中小企業診断士試験の難易度・合格率・試験日など

目次

中小企業診断士とは

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対して診断や助言を行う、経営コンサルタント系の国家資格です。中小企業支援法では「中小企業の経営診断の業務に従事する者」と位置づけられており、企業の経営戦略、財務、人事、マーケティング、生産管理、IT活用など、経営全般を幅広く支援します。

経営コンサルタントを名乗ること自体に資格は必須ではありませんが、中小企業診断士は経営コンサルタント分野では代表的な国家資格として知られています。企業支援、事業計画の作成、補助金・助成金の支援、創業支援、事業承継、経営改善など、実務で活かせる範囲が広い点が特徴です。

中小企業診断士になるルートは、大きく分けて2つあります。1つ目は、第1次試験と第2次試験に合格し、その後に実務補習または実務従事を経て登録する方法です。2つ目は、第1次試験に合格した後、中小企業基盤整備機構や登録養成機関が実施する養成課程を修了して登録を目指す方法です。養成課程は実践的な経営支援スキルを学ぶルートとして設けられています。

受験資格に制限はなく、年齢や学歴、実務経験に関係なく誰でも第1次試験を受験できます。一方で、試験範囲は非常に広く、経済学、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策など、経営に関する幅広い知識が問われます。

また、2026年度試験からは第2次試験の口述試験が廃止され、試験制度にも変更が加えられています。これまで第2次試験は筆記試験と口述試験で構成されていましたが、2026年度以降は筆記試験が中心となるため、最新の試験制度に合わせて対策する必要があります。

中小企業診断士は、知名度があり、ビジネス系資格の中でも評価されやすい資格です。ただし、合格率は低めで、学習範囲も広いため、簡単に取得できる資格ではありません。独立開業を目指す人だけでなく、企業内で経営企画、営業企画、金融機関、コンサルティング、管理職を目指す人にも活用しやすい資格といえるでしょう。

中小企業診断士試験の基本情報

資格種別国家資格(名称独占資格)
ジャンル事務・ビジネス・経営
資格区分なし
受験資格第1次試験は制限なし。年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験可能。第2次試験は、原則として第1次試験合格者が対象
試験日程年1回実施
試験方法第1次試験は多肢選択式の筆記試験。第2次試験は中小企業の診断・助言に関する実務事例について、短答式または論文式による筆記試験
免除科目あり。第1次試験では科目合格制度や、一定の資格保有者などに対する科目免除制度あり
試験場所第1次試験:札幌、仙台、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、松山、福岡、那覇
第2次試験:札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡
受験料【一次試験】13,000円【二次試験】17,200円
登録・更新試験合格後、実務補習または実務従事を経て登録が必要。登録有効期間は5年で、更新には一定の要件を満たす必要がある
問い合わせ一般社団法人 中小企業診断協会
関連資格経営学検定
ITコーディネータ試験
社会保険労務士
税理士
営業力強化検定

中小企業診断士試験の日程

2026年度

試験区分試験日申込期間合格発表
第1次試験8月1日(土)・8月2日(日)4月23日~5月27日9月1日
第2次試験10月25日(日)9月1日~9月18日1月13日

中小企業診断士試験の内容

試験は大きく第1次試験第2次試験に分かれています。

第1次試験は、多肢選択式による筆記試験です。経済学、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策の7科目が出題されます。経営に関する幅広い知識を確認する試験であり、科目数が多い点が特徴です。

第2次試験は、中小企業の診断・助言に関する実務事例について、短答式または論文式による筆記試験で実施されます。以前は口述試験もありましたが、2026年度から第2次試験の口述試験は廃止されています。

第1次試験では知識の幅広さが問われ、第2次試験では、その知識を使って企業の課題を分析し、助言につなげる力が求められます。単なる暗記だけではなく、財務数値の読み取り、経営課題の整理、改善策の提案など、実務に近い思考力も必要です。

出題範囲

経済学・経済政策

ミクロ経済学、マクロ経済学、財市場、労働市場、金融政策、財政政策、国際経済などが出題されます。企業経営を取り巻く経済環境を理解するための基礎科目です。グラフや数式を使った問題もあるため、用語の暗記だけでなく、需要と供給、GDP、物価、為替などの仕組みを理解しておく必要があります。

財務・会計

財務諸表、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー、経営分析、原価計算、投資判断、企業価値評価などが出題されます。第2次試験でも重要になる科目で、計算問題への対応力が必要です。苦手にする受験者も多いため、早い段階から繰り返し問題演習をしておくとよいでしょう。

企業経営理論

経営戦略、組織論、人的資源管理、マーケティングなどが出題されます。企業がどのように競争優位をつくり、組織を動かし、商品やサービスを市場に届けるのかを学ぶ科目です。中小企業診断士らしい内容が多く、第2次試験の事例問題にもつながりやすい分野です。

運営管理

生産管理と店舗・販売管理を中心に出題されます。生産計画、品質管理、在庫管理、工程管理、IE、店舗レイアウト、物流、販売促進などが範囲です。製造業や小売業の現場改善に関わる内容が多く、実務的な知識も問われます。

