
JTF(ほんやく検定)とは
JTF〈ほんやく検定〉は、一般社団法人日本翻訳連盟(JTF)が実施している、産業翻訳の実力を測るための検定試験です。翻訳者の育成や、実務で通用する翻訳人材の発掘を目的として行われています。
試験はインターネット受験方式で実施されるため、所定の環境が整っていれば自宅などから受験できます。翻訳会社や実務現場で求められる翻訳力を測る試験なので、単なる英語力だけでなく、原文を正しく理解し、自然で分かりやすい日本語・英語に訳す力が問われます。
実用レベルは1級・2級・3級に分かれており、英日翻訳・日英翻訳の各分野で受験できます。1級・2級の合格者は「検定合格者リスト」に登録でき、JTF加盟翻訳会社から仕事の機会につながる可能性もあります。
なお、以前実施されていた実用レベルの「特許分野」は、NIPTA/JTF知的財産翻訳検定試験へ統合されたため、現在のJTF〈ほんやく検定〉では実施されていません。特許・知財分野の翻訳を目指す場合は、NIPTA/JTF知的財産翻訳検定試験を確認するとよいでしょう。
JTFの基本情報
| 資格種別 | 民間資格 |
| ジャンル | 英語・外国語 |
| 資格区分 | 実用レベル:1級・2級・3級 |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 年2回程度実施。原則として1月・7月ごろ |
| 試験方法 | インターネット受験。英日翻訳または日英翻訳を選択し、指定分野の翻訳問題に解答 |
| 免除科目 | なし |
| 試験場所 | 自宅などインターネット環境が整っている場所 |
| 受験料 | 実用レベル1科目:一般11,000円、JTF会員8,800円 |
| 登録・更新 | 3級以上の合格者には「翻訳士」の称号が授与される。1級・2級合格者は「検定合格者リスト」へ登録可能 |
| 問い合わせ | 一般財団法人 日本翻訳連盟 |
| 関連資格 | 翻訳実務検定 観光英語検定 英語応対能力検定 TOEIC |
JTFの試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 1月24日 | 10月20日~1月13日 | 3月26日 |
| 7月25日 | 4月20日~7月13日 | 9月24日 |
JTFの試験内容
試験はインターネット受験方式で実施され、自宅などから受験できます。
実用レベルでは、英日翻訳または日英翻訳を選択し、指定された分野の翻訳問題に解答します。翻訳文の正確さだけでなく、自然な表現、専門用語の使い方、読みやすさ、調査力なども評価されます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象レベル | 実用レベル |
| 判定級 | 1級・2級・3級・不合格 |
| 翻訳方向 | 英日翻訳・日英翻訳 |
| 出題分野 | 政経・社会、科学技術、金融・証券、医学・薬学、情報処理 |
| 試験形式 | インターネット受験による翻訳実技 |
| 試験時間 | 120分 |
実用レベルでは、受験時に選択した分野の翻訳問題に取り組みます。たとえば、科学技術分野であれば技術文書、金融・証券分野であれば経済や投資に関する文章、医学・薬学分野であれば医療・医薬関連の文章が出題されます。
試験では、単に英文や日本語を直訳するのではなく、原文の意味を正確に理解し、読み手に伝わりやすい訳文に仕上げる力が求められます。そのため、語学力に加えて、専門分野の知識や用語を調べる力も重要です。
合格点
| 判定 | 評価の目安 |
|---|---|
| 1級 | 翻訳の品質が非常に高く、実務翻訳者として十分に通用するレベル |
| 2級 | 実務翻訳者として通用するレベル |
| 3級 | 実務翻訳者として基礎的な力があるレベル |
| 不合格 | 実務翻訳としては、正確性・表現力・専門知識などに不足があるレベル |
JTFの受験者数・合格率
2023年
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 英日翻訳 1級 | 329名 | 3名 | 0.9% |
| 英日翻訳 2級 | 329名 | 15名 | 5.0% |
| 英日翻訳 3級 | 329名 | 72名 | 22.0% |
| 日英翻訳 1級 | 194名 | 4名 | 2.1% |
| 日英翻訳 2級 | 194名 | 13名 | 7.0% |
| 日英翻訳 3級 | 194名 | 40名 | 21.0% |
| 4級 | 108名 | 59名 | 55.0% |
| 5級 | 102名 | 50名 | 49.0% |
