エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは
組込みシステムの開発に必要な高度な知識と実務能力を評価する国家試験です。自動車、家電、産業機器、医療機器、通信機器など、特定の機能を持つ製品に組み込まれるソフトウェアやハードウェアの開発に関わる技術者を対象としています。
試験では、組込みシステムの企画・要件定義・設計・開発・テスト・保守に関する知識が問われます。ソフトウェアだけでなく、ハードウェア、リアルタイム制御、センサー、通信、品質、性能、セキュリティなど、製品開発に関わる幅広い分野を理解していることが求められます。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、高度情報処理技術者試験に分類される難易度の高い試験です。組込みエンジニア、制御系エンジニア、IoT機器開発者、車載システム開発者など、ハードウェアとソフトウェアの両方に関わる仕事をしている人に向いています。
IoTやスマート家電、自動運転、産業用ロボットなどの分野では、組込みシステムの重要性が高まっています。専門性の高い分野であるため、実務経験とあわせて資格を取得することで、組込み開発に関する知識と技術力を示しやすい試験といえるでしょう。
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エンベデッドシステムスペシャリスト試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格 |
|---|---|
| ジャンル | IT・パソコン |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 年1回程度。2026年度からCBT方式へ移行予定 |
| 試験方法 | CBT方式。多肢選択式・記述式 |
| 免除科目 | 条件を満たす場合、午前Ⅰ試験の免除あり |
| 試験場所 | 全国のCBTテストセンター |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
| 登録・更新 | なし |
| 問い合わせ | 独立行政法人 情報処理推進機構 情報処理技術者試験センター |
| 関連資格 | 基本情報技術者試験 応用情報技術者試験 データベーススペシャリスト試験 システムアーキテクト試験 |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の試験日
2026年度からCBT方式で実施予定です。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の試験内容
組込みシステムの開発に関する高度な知識と実務能力を問う国家試験です。情報処理技術者試験の高度区分に位置づけられており、IoT機器、車載システム、家電、産業機器、制御システムなどの開発に関わるエンジニア向けの試験です。
試験では、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたシステム設計、リアルタイム制御、組込みソフトウェア開発、センサ・アクチュエータ、通信、品質・信頼性、安全性などが問われます。2026年度のエンベデッドシステムスペシャリスト試験は、後期試験として2027年2月頃にCBT方式で実施予定とされています。
出題範囲
組込みシステムの設計
組込みシステムの要件定義、システム構成、ハードウェアとソフトウェアの役割分担、リアルタイム性、消費電力、信頼性など、製品や制御システムを設計するための知識が問われます。
組込みソフトウェア開発
組込みOS、タスク制御、割込み処理、メモリ管理、プログラム設計、テスト、デバッグなど、組込みソフトウェアを開発するための知識が出題されます。
ハードウェア・制御技術
CPU、メモリ、入出力装置、センサ、アクチュエータ、通信インターフェース、制御方式など、組込み機器を動かすためのハードウェアや制御技術が問われます。
品質・安全性・開発管理
機能安全、信頼性設計、品質管理、開発プロセス、セキュリティ、IoT機器のリスク対策など、組込みシステムを安全かつ安定して動かすための知識も出題範囲に含まれます。
試験科目と出題数
2026年度以降のエンベデッドシステムスペシャリスト試験は、CBT方式で実施予定です。IPAは、高度試験についてCBT方式へ移行しても、問う知識・技能の範囲や出題形式、出題数、試験時間は従来から変更しないと案内しています。
科目A-1試験は多肢選択式30問で50分、科目A-2試験は多肢選択式25問で40分です。科目B-1試験は記述式で2問中1問を解答し、試験時間は90分です。科目B-2試験は論述式で3問中1問を解答し、試験時間は120分です。
合格基準
合格基準は、科目A-1・科目A-2・科目B-1がそれぞれ100点満点中60点以上です。科目B-2は論述式で、評価ランクAが合格基準になります。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の受験者数・合格率
| 年度・期 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年度秋期 | 1,696人 | 1,156人 | 177人 | 15.3% |
| 2024年度秋期 | 1,949人 | 1,365人 | 231人 | 16.9% |
| 2023年度秋期 | 2,547人 | 1,841人 | 305人 | 16.6% |
| 2022年度秋期 | 3,136人 | 2,415人 | 476人 | 19.7% |
| 2021年度秋期 | 2,798人 | 2,185人 | 400人 | 18.3% |
| 2020年度10月 | 2,504人 | 1,962人 | 321人 | 16.4% |
| 2019年度春期 | 4,858人 | 3,653人 | 585人 | 16.0% |
| 2018年度春期 | 4,646人 | 3,461人 | 616人 | 17.8% |
| 2017年度春期 | 4,590人 | 3,394人 | 607人 | 17.9% |
| 2016年度春期 | 4,205人 | 3,148人 | 543人 | 17.2% |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度
午前試験については、ITパスポート試験や基本情報技術者試験などでITの基礎を学んでいる人であれば、ある程度対応しやすい部分もあります。基本的なIT知識が身についていれば、まったく歯が立たないというレベルではありません。
