葬祭ディレクター試験とは
葬祭業務に必要な知識や技能を評価し、葬祭サービスに携わる人の専門性を認定する資格試験です。正式には葬祭ディレクター技能審査といい、葬祭業界で働く人の知識・技能の向上や社会的評価の向上を目的として実施されています。
試験は1級と2級に分かれており、どちらも学科試験と実技試験があります。学科試験では、葬儀に関する基礎知識、宗教・儀礼、関連法規、接遇などが問われ、実技試験では幕張、接遇、司会など、葬祭現場で必要となる実践的な技能が評価されます。2024年度から学科試験はCBT方式に変更され、全国のテストセンターで期間内に受験できる形式になっています。
受験には実務経験が必要で、2級は原則として葬祭実務経験2年以上、1級は葬祭実務経験5年以上、または2級合格後2年以上の実務経験が求められます。
葬祭サービスは、故人や遺族に寄り添う丁寧な対応と、宗教儀礼・進行管理・接遇に関する専門知識が求められる仕事です。葬祭業界で働いている人や、今後葬祭ディレクターとしてスキルアップを目指す人にとって、実務経験と専門性を示しやすい資格といえるでしょう。
葬祭ディレクター試験の基本情報
| 資格種別 | 民間資格 |
|---|---|
| ジャンル | サービス・販売 |
| 資格区分 | 1級、2級 |
| 受験資格 | 2級は葬祭実務経験2年以上。1級は葬祭実務経験5年以上、または2級合格後2年以上の葬祭実務経験 |
| 試験日程 | 年1回、学科は例年10月頃、実技は例年11月頃 |
| 試験方法 | 学科試験はCBT方式。実技試験は幕張・接遇・司会など |
| 免除科目 | 学科または実技の一方に合格した場合、一定期間は合格科目を免除 |
| 試験場所 | 学科は全国のCBT会場、実技は全国の指定会場 |
| 受験料 | 1級:60,000円/2級:45,000円 |
| 登録・更新 | なし |
| 問い合わせ | 葬祭ディレクター技能審査協会 |
| 関連資格 | ABC協会認定ブライダルプランナー検定 遺品整理士 お墓ディレクター検定 相続診断士 エンディングノートプランナー |
葬祭ディレクター試験の日程
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 |
|---|---|
| 学科:10月1日(木)~10月31日(土) 実技:11月13日(金)・11月25日(水) | 6月1日~6月30日 |
葬祭ディレクター試験の内容
正式には「葬祭ディレクター技能審査」といい、葬儀の企画・運営・接遇・司会進行などに必要な知識と技能を評価する試験です。葬祭業務に携わる人を対象とした資格で、厚生労働省認定の技能審査として実施されています。
級は1級と2級に分かれています。2級は個人葬を中心とした葬祭業務、1級は個人葬だけでなく社葬なども含めた、より幅広い葬祭業務に対応できる知識と技能が求められます。
出題範囲
葬祭実務の基礎
葬儀の流れ、葬祭業務の役割、遺族への対応、式場準備、葬儀運営に必要な基本知識が問われます。
葬儀に関する知識
仏教・神道・キリスト教など宗教儀礼、葬送習慣、弔事マナー、葬儀の歴史、法令や関係制度など、葬祭業務に関わる幅広い知識が出題されます。
接遇・遺族対応
家族と死別した直後の遺族や関係者に対し、適切に挨拶し、意向を聴き取り、必要事項を確認できるかが評価されます。言葉遣い、姿勢、発声、基本的なマナーも重要です。
幕張・司会進行
実技試験では、式場装飾に関する幕張技能、遺族への接遇、葬儀・告別式での司会進行が評価されます。葬儀内容を理解し、参列者に配慮して案内・進行できる力が求められます。
試験科目と出題数
1級の学科試験はCBT方式で、正誤判定問題50問、多肢選択問題50問の合計100問です。試験時間は50分です。実技試験は、幕張7分、接遇2分、司会6分で行われます。
2級の学科試験もCBT方式で、正誤判定問題25問、多肢選択問題25問の合計50問です。試験時間は30分です。実技試験は、幕張7分、接遇2分、司会4分で行われます。
なお、2024年度から学科試験はCBT方式に変更され、以前の実技筆記に含まれていた内容は学科試験として出題されています。
合格基準
合格基準は、1級・2級ともに学科試験で70%以上、実技試験全体で70%以上の得点が目安です。実技試験では、幕張・接遇・司会の各項目についても一定以上の得点が必要とされます。
学科と実技の両方に合格する必要があるため、葬儀に関する知識だけでなく、遺族対応、式場設営、司会進行など、現場で必要となる実践的な技能も対策しておくことが大切です。