経営法務

会社法、知的財産権、契約、民法、倒産法制、企業取引に関する法律などが出題されます。中小企業の経営支援では、契約や会社運営、知的財産に関する基本知識が必要になるため、法律の全体像を押さえておくことが大切です。

経営情報システム

情報システム、ネットワーク、データベース、セキュリティ、ソフトウェア、IT活用、システム開発などが出題されます。ITが苦手な人には難しく感じやすい科目ですが、近年の企業経営ではデジタル化が重要になっているため、基本用語と仕組みを整理しておく必要があります。

中小企業経営・中小企業政策

中小企業の動向、中小企業白書、小規模企業白書、中小企業支援策、補助金、金融支援、経営革新、事業承継、創業支援などが出題されます。暗記量が多い科目ですが、中小企業診断士として中小企業を支援するうえで重要な分野です。

第2次試験

第2次試験では、中小企業の診断・助言に関する実務事例が出題されます。第1次試験で学んだ知識を使い、企業の現状を分析し、課題を整理し、改善策を文章で答える力が必要です。特に、組織・人事、マーケティング、運営管理、財務・会計に関する事例への対応力が重視されます。

合格基準

第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上で、かつ1科目でも満点の40%未満がないことです。7科目すべてを受験する場合は、700点満点中420点以上が目安になります。ただし、試験委員会が相当と認めた得点比率により、合格基準が調整される場合があります。

第1次試験には科目合格制度もあります。各科目で60点以上を取ると科目合格となり、申請により翌年度と翌々年度の試験でその科目の受験が免除されます。

第2次試験の合格基準は、総点数の60%以上で、かつ1科目でも満点の40%未満がないことです。第1次試験と同じく、全体で得点できていても、特定の事例で大きく失点すると不合格になる可能性があります。そのため、第2次試験では得意分野だけに頼らず、各事例をバランスよく得点できるように対策することが大切です。

中小企業診断士試験の受験者数・合格率

第1次試験

年度申込者数受験者数合格者数合格率
2025年度26,211人18,360人4,344人23.7%
2024年度25,317人18,209人5,007人27.5%
2023年度26,190人18,755人5,560人29.6%
2022年度24,778人17,345人5,019人28.9%
2021年度24,495人16,057人5,839人36.4%
2020年度20,169人11,785人5,005人42.5%
2019年度21,163人14,691人4,444人30.2%
2018年度20,116人13,773人3,236人23.5%
2017年度20,118人14,343人3,106人21.7%
2016年度19,444人13,605人2,404人17.7%

第2次試験

年度申込者数受験者数合格者数合格率
2025年度7,355人7,044人1,240人17.6%
2024年度8,442人8,119人1,516人18.7%
2023年度8,601人8,241人1,555人18.9%
2022年度9,110人8,712人1,625人18.7%
2021年度9,190人8,757人1,600人18.3%
2020年度7,082人6,388人1,174人18.4%
2019年度6,161人5,954人1,088人18.3%
2018年度4,978人4,812人905人18.8%
2017年度4,453人4,279人828人19.4%
2016年度4,539人4,394人842人19.2%

中小企業診断士試験の難易度

中小企業診断士試験は、国家資格の中でも難易度が高い試験のひとつです。一次試験では経済学、財務・会計、企業経営理論、運営管理、法務、情報システム、中小企業経営・政策など幅広い分野から出題され、二次試験では事例問題を通して実践的な分析力や提案力が問われます。

合格までに必要な勉強時間は、一般的に1,000〜1,300時間程度といわれることが多く、十分な学習計画が必要です。仮に1,300時間を目安にすると、毎日4時間ずつ勉強しても約11か月かかる計算になります。そのため、仕事や家庭と両立しながら目指す場合は、1年以上の長期戦になるケースも珍しくありません。

ただし、必要な勉強時間には個人差があります。経営、会計、法務、ITなどの知識がある人や、実務で経営企画・コンサルティング・財務分析などに関わっている人であれば、比較的短期間で合格を狙える可能性があります。一方で、経営や会計の知識がほとんどない状態から始める場合は、基礎理解に時間がかかり、2,000時間近く勉強しても合格が難しい場合もあります。

中小企業診断士試験は、単純な暗記だけで突破できる試験ではありません。一次試験では幅広い知識を正確に理解する力、二次試験では限られた時間内で企業の課題を読み取り、論理的に解答を組み立てる力が求められます。そのため、独学で合格を目指すことも可能ではありますが、効率よく学習を進めるには、通信講座や予備校、過去問演習を活用しながら計画的に対策することが重要です。

難易度は高いものの、経営全般を体系的に学べる資格であり、企業内でのキャリアアップや独立、コンサルタント業務にもつながりやすい資格です。十分な学習時間を確保し、一次試験と二次試験それぞれに合った対策を継続できるかどうかが、合格への大きなポイントになります。