| 合計 | 733名 | 256名 | 35.0% |
JTFの難易度
英語力だけでなく、実務翻訳として通用する訳文を作れるかが問われる試験です。そのため、一般的な英語資格とは難しさの方向性が異なります。
実用レベルでは、英日翻訳・日英翻訳を選択し、さらに政経・社会、科学技術、金融・証券、医学・薬学、情報処理などの専門分野から出題されます。翻訳の完成度に応じて1級・2級・3級または不合格が判定されるため、単に英文を読めるだけでは合格は難しい試験です。
特に1級は、翻訳の専門家として十分に通用するレベルとされており、正確な読解力、自然な表現力、専門用語の理解、調査力が求められます。TOEICで高いスコアを持っていても、実務翻訳として読みやすく正確な訳文を作れなければ、上位級の合格は簡単ではありません。
一方で、3級は実務翻訳者としての基礎力を確認するレベルなので、初めて受験する人は3級判定を目指して取り組むのが現実的です。翻訳者を目指す場合は、まず自分の得意分野を選び、過去問や実務に近い文章で訳文作成の練習を重ねることが重要です。
JTFの勉強法
JTF〈ほんやく検定〉を受験する場合は、まず公式問題集や過去問を活用して、試験の形式や出題傾向を把握することから始めましょう。実施団体である日本翻訳連盟から関連教材が出ているため、初めて受験する人は公式教材を中心に学習を進めるのがおすすめです。
この試験では、英語力だけでなく、実務翻訳として読みやすく正確な訳文を作る力が求められます。そのため、単語や文法を覚えるだけでは不十分です。原文の意味を正しく理解し、訳抜けや誤訳を避けながら、自然な日本語・英語に整える練習が必要になります。
実用レベルでは、政経・社会、科学技術、金融・証券、医学・薬学、情報処理などの分野から選択して受験します。自分の得意分野を選び、その分野でよく使われる専門用語や表現を重点的に覚えておくと、効率よく対策できます。
また、翻訳後は必ず見直しを行いましょう。誤字脱字、数字や固有名詞のミス、訳抜け、不自然な表現がないかを確認する習慣をつけることが大切です。時間内に翻訳を仕上げる必要があるため、過去問を使って120分で解答する練習もしておくと安心です。
まずは公式問題集を繰り返し解き、試験の流れと採点で重視されるポイントを理解することが、合格への近道になります。
JTFのテキスト
JTFほんやく検定公式問題集
JTF〈ほんやく検定〉を受験するなら、まず確認しておきたい公式問題集です。実際の試験形式や出題傾向をつかみやすく、英日翻訳・日英翻訳の対策を進めるうえで基本となる1冊です。初めて受験する人は、まずこの問題集で試験の流れを把握するとよいでしょう。
翻訳スキルハンドブック
英日翻訳の基本的な考え方や、自然な日本語に訳すためのポイントを学びたい人に向いています。JTF対策では、英語を読めるだけでなく、読みやすく正確な訳文に仕上げる力が必要になるため、翻訳の基礎固めとして使いやすいテキストです。
最新版 産業翻訳パーフェクトガイド
産業翻訳の仕事内容や業界の仕組みを知りたい人におすすめです。JTF〈ほんやく検定〉は実務翻訳に近い試験なので、翻訳者として働くイメージを持ちながら勉強したい人に役立ちます。
産業翻訳パーフェクトガイド
産業翻訳に必要な知識や、翻訳の仕事の進め方を学びたい人向けの本です。試験対策だけでなく、将来的に在宅翻訳や実務翻訳の仕事を目指したい人にも参考になります。
JTFを活かせる仕事
産業翻訳の実務力を証明できる検定です。取得することで、翻訳者としての実力をアピールしやすくなりますが、資格を取ればすぐに翻訳家として安定して働けるわけではありません。
翻訳の仕事は、翻訳会社に登録して案件を受ける、企業内の翻訳担当として働く、またはフリーランスとして活動するなど、いくつかの働き方があります。ただし、翻訳者はフリーランスとして働く人も多く、会社員として翻訳専門職に就くには、語学力だけでなく専門分野の知識や実務経験も求められやすいです。
JTF〈ほんやく検定〉を活かしやすい仕事としては、産業翻訳、技術翻訳、医薬翻訳、金融翻訳、IT翻訳、特許関連翻訳、翻訳会社のチェッカー、企業内翻訳担当などが挙げられます。特に1級・2級を取得していると、翻訳実務に近い力を持っている証明としてアピールしやすいでしょう。
収入については、フリーランスの場合、翻訳分野や案件単価、受注量によって大きく変わります。専門性の高い分野ほど単価は高くなりやすい一方、安定して仕事を得るには実績や継続的な取引先が必要です。そのため、最初から翻訳一本で生計を立てるよりも、本業や別の仕事と並行しながら、副業として翻訳案件を受ける人も少なくありません。

