税理士試験とは
税務の専門家である税理士を目指すための国家試験です。税理士は、所得税・法人税・消費税・相続税など、税金に関する申告、相談、書類作成などを行う専門職で、個人事業主や企業の税務を支える役割を担います。
試験は科目合格制を採用しており、必要な科目を一度にすべて合格する必要はありません。働きながら数年かけて合格を目指す人も多く、長期的に計画を立てて取り組みやすい試験です。合格科目は次回以降も有効とされています。
ただし、税理士として登録するには、試験合格だけでなく、租税または会計に関する一定の実務経験も必要です。税理士事務所、会計事務所、企業の経理・財務部門などで活かしやすく、会計・税務分野で専門性を高めたい人に向いている資格といえるでしょう。
税理士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(業務独占資格) |
| ジャンル | 金融・会計・簿記 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 会計学科目は制限なし。税法科目は学識・資格・職歴などの受験資格が必要 |
| 試験日程 | 年1回、例年8月頃 |
| 試験方法 | 筆記試験、記述式。会計学2科目・税法9科目の科目合格制 |
| 免除科目 | 学位、資格、職歴などによる一部科目免除制度あり |
| 試験場所 | 全国主要都市など |
| 受験料 | 1科目4,000円/2科目5,500円/3科目7,000円/4科目8,500円/5科目10,000円 |
| 登録・更新 | 試験合格後、実務経験などを満たして税理士登録。資格更新制度なし |
| 問い合わせ | 全国の国税局 |
| 関連資格 | 公認会計士 日商簿記検定 簿記能力検定 所得税法能力検定 |
税理士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 8月4日(火)~8月6日(木) | 4月20日~5月8日 | 11月27日 |
税理士試験の試験内容
試験は科目合格制で、会計学に属する2科目と、税法に属する3科目の合計5科目に合格すると、税理士試験の合格者となります。
会計学に属する科目は「簿記論」と「財務諸表論」の2科目です。税法に属する科目は「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法または酒税法」「国税徴収法」「住民税または事業税」「固定資産税」で、この中から3科目を選択します。ただし、所得税法または法人税法のいずれか1科目は必ず合格する必要があります。
出題範囲
税法に属する科目
税法科目では、各税目に関する法令、計算、理論の理解が問われます。所得税法は個人の所得に対する課税、法人税法は法人の所得に対する課税、相続税法は相続・贈与に関する課税、消費税法は消費税の計算や申告、国税徴収法は国税の徴収手続きなどが中心です。
住民税、事業税、固定資産税、酒税法も、それぞれの税目に関する制度や計算、課税関係を理解しているかが問われます。税法科目は、単なる暗記だけでなく、条文や制度の趣旨を踏まえて、具体的な事例に適用できる力が必要です。
会計学に属する科目
簿記論では、企業の取引を仕訳し、帳簿記録や決算整理を通じて財務諸表を作成するための計算力が問われます。商業簿記、工業簿記、会計処理、決算手続きなどが中心です。
財務諸表論では、財務諸表の作成や表示、会計基準、会計理論に関する理解が問われます。計算問題だけでなく、会計処理の考え方や財務諸表の表示に関する理論問題も出題されます。
試験科目と出題数
税理士試験は、全11科目の中から必要な科目を受験する形式です。1科目ごとに試験が実施され、試験時間は各科目120分です。出題形式は記述式で、計算問題や理論問題に解答します。
合格に必要な5科目は、会計学に属する「簿記論」「財務諸表論」の2科目と、税法に属する3科目です。税法科目では、所得税法または法人税法のいずれか1科目以上を含める必要があります。なお、消費税法と酒税法はどちらか1科目、住民税と事業税もどちらか1科目しか選択できません。
合格基準
合格基準は、各科目とも満点の60%です。税理士試験は科目合格制のため、合格した科目は翌年以降も有効となり、最終的に会計学2科目と税法3科目の合計5科目に合格すると、税理士試験の合格者となります。
科目ごとに合否が判定されるため、5科目を一度に受験する必要はありません。受験する科目ごとに、計算問題と理論問題の両方を対策し、各科目で基準点を満たす必要があります。
税理士試験の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 5科目到達者数 | 一部科目合格者数 | 合格者数合計 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 36,320人 | 527人 | 7,320人 | 7,847人 | 21.6% |
| 2024年度 | 34,757人 | 578人 | 5,184人 | 5,762人 | 16.6% |
| 2023年度 | 32,893人 | 600人 | 6,525人 | 7,125人 | 21.7% |
| 2022年度 | 28,853人 | 620人 | 5,006人 | 5,626人 | 19.5% |
| 2021年度 | 27,299人 | 585人 | 4,554人 | 5,139人 | 18.8% |
| 2020年度 | 26,673人 | 648人 | 4,754人 | 5,402人 | 20.3% |
| 2019年度 | 29,779人 | 749人 | 4,639人 | 5,388人 | 18.1% |
