って解く練習も欠かせません。
一方で、司法試験や公認会計士試験のような最難関資格というわけではありません。試験範囲を絞って計画的に学習し、過去問を繰り返して出題パターンに慣れれば、実務経験がない人でも独学で合格を目指すことは可能です。
総合的に見ると、通関士試験は、貿易・通関分野の資格としてはしっかりした対策が必要な試験です。難易度はやや高めですが、学習範囲を整理し、法律知識と実務的な問題演習を積み重ねれば、初学者でも十分合格を狙える資格といえるでしょう。
通関士試験の勉強法
試験科目は、通関業法、関税法等、通関実務の3科目です。通関業法は比較的得点しやすい科目なので、まずここで安定して点を取れるようにし、関税法等は条文や制度の理解を丁寧に進める必要があります。
特に差がつきやすいのは通関実務です。輸出入申告書、課税価格の計算、関税額の計算、品目分類などは、知識を読むだけでは対応しにくいため、実際に手を動かして問題を繰り返し解くことが重要です。
法令や制度は改正されることがあるため、古い教材だけで勉強するのは避けた方が無難です。できるだけ受験年度に対応したテキストや問題集を使い、過去問を解く場合も最新の法令との違いに注意しましょう。
独学でも合格を目指せますが、通関実務や計算問題に苦手意識がある方は、通信講座やスクールを利用するのも一つの方法です。基本的には、テキストで基礎を固め、過去問を繰り返し解き、通関実務を重点的に対策する流れがおすすめです。
通関士試験のお勧めテキスト
2026年度版 通関士 スピードテキスト
通関士試験を短期間で効率よく学びたい人に使いやすいTAC出版の定番テキストです。出題傾向を分析し、重要分野をコンパクトに整理しているため、初学者の基礎固めに向いています。図表も多く、法律科目を整理しながら学べます。
2026年度版 通関士 過去問スピードマスター
過去10年分超の過去問を肢別問題に再構成した問題集です。通関士試験は法令知識を覚えるだけでなく、選択肢の判断に慣れることが重要なので、テキスト学習後のアウトプット教材として使いやすい一冊です。
通関士試験問題・解説集 2026年度版
日本関税協会が発行する問題・解説集です。過去3年分の本試験問題を中心に、合格基準分野別・出題頻度順で学習しやすく整理されています。実際の本試験レベルで演習したい人や、直前期の総仕上げに向いています。
通関士教科書 通関士 過去問題集 2026年版
翔泳社の通関士試験対策用過去問題集です。第1回から第58回試験までの中から重要論点を含む問題を精選し、最新法令と現在の試験形式に合わせて収録しています。問題演習量を増やしたい人におすすめです。
資格を活かせる仕事
貿易に関する仕事をしますが、一口に貿易と言っても色々な仕事があります。外国に日本の貨物を送り出したり、逆に海外から日本に貨物を受け取ったりする際に輸出物に問題がないかのチェック業務がメインになります。
通関業者はおよそ900社あり、通関業務を行なっている営業所は、全国に1800ヶ所あると言われていますので、就職先は豊富にあります。勤務先は、倉庫業や運送業の他、商社、貿易会社などになります。
ただ、通関士は飽和状態になりつつあるので、資格を取得したからといって必ず就職・転職出来るとは限りません。
通関士の平均年収は480万円程で、一般のサラリーマンに比べると高い水準になります。その背景として、通関士の資格を取得している場合に、5000円~15000円程度の資格手当が支給されるからだと思われます。
通関業者は、各営業所に必ず1名以上の通関士を置くことが、法律で義務付けられていますので、有資格者は重宝されやすく、営業所専任の通関士になれれば収入は更に上がるでしょう。
受験者の口コミ評判
5.0
どの会社でも重宝される
通関士という聞きなれない資格を私が初めて耳にしたのは、当時働いていた職場の同僚の話の中です。
彼の話は「通関士は貿易業界唯一の国家資格で、受験は年1回、合格率平均15.5%、何度も受験してようやく合格する人が多く、大学で貿易の勉強をしていた彼自身もすでに3回失敗しているが今年こそは合格するんだ」というものでした。
海外製品のデザインが好きで個人輸入をしていた私は、貿易の仕組みを知りたいと思っていたこともあり早速資料を取り寄せ、勉強を始めました。
勉強内容は一部は実務に関するものでしたが、基本は貿易に関する法律を丸暗記するものでした。初めて目にする言葉ばかりで不安になりましたが、慣れてくると法則が分かるようになり、とても面白くなってきて勉強が苦ではなくなり、半分趣味のようになってきました。
その年無事に合格し、今は国際輸送関連の会社で資格を生かして働いています。今まで何度か同じ業界の中で転職をしましたが、資格保有者で通関士としての経験があるということはどの会社でも重宝されていることを感じます。
名無し 30代会社員(2019年5月)

