ダム管理技士試験とは
ダムの管理に必要な知識や技能を確認するための試験です。利水ダムの管理に関わる技術者を対象としており、ダム本体や貯水池の管理、関連法令、気象、水質、機械・設備、洪水時の対応など、ダムを安全かつ適切に運用するための幅広い知識が問われます。
試験は学科試験と実技試験で構成されており、学科試験ではダム管理に関する法規、気象情報、水質、管理設備などの知識が中心になります。実技試験では、洪水時を想定した操作判断や、ダム管理用制御処理設備の操作、管理に必要な計算力・判断力などが確認されます。
ダム管理に携わる企業、電力会社、水資源関連団体、地方公共団体、建設コンサルタントなどで活用しやすい資格です。合格者は、利水ダムの管理主任技術者になる際に必要な実務経験年数が短縮されるため、ダム管理の現場で専門性を高めたい人に向いています。
ダム管理技術士の基本情報
| 資格種別 | 民間資格 |
| ジャンル | 建築・不動産 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 満21歳から65歳までで、学歴や土木関連課程の修了状況に応じたダムまたは河川管理に関する実務経験がある人。大学・短期大学・高等専門学校・専門学校卒業者は2年以上または3年以上、高校卒業者は3年以上または4年以上、学歴要件に該当しない人は8年以上の実務経験が必要 |
| 試験日程 | 年1回。学科試験は例年7月ごろ、実技試験は例年10月上旬から12月上旬ごろに実施 |
| 試験方法 | 学科試験と実技試験で実施。学科試験は択一式、○×式、記述式、実技試験はダム管理用シミュレータを使用して実施 |
| 免除科目 | 当年度の学科試験に合格し、実技試験で不合格となった人は、翌年度に限り学科試験が免除されます |
| 試験場所 | 学科試験は東京都文京区の全水道会館、実技試験は東京都小平市の全国建設研修センターで実施 |
| 受験料 | 学科試験:11,000円/実技試験:58,000円 |
| 登録・更新 | 試験合格後、登録手続きを行うことでダム管理技士を名乗ることができます。登録の有効期間は5年間で、更新には登録更新講習会の受講が必要 |
| 問い合わせ | 一般財団法人 水源地環境センター |
| 関連資格 | どぼく検定 |
ダム管理技術士の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 学科:7月24日 実技:10月上旬~12月上旬 | 4月6日~5月15日 | 学科:8月下旬~9月上旬 実技:12月下旬 |
ダム管理技術士の試験内容
学科試験と実技試験で構成されています。学科試験では、ダムや河川の管理に必要な専門知識が問われます。実技試験では、ダム管理用シミュレーターを使用し、洪水時などのダム操作、予測計算、状況判断、管理対応能力が確認されます。
学科試験に合格した人が実技試験へ進む形式です。実技試験では、実際の管理業務を想定した判断力が重視されるため、法令や設備の知識だけでなく、気象・水象の変化を踏まえた操作判断も必要になります。
出題範囲
実技試験
ダム管理用シミュレーターを使用し、洪水時などのダム操作に関する判断力が問われます。流入量、放流量、貯水位、降雨状況、下流河川の状況などを踏まえ、適切な操作を行えるかが評価されます。
予測計算、操作手順、関係機関への連絡、異常時対応など、実際のダム管理に近い内容を総合的に確認する試験です。
ダム管理
貯水池管理、洪水調節、利水管理、放流操作、巡視、点検、維持管理などが出題されます。ダムの目的や機能を理解し、平常時・洪水時・異常時に応じた管理方法を整理しておく必要があります。
河川・水文・気象
河川の流量、降雨、流出、洪水、貯水位、水位観測、気象情報などが問われます。ダム操作では、上流域の降雨や流入量の変化を把握し、今後の水位変動を予測する力が重要です。
ダム設備・操作
ゲート、放流設備、観測設備、通信設備、警報設備、管理用設備などが出題範囲に含まれます。設備の役割や点検方法、操作時の注意点を理解しておく必要があります。
関係法令
河川法を中心に、ダム管理や河川管理に関係する法令が問われます。管理主任技術者、操作規程、放流時の通知・警報、管理者の責務など、ダム管理業務に関係する制度を整理しておくことが大切です。
試験科目と出題数
学科試験は、択一式、正誤式、記述式で実施されます。試験時間は2時間30分です。ダムや河川の管理に必要な専門的知識を確認する内容です。
実技試験は、ダム管理用シミュレーターを使用して実施されます。洪水時などのダム操作、予測計算、判断力、管理対応能力について、総合的に評価されます。実技試験は複数日にわたって実施される形式です。
合格基準
合格基準は公表されていません。学科試験と実技試験の両方で、ダム管理に必要な知識と技能を備えているかが判定されます。