中小企業診断士試験の勉強法

中小企業診断士試験を目指す場合は、まず一次試験の合格を目標に、1年単位の学習計画を立てることが大切です。一次試験は出題範囲が非常に広く、経済学、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策など、複数の分野をバランスよく学習する必要があります。

独学での合格も不可能ではありませんが、学習範囲が広く、試験対策の方向性をつかみにくい資格でもあります。そのため、費用面に余裕がある場合は、通信講座や予備校を活用した方が現実的です。特に初学者の場合、重要論点の整理や学習スケジュールの管理、過去問演習の進め方をサポートしてもらえるため、効率よく合格を目指しやすくなります。

一次試験対策では、最初から完璧に理解しようとするよりも、まずは全体像をつかみ、その後に過去問演習を繰り返して知識を定着させることが重要です。科目数が多いため、苦手科目を放置すると総合点に大きく影響します。早い段階で苦手分野を把握し、得点源にできる科目と最低限落とさない科目を分けて対策するとよいでしょう。

二次試験は、知識を覚えるだけでは対応しにくい試験です。事例企業の状況を読み取り、課題を整理し、限られた時間内で論理的な解答を作成する力が求められます。そのため、一次試験合格後に慌てて対策を始めるのではなく、早い段階から過去問や事例問題に触れておくと安心です。

特に二次試験対策では、自分の解答を客観的に見直すことが重要になります。独学だけでは、解答の方向性が合っているのか判断しにくい場合もあるため、予備校の添削指導や模擬試験、勉強会などを活用すると効果的です。中小企業診断士試験は長期戦になりやすい資格ですが、学習計画を立て、一次試験と二次試験の特徴に合わせた対策を継続することが合格への近道です。

中小企業診断士試験のお勧めテキスト

みんなが欲しかった!中小企業診断士の教科書

初めて中小企業診断士を学ぶ人に向いている入門テキストです。図解やイラストが多く、専門用語も比較的わかりやすく整理されています。まず試験全体のイメージをつかみたい人や、独学で基礎から進めたい人におすすめです。

最速合格のためのスピードテキスト 中小企業診断士

一次試験対策の定番テキストです。科目ごとに重要論点が整理されており、効率よくインプットを進めたい人に向いています。同シリーズの問題集とあわせて使うことで、知識の確認と定着をしやすくなります。

最速合格のためのスピード問題集 中小企業診断士

スピードテキストで学んだ内容を確認するための問題集です。インプットだけで終わらせず、実際に問題を解きながら理解度を確認できます。一次試験は科目数が多いため、早い段階から問題演習を取り入れることが重要です。

中小企業診断士を活かせる仕事

企業の経営課題を分析し、改善策を提案する経営コンサルタント系の仕事で活かしやすい資格です。経営戦略、財務・会計、マーケティング、人事・組織、店舗運営、IT活用など、経営全般に関する知識を学ぶため、幅広いビジネス分野で役立てることができます。

主な活躍先としては、コンサルティング会社、一般企業の経営企画・事業企画部門、金融機関、公的な中小企業支援機関、商工会議所、自治体関連の支援窓口などが挙げられます。企業に勤めながら資格を活かす「企業内診断士」として働く人も多く、自社の経営改善、新規事業の立案、業務効率化、補助金申請支援、事業承継支援などに関わるケースもあります。資格取得後のキャリアとして、独立開業、企業内診断士、コンサルティング会社、公的機関など複数の選択肢があります。

中小企業診断士として働く方法は、大きく分けると、企業や支援機関に所属して働く方法と、独立して中小企業診断士事務所を開業する方法があります。企業に所属する場合は、安定した収入を得ながら実務経験を積める点がメリットです。一方、独立開業する場合は、顧問契約、経営相談、補助金支援、研修講師、執筆、セミナー登壇など、仕事の幅を自分で広げていくことができます。

ただし、資格を取得しただけで、すぐに独立して安定的に稼げるとは限りません。経営コンサルタントとして信頼を得るには、実務経験、人脈、営業力、得意分野の明確化が重要になります。そのため、最初は企業内診断士として経験を積み、実績や人脈を作ってから独立を目指す人も少なくありません。

また、中小企業診断士の知識は、講師業や研修業にも活かせます。ビジネススクール、資格学校、企業研修、創業支援セミナーなどで、経営戦略やマーケティング、財務分析、組織運営などを教える仕事に携わる人もいます。実務経験と組み合わせることで、単なる資格保有者ではなく、実践的なアドバイスができる人材として評価されやすくなります。

収入面については、働き方によって大きく差があります。中小企業診断協会の調査では、コンサルタント業務の日数が年間100日以上の人の年収で、最も多い層は「501万円〜800万円以内」とされています。 一方で、独立して顧問先を増やしたり、研修・講演・執筆など複数の収入源を持ったりすれば、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。

中小企業診断士は、取得すれば必ず高収入になる資格ではありませんが、経営に関する知識を体系的に身につけられる点は大きな魅力です。企業内でのキャリアアップ、転職、独立、副業、講師業など、さまざまな働き方に発展させやすい資格といえるでしょう。

資格を広めてくれると嬉しいです!
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