ただし、試験全体で見ると難易度はかなり高くなります。組込みシステムに関する専門知識が求められるため、一般的なIT知識だけでは対応しにくく、ハードウェアとソフトウェアの両方を理解しておく必要があります。
特に難易度を上げているのが、記述・論述系の対策です。知識を覚えているだけではなく、問題文の条件を読み取り、設計や開発上の判断を論理的に説明する力が必要になります。実務経験がない人にとっては、問題の状況をイメージするだけでも難しく感じるでしょう。
また、組込み分野は専門性が高いため、普段から関連業務に携わっていない人にとっては、学習範囲以上に内容の理解で苦戦しやすい試験です。IT業界経験者であっても、Web系や業務システム系の経験だけでは対応しにくい部分があります。
総合的に見ると、エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、高度情報処理技術者試験の中でも専門性の高い難関資格です。ITの基礎知識に加えて、組込みシステム特有の考え方や論述力が求められるため、十分な対策が必要な試験といえるでしょう。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の勉強法
他組込みシステムの設計・開発に関する高度な知識が問われる試験です。ソフトウェアだけでなく、ハードウェア、リアルタイム制御、組込みOS、通信、センサー、制御方式、開発プロセスなども関係するため、幅広い対策が必要になります。
午前Ⅰ・午前Ⅱは、過去問演習を中心に進めるのが効率的です。特に午前Ⅱでは、組込みシステム、ハードウェア、ソフトウェア、開発技術、ネットワーク、セキュリティなど、専門的な知識が問われます。まずは過去問を繰り返し解き、間違えた問題は用語や仕組みまで確認しておきましょう。
午後Ⅰは記述式で、2問中1問を選択して解答します。問題文を読み取り、システムの仕様、制約条件、処理の流れ、性能要件、異常時の動作などを正確に把握する力が必要です。設問の答えは問題文中にヒントがあることも多いため、過去問を解くときは「どこを根拠に答えるのか」を意識して復習するとよいでしょう。エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、午前Ⅰ・午前Ⅱが多肢選択式、午後Ⅰが記述式、午後Ⅱが論述式で実施されます。
午後Ⅱは論述式で、3問中1問を選んで解答します。ここが合格の大きなポイントになります。組込みシステムの開発経験や想定事例をもとに、要件、設計上の工夫、制約への対応、品質・性能・安全性への配慮、評価結果などを筋道立てて書けるようにしておく必要があります。
論文対策では、いきなり全文を書くよりも、まず過去問のテーマごとに骨子を作る練習から始めるのがおすすめです。たとえば、車載機器、家電、産業機器、IoT機器、医療機器などを題材にして、どのような制約があり、どのように設計・実装・評価したのかを整理しておくと、本番でも書きやすくなります。
組込み分野では、メモリ容量、処理時間、消費電力、リアルタイム性、安全性、信頼性などの制約が重要になります。単に「開発した」「改善した」と書くのではなく、限られた条件の中でどのように判断し、どのような設計上の工夫をしたのかを具体的に説明できるようにしておきましょう。
2026年度からは、エンベデッドシステムスペシャリスト試験を含む高度試験もCBT方式へ移行予定です。ただし、IPAでは試験区分に変更はなく、従来の春期試験区分を前期試験として2026年11月頃に実施予定と案内されています。
独学でも合格を目指せますが、午後Ⅱの論文は自己採点が難しいため、可能であれば添削付き講座や論文対策講座を利用するのも有効です。基本的には、午前は過去問で知識を固め、午後Ⅰは記述式の過去問で読解力を鍛え、午後Ⅱは自分の経験や想定事例をもとに論文の型を作る流れで進めるのがおすすめです。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験のお勧めテキスト
情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト 2026~2027年版
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の定番対策書です。科目A-2・科目B-1・科目B-2の前提知識、解き方、過去問解説をまとめて学べます。論述式となった科目B-2にも対応しているため、総合対策の中心教材として使いやすい一冊です。
2026 エンベデッドシステムスペシャリスト 総仕上げ問題集
アイテックの総仕上げ用問題集です。分野別Web確認テスト、直近10期分の過去問題解説、オリジナル実力診断テストで段階的に演習できます。知識を確認しながら、本試験形式で得点力を高めたい人に向いています。
情報処理教科書 高度試験 科目A-1・A-2
高度情報処理技術者試験の科目A対策に使いやすい共通教材です。エンベデッドシステムスペシャリスト試験では科目B対策に時間をかけたい分、科目Aは効率よく押さえることが大切です。午前対策をまとめて進めたい人に向いています。
資格を活かせる仕事
組込みエンジニア、制御系エンジニア、IoTエンジニア、ファームウェア開発者、車載システム開発、家電メーカー、ロボット開発、産業機器メーカー、医療機器メーカー、通信機器メーカー、電子機器メーカーなどがあります。特に、製品の制御プログラムやリアルタイム処理、センサー連携、ハードウェア制御などに関わる仕事では、資格で学んだ知識を実務に活かしやすいでしょう。
また、組込みシステムは自動車、スマート家電、工場の自動化、医療機器、IoTサービスなど、さまざまな分野で重要性が高まっています。ソフトウェアだけでなく、ハードウェアや制御、品質、安全性まで意識できる人材は、メーカーや開発会社で評価されやすいです。
企業によっては、エンベデッドシステムスペシャリスト試験を資格手当や一時金の対象としている場合もあります。高度情報処理技術者試験の一つであり、難易度も高いため、組込み分野で専門性を示す資格として活用できます。
ただし、資格を取得しただけで即戦力の組込みエンジニアになれるわけではありません。実務では、C言語やC++、RTOS、電子回路、マイコン、通信規格、デバッグ、製品開発の経験なども重視されます。エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、組込み・制御系エンジニアとして専門性を高めたい人や、メーカー系IT職でキャリアアップを目指す人にとって、取得する価値の高い資格といえるでしょう。