学科試験では、ダム管理、河川、水文・気象、設備、法令などを幅広く理解していることが必要です。実技試験では、シミュレーター上の条件を読み取り、洪水時などに適切なダム操作や判断ができるかが重視されます。
ダム管理技術士の受験者数・合格率
| 年度 | 学科試験受験者数 | 実技試験受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 51人 | 47人 | 46人 | 90.2% |
| 2024年度 | 52人 | 46人 | 46人 | 88.5% |
| 2023年度 | 46人 | 36人 | 35人 | 76.0% |
| 2022年度 | 38人 | 35人 | 33人 | 86.7% |
| 2021年度 | 31人 | 29人 | 25人 | 80.1% |
ダム管理技術士試験の難易度
ダム管理技術士試験は、ダム管理や河川・土木・水資源分野の実務経験がある人でも、専門的な対策が必要な試験です。日常管理だけでなく、洪水時の対応、設備管理、安全管理、法令などを総合的に理解する必要があり、実務に近い判断力も求められます。
難しさの理由は、ダム管理に関する知識が幅広いことです。貯水池管理、放流操作、洪水調節、堤体やゲート設備の管理、観測、点検、維持補修、異常時対応など、ダムを安全に運用するための知識を一通り押さえる必要があります。普段の業務が設備管理や点検など一部に限られている場合は、未経験分野の学習に時間がかかりやすいでしょう。
特に重要になるのは、異常気象や洪水時の判断に関わる知識です。降雨、流入量、貯水位、放流量などを踏まえ、どのようにダムを管理するのかを理解しておく必要があります。単に用語を覚えるだけでなく、実際の管理場面を想定しながら学ぶことが大切です。
また、法令や管理規程に関する理解も欠かせません。河川法やダム操作規則、関係機関との連絡体制、記録・報告、安全管理など、実務と結びついた内容が多いため、制度と現場対応をセットで整理する必要があります。
土木、河川管理、ダム管理、水力発電、設備保守などに関わった経験がある人は、実務と結びつけながら学習しやすい資格です。一方で、ダム管理に直接携わった経験が少ない人は、水理、構造、設備、操作、法令を幅広く学ぶ必要があり、短期間で合格を目指すには負担が大きい試験といえます。
ダム管理技術士の勉強法
ダム管理技術士は、ダムの維持管理、操作、点検、洪水調節、利水管理、安全管理など、ダム管理に関する実務的な知識が問われる資格です。まずは講習教材や関連テキストを使い、ダムの構造、管理設備、操作規則、点検項目などの全体像を整理しましょう。
勉強では、洪水時の操作、平常時の水位管理、放流設備、ゲート操作、観測機器、堤体や基礎地盤の点検などを重点的に確認しておくことが大切です。単に用語を覚えるだけでなく、実際にダムを管理する場面をイメージしながら学ぶと理解しやすくなります。
特に重要なのは、安全管理と異常時対応です。豪雨、地震、設備故障、漏水、変位、濁水、流木などが発生した場合に、どのような確認を行い、どのように関係機関へ連絡・対応するのかを整理しておきましょう。
試験対策では、講習で重要とされた内容や過去問・演習問題を中心に復習するのがおすすめです。ダム管理は法令、土木、機械、電気、水理など複数の知識が関わるため、苦手分野を早めに把握して重点的に確認しておくと安心です。
ダム管理技術士は、実務経験がある方でも試験向けに知識を整理する必要があります。基本的には、ダムの構造、操作管理、点検、安全管理、異常時対応を重点的に押さえ、実際の管理業務と結びつけながら学習する勉強法がおすすめです。
資格を活かせる仕事
ダム管理会社、建設コンサルタント、電力会社、水道事業者、河川・水資源関連の団体、土木系の維持管理会社、官公庁・自治体の河川・ダム管理部門などがあります。特に、ダム施設の点検、ゲートや放流設備の管理、貯水池の監視、洪水時の対応、維持修繕計画などに関わる仕事では、資格で学んだ知識を活かしやすいでしょう。
ダム管理では、通常時の設備点検だけでなく、大雨や台風、地震などの災害時に正確な判断が求められます。放流操作や関係機関との連絡、下流域への影響確認なども重要になるため、土木・水理・防災・設備管理の知識を総合的に理解している人材は、ダム管理の現場で必要とされます。
この資格は、ダムや河川、水資源管理に関わる分野では専門性を示しやすい資格です。一方で、活かせる業界はかなり限定されるため、一般企業への就職・転職で幅広く評価される資格ではありません。すでに土木・河川・ダム管理・インフラ維持管理に関わっている人が、専門性を高めるために取得する資格と考えるとよいでしょう。
ダム管理技術士は、ダムや水資源インフラの維持管理に関わりたい人に向いています。土木施工管理技士、技術士、測量士、電気・機械設備系の資格、河川や水利施設の実務経験と組み合わせることで、より仕事に活かしやすくなる資格といえるでしょう。