| 2018年度 | 30,850人 | 672人 | 4,044人 | 4,716人 | 15.3% |
| 2017年度 | 32,974人 | 795人 | 5,839人 | 6,634人 | 20.1% |
| 2016年度 | 35,589人 | — | — | 5,638人 | 15.8% |
税理士試験の難易度
会計・税務系資格の中でも最難関クラスの国家試験であり、簿記や会計の知識だけでなく、各税法について深く理解する必要があります。単に用語や条文を覚えるだけでは対応しにくく、計算力、理論暗記、答案構成力をバランスよく身につけなければなりません。
また、税理士試験は科目合格制が採用されているため、1年で一気に合格を目指すというより、数年かけて段階的に合格を積み上げていく人が多い試験です。その分、短期集中だけで突破する資格ではなく、長期間学習を継続できるかどうかも大きなポイントになります。
特に税法科目は、法律の考え方と計算処理の両方が必要になるため、初学者にとってはかなり難しく感じやすい分野です。簿記の知識がある人でも、税理士試験向けの理論暗記や記述の対策には別の難しさがあります。
一方で、科目ごとに合格を積み上げられるため、計画的に学習すれば社会人でも合格を目指すことは可能です。働きながら受験する人も多い資格ですが、学習量は非常に多く、相当な覚悟と継続力が必要になります。
総合的に見ると、税理士試験は、会計・税務分野で専門職を目指す人向けの難関資格です。短期間で気軽に取得できる資格ではなく、長期的な学習計画と強い継続力が求められる試験といえるでしょう。
税理士試験の勉強法
税理士試験は、簿記論・財務諸表論を含む会計科目2科目と、税法科目3科目の合計5科目に合格する必要がある試験です。科目合格制のため、一度に5科目すべてを受験する必要はありませんが、合格まで数年かかることも多い長期戦の資格です。各科目の合格基準は満点の60%とされています。(nta.go.jp)
勉強法としては、独学よりも資格予備校や通信講座を利用するのが一般的です。試験範囲が広く、計算問題と理論暗記の両方が必要になるため、最初からカリキュラムに沿って進めた方が効率的です。
まずは簿記論と財務諸表論から学習を始めるとよいでしょう。簿記論は計算力、財務諸表論は計算と理論の両方が求められるため、問題演習を繰り返しながら、処理スピードと正確性を高めることが大切です。
税法科目では、法人税法、所得税法、相続税法、消費税法などから選択します。税法は理論暗記の負担が大きいため、早い段階から暗記を始め、答案として書けるレベルまで繰り返し練習する必要があります。
税理士試験は短期間で合格を狙うよりも、科目ごとに計画を立てて着実に合格を積み上げる勉強法がおすすめです。働きながら受験する方も多いため、1年に1〜2科目ずつ受験するなど、自分の学習時間に合わせた現実的な計画を立てましょう。
税理士試験のお勧めテキスト
2026年度版 みんなが欲しかった!税理士 簿記論の教科書&問題集
簿記論を初めて学ぶ人に使いやすい、TAC出版の教科書&問題集シリーズです。論点ごとに解説と問題演習を進められるため、基礎から段階的に学習できます。簿記論を独学で始める場合の中心教材として選びやすい一冊です。
2026年度版 みんなが欲しかった!税理士 財務諸表論の教科書&問題集
財務諸表論の計算・理論を基礎から整理したい人に向いたシリーズです。理論編では会計基準や重要論点を学びやすく、初学者でも試験範囲の全体像をつかみやすい構成です。簿記論とあわせて学習する人にも使いやすい教材です。
2026年度版 税理士 簿記論 過去問題集
簿記論の本試験対策に使いやすい過去問題集です。過去5年分の本試験問題を収録しており、出題傾向や時間配分を確認できます。テキストで基本論点を学んだ後、本番形式の演習を重ねたい人におすすめです。
税理士試験の通信講座
⇒ 税理士のおすすめ通信講座(クレアール・LEC・TAC)を徹底比較
資格を活かせる仕事
税理士試験に合格すると、税理士事務所、会計事務所、税理士法人、企業の経理・財務部門などで活躍できます。税務申告、会計処理、決算業務、税務相談、相続税対策、法人税・所得税・消費税に関する業務など、税金と会計に関わる専門職で活かせる資格です。
活かしやすい仕事としては、税理士、税理士補助、会計事務所スタッフ、企業の経理、財務、決算担当、税務担当、相続関連業務、事業承継支援、独立開業などがあります。特に、法人や個人事業主の税務申告、記帳代行、決算書作成、節税相談などに関わる仕事では、税理士試験で学んだ知識を直接活かすことができます。
税理士は業務独占資格であり、税務代理、税務書類の作成、税務相談を正式に行える点が大きな強みです。そのため、会計・税務分野で長く働きたい人にとっては、非常に実用性の高い資格といえます。実務経験を積めば、将来的に独立開業を目指せる点も大きな魅力です。
ただし、税理士試験に合格すれば必ず希望する職場に就職・転職できるわけではありません。税理士や会計事務所の数は多く、実務経験、担当できる業務範囲、顧客対応力、相続・法人税務・国際税務などの専門性も重視されます。特に未経験の場合は、まず税理士事務所や会計事務所で経験を積み、実務力を高めることが重要です。
また、小規模な会計事務所や税理士事務所では、最初から高収入を期待するのは難しい場合もあります。収入だけを重視するよりも、まずは申告書作成、顧問先対応、決算業務、税務相談の補助などを経験し、実務スキルを積み上げる意識が大切です。
税理士試験は難易度が高く、取得まで時間がかかる資格ですが、会計・税務分野では強い専門性を示せます。経験や人脈を積めば独立も可能であり、安定性と将来性のある資格といえるでしょう。

