潜水士試験とは
潜水作業を安全に行うために必要な知識を確認する国家資格です。水中での作業には、気圧の変化や酸素供給、減圧症などの危険が伴うため、業務として潜水作業を行う場合には潜水士免許が必要になります。
潜水士は、港湾工事、海洋調査、水中点検、ダム・河川工事、漁業関連作業、レジャーダイビング施設など、水中での作業や管理に関わる現場で活用されます。受験資格に制限はありませんが、免許の交付を受けられるのは18歳以上です。
試験は学科試験のみで実施され、実技試験はありません。ダイビングの技術そのものを証明する資格というより、潜水作業を安全に行うための法令・設備・身体への影響などを理解していることを示す資格といえるでしょう。
潜水士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(業務独占資格) |
| ジャンル | 車・船・航空 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 制限なし。ただし免許証交付は満18歳以上 |
| 試験日程 | 安全衛生技術センターごとに複数回実施 |
| 試験方法 | 学科試験。五肢択一式、4科目・計40問 |
| 免除科目 | なし |
| 試験場所 | 全国の安全衛生技術センター、出張試験会場など |
| 受験料 | 8,800円 |
| 登録・更新 | 合格後、労働局へ免許申請。免許の更新制度なし |
| 問い合わせ | 全国の安全衛生技術センター |
潜水士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 4月23日(木) | 各試験日の2か月前~14日前 | 試験日からおおむね7日後 |
| 6月3日(水) | 各試験日の2か月前~14日前 | 試験日からおおむね7日後 |
| 7月16日(木) | 各試験日の2か月前~14日前 | 試験日からおおむね7日後 |
| 9月24日(木) | 各試験日の2か月前~14日前 | 試験日からおおむね7日後 |
| 12月14日(月) | 各試験日の2か月前~14日前 | 試験日からおおむね7日後 |
| 2月8日(月) | 各試験日の2か月前~14日前 | 試験日からおおむね7日後 |
潜水士試験の試験内容
学科試験のみで実施されます。潜水器を使って送気や給気を受けながら行う潜水業務に必要な知識として、潜水業務、送気・潜降・浮上、高気圧障害、関係法令が問われます。
実技試験はなく、五肢択一式の筆記試験で合否が判定されます。試験時間は4時間で、休憩なしで4科目を通して実施されます。
出題範囲
潜水業務
潜水業務の方法、潜水作業時の注意点、潜水器具、潜水作業に伴う危険などが出題されます。水中で安全に作業するための基本知識を理解しておく必要があります。
送気、潜降及び浮上
送気設備、空気圧縮機、ボンベ、送気量、潜降・浮上の方法などが問われます。潜降や浮上の速度、送気の確保、異常時の対応など、潜水中の安全管理に関わる内容が中心です。
高気圧障害
減圧症、酸素中毒、窒素酔い、圧外傷など、高圧環境で起こる障害について出題されます。症状、原因、予防方法、発生時の対応を整理しておく必要があります。
関係法令
労働安全衛生法、労働安全衛生規則、高気圧作業安全衛生規則など、潜水業務に関する法令が問われます。潜水作業を行う際の安全基準、事業者や潜水士に関する規定を確認しておくことが大切です。
試験科目と出題数
試験科目は4科目です。潜水業務が10問・30点、送気、潜降及び浮上が10問・25点、高気圧障害が10問・25点、関係法令が10問・20点で、合計40問・100点満点です。
試験時間は4時間です。安全衛生技術試験協会の案内では、12時30分から16時30分まで、4時間通して実施するとされています。
合格基準
合格基準は、各科目で40%以上、かつ全科目合計で60%以上です。全体で60点以上を取っていても、いずれかの科目が40%未満の場合は不合格になります。
潜水士試験の受験者数・合格率
潜水士試験
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 6,830人 | 4,964人 | 72.7% |
| 令和5年度 | 6,860人 | 5,194人 | 75.7% |
| 令和4年度 | 7,615人 | 5,826人 | 76.5% |
| 令和3年度 | 7,236人 | 5,482人 | 75.8% |
| 令和2年度 | 6,015人 | 4,886人 | 81.2% |
潜水士試験の難易度
国家資格ではありますが、実技試験はなく、学科試験のみで合否が決まるため、試験そのもののハードルはそこまで高くありません。潜水の経験がない人でも、テキストや過去問を使って基本知識を整理すれば、独学で合格を目指すことは可能です。
ただし、潜水業務は水中での安全に直結する仕事なので、内容を軽く見てよい試験ではありません。潜水作業に関する知識だけでなく、人体への影響や高気圧環境での危険性、安全管理に関する理解も必要になります。
特に、ダイビング経験がある人でも、レジャーとしての潜水と業務としての潜水では考え方が異なります。普段の経験だけで対応するのではなく、試験向けに用語やルールをきちんと整理しておくことが大切です。
一方で、専門的な実技能力を試験場で評価されるわけではないため、しっかり学習すれば初学者でも十分合格を狙える資格です。過去問を繰り返して出題傾向に慣れ、苦手分野を残さないようにすれば、難易度はそれほど高く感じないでしょう。
総合的に見ると、潜水士試験は国家資格の中では比較的取り組みやすい試験です。ただし、潜水業務の安全に関わる重要な知識を問う資格なので、油断せずに基本を正確に押さえて受験する必要があります。
潜水士試験の勉強法
ず過去問や問題集を解いて、出題傾向をつかむことから始めるのがおすすめです。潜水士試験は専門用語が多いものの、出題パターンに慣れれば独学でも十分に合格を目指せます。
特に重要なのは、高気圧障害と送気・潜降・浮上に関する内容です。減圧症、窒素酔い、酸素中毒、圧力と体積の関係、浮上速度、送気設備などは、単なる暗記ではなく仕組みを理解しておくと覚えやすくなります。
関係法令については、労働安全衛生法や高気圧作業安全衛生規則など、潜水業務に関係するルールを中心に確認しましょう。数字や義務事項は間違えやすいため、問題演習を通じて正確に覚えることが大切です。
独学でも対策できますが、潜水業務の経験がない方は専門用語でつまずきやすいです。基本的には、テキストで基礎を確認し、過去問を繰り返し解き、間違えた分野を重点的に復習する勉強法がおすすめです。
資格を活かせる仕事
潜水作業員、港湾工事、海洋土木、船底調査、船舶修理、水中溶接、水中撮影、海洋調査、ダム・河川・橋梁の点検、漁業、養殖業、ダイビングインストラクター、レスキュー関連業務などがあります。特に、水中での点検・補修・調査作業を行う仕事では、潜水士資格が必要になる場面があります。
潜水作業は、通常の陸上作業とは違い、水圧、視界不良、酸素管理、寒さ、潮流などの危険が伴います。そのため、資格の知識だけでなく、体力、安全管理能力、冷静な判断力、現場経験が非常に重要です。
この資格は、水中作業を行う仕事では実用性があります。一方で、資格を取得しただけで潜水作業の仕事にすぐ就けるわけではありません。実際の現場では、潜水経験、作業技術、船舶や土木の知識、チームでの安全確認、関連する技能資格なども重視されます。
潜水士試験は、海洋土木や水中調査、船舶関連、ダイビング業界で働きたい人に向いている資格です。活かせる業界は限られますが、水中作業に関わる仕事を目指す人にとっては、取得する価値の高い資格といえるでしょう。