葬祭ディレクター試験の受験者数・合格率
1級
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 1,053人 | 751人 | 71.3% |
| 2023年度 | 828人 | 560人 | 67.6% |
| 2022年度 | 817人 | 538人 | 65.9% |
2級
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 707人 | 582人 | 82.3% |
| 2023年度 | 743人 | 561人 | 75.5% |
| 2022年度 | 747人 | 561人 | 75.1% |
葬祭ディレクター試験の難易度
受験には一定の実務経験が必要になるため、まったくの未経験者が気軽に受験するタイプの資格ではありません。葬祭業務に携わっている人を対象とした試験であり、現場での知識や対応力があることを前提に、さらに専門職としての理解が問われます。
学科だけでなく実技もあるため、知識を覚えるだけでは合格しにくい点も特徴です。葬儀の流れや宗教・儀礼に関する知識に加えて、実際の現場で落ち着いて対応できる力や、限られた時間内で正確に作業する力も必要になります。
そのため、葬祭業界で働いている人であっても、普段の経験だけで簡単に合格できる試験ではありません。実務経験を試験向けに整理し、苦手な分野を補いながら準備することが大切です。
総合的に見ると、葬祭ディレクター試験は、葬祭業務に関わる資格の中ではしっかりした対策が必要な試験です。実務経験者向けの資格であり、学科と実技の両方で一定の力が求められるため、難易度はやや高めといえるでしょう。
葬祭ディレクター試験の勉強法
葬祭ディレクター技能審査協会が案内している「葬祭ディレクター技能審査 模擬問題集」を中心に学習するのがおすすめです。協会の公式サイトでは、試験勉強に有用な書籍として問題集などが紹介されています。
学科試験対策では、まず模擬問題集を繰り返し解き、出題傾向やよく問われる内容をつかみましょう。葬祭に関する知識は範囲が広いため、最初からすべてを細かく覚えようとするよりも、問題を解きながら重要な部分を確認していく方が効率的です。
分からない部分や間違えた問題については、関連書籍の「葬儀概論」などで復習すると理解が深まります。実際の勉強法としても、学科は葬儀概論で内容を把握し、過去問を繰り返し解く方法が紹介されています。
また、葬祭ディレクター試験は学科だけでなく、実技試験への対策も重要です。特に幕張、接遇、司会などは、知識だけではなく実際の動きや声の出し方、時間配分に慣れておく必要があります。幕張については、ストップウォッチを使って繰り返し練習する方法も有効です。
葬祭業務の経験がある方であれば、日々の実務と結びつけながら学ぶことで理解しやすいでしょう。一方で、実務経験が少ない方は、葬儀の流れ、宗教儀礼、遺族対応、式場設営、司会進行などを具体的にイメージしながら学習することが大切です。
基本的には、模擬問題集をメインに学習し、分からない部分を葬儀概論などで補強する流れで十分に対策できます。実技については、頭で理解するだけでなく、実際に声を出したり、動作を確認したりしながら反復練習しておくと、本番でも落ち着いて対応しやすくなります。
資格を活かせる仕事
葬儀の打ち合わせ、式場設営、進行管理、遺族対応、宗教・宗派に関する知識、葬祭サービスの実務などを学べる資格です。葬儀に関わる専門職として、必要な知識や技能を確認するための資格といえます。
活かしやすい仕事としては、葬儀会社、葬祭会館、セレモニースタッフ、葬祭ディレクター、葬儀プランナー、式典進行スタッフ、霊柩車・搬送業務、供花・仏具関連の仕事などがあります。特に、ご遺族との打ち合わせ、葬儀内容の提案、式場準備、当日の進行管理などを行う仕事では、資格で学んだ知識を実務に活かしやすいでしょう。
葬祭の仕事では、専門知識だけでなく、遺族の気持ちに寄り添う姿勢や、落ち着いた対応力、細かな段取り力が求められます。突然の依頼に対応することも多いため、状況を整理しながら、丁寧かつ確実に業務を進める力が重要になります。
ただし、葬祭ディレクター試験だけで就職・転職が必ず有利になるというよりは、葬祭業界での実務経験と組み合わせることで評価されやすい資格です。すでに葬儀会社で働いている人のスキルアップや、葬祭業界で長く働きたい人が専門性を高めるために取得する価値のある資格といえるでしょう。

