入国警備官試験とは
出入国在留管理庁で入国警備官として働くために受験する国家公務員採用試験です。入国警備官は、不法入国者や不法残留者など、出入国管理に関する違反事件の調査、摘発、収容、送還などに関わる専門職です。
試験は高卒程度の区分として実施され、基礎能力試験、作文試験、人物試験、身体検査、身体測定、体力検査などが行われます。法律知識や出入国管理に関する専門知識は採用後に学ぶ部分もありますが、公務員として必要な基礎的能力に加えて、現場対応に必要な体力や適性も確認されます。
合格後は入国警備官として採用され、研修を受けたうえで地方出入国在留管理局や入国者収容所などに配属されます。外国人の出入国や在留管理に関わる仕事に就きたい人、法執行や公共の安全に関わる国家公務員を目指す人に向いています。
入国警備官試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(公務員) |
|---|---|
| ジャンル | 治安 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 年齢要件を満たす人。高等学校・中等教育学校を卒業後一定期間内の人や卒業見込みの人、社会人区分の対象者など |
| 試験日程 | 年1回。例年9月ごろに第一次試験、10月ごろに第二次試験を実施 |
| 試験方法 | 第一次試験と第二次試験で実施。基礎能力試験、作文試験、人物試験、身体検査、身体測定、体力検査などを組み合わせて行われます |
| 免除科目 | – |
| 試験場所 | 全国の指定試験地。第一次試験と第二次試験で試験地が異なる場合があります |
| 受験料 | 無料 |
| 登録・更新 | 採用試験に合格し採用されると、入国警備官として出入国在留管理庁の施設などで勤務します。資格の登録・更新制度ではなく、国家公務員の採用試験です |
| 問い合わせ | 法務省 |
| 関連資格 | 警察官 皇宮護衛官 刑務官 |
入国警備官試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 第1次試験:9月27日 第2次試験:10月26日~10月30日 | 7月10日~7月23日 | 第1次試験:10月14日 最終:11月24日 |
入国警備官試験の試験内容
第1次試験と第2次試験で構成されます。第1次試験では、基礎能力試験、作文試験が行われます。第2次試験では、人物試験、身体検査、身体測定、体力検査が実施されます。
出題範囲
人物試験
個別面接により、入国警備官としての適性、責任感、協調性、判断力、規律性、コミュニケーション能力などが確認されます。
入国管理施設での勤務や外国人との対応を含む職務であるため、冷静な対応力、公務員としての倫理観、組織の中で的確に行動できる力が問われます。
作文試験
与えられたテーマについて、自分の考えを文章でまとめる力が問われます。
職務への理解、公務員としての姿勢、社会問題への関心、規律や責任感、対人対応などに関係するテーマが出題されることがあります。文章構成、表現の分かりやすさ、内容の具体性が評価対象になります。
基礎能力試験
公務員として必要な基礎的な知能と知識が問われます。
知能分野では、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈などが出題されます。知識分野では、社会科学、人文科学、自然科学、時事などが出題範囲に含まれます。
試験区分は高卒程度の水準で実施されるため、高校までの基礎学力と、社会常識を確認する内容が中心です。
体力検査
入国警備官として職務を行うために必要な基礎体力が確認されます。
上体起こし、反復横跳び、立ち幅跳び、持久走などが実施される場合があります。収容施設内での警備や、退去強制令書の執行などに対応できる身体能力があるかを確認する内容です。
身体検査・身体測定
職務遂行に支障がないかを確認するため、健康状態、視力、色覚、聴力、運動機能などが検査されます。
身体測定では、身長・体重などを確認する場合があります。基準は年度によって変更されることがあるため、受験年度の案内に基づいて判定されます。
試験科目と出題数
第1次試験では、基礎能力試験と作文試験が実施されます。基礎能力試験は多肢選択式で、知能分野と知識分野から出題されます。
第2次試験では、人物試験、身体検査、身体測定、体力検査が実施されます。人物試験は個別面接形式で行われ、作文試験は第1次試験で実施されますが、評価は第2次試験で行われる形式です。
合格基準
第1次試験では、基礎能力試験の成績を中心に合否が判定されます。作文試験は、第1次試験で実施されますが、第2次試験の判定に用いられます。
最終合格は、基礎能力試験、作文試験、人物試験、身体検査、身体測定、体力検査の結果を総合して決定されます。特定の試験種目で基準に満たない場合は、総合点にかかわらず不合格となる場合があります。
入国警備官試験の受験者数・合格率
| 年度 | 申込者数 | 受験者数 | 第1次試験合格者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 1,187人 | 579人 | 480人 | 244人 | 4.9倍 |
| 2024年度 | 1,581人 | 771人 | 376人 | 179人 | 8.8倍 |
| 2023年度 | 1,568人 | 817人 | 456人 | 263人 | 6.0倍 |
| 2022年度 | 1,822人 | 846人 | 292人 | 174人 | 10.5倍 |
| 2021年度 | 2,164人 | 546人 | 65人 | 65人 | 33.3倍 |
入国警備官試験の難易度
入国警備官試験は、公務員試験の中では公安職としての適性も重視されるため、筆記試験だけでなく、面接・体力・身体面まで含めて総合的な対策が必要です。試験区分としては高卒程度の公務員試験に近い内容ですが、入国管理や警備業務に関わる職種のため、一般的な事務系公務員とは違った難しさがあります。
難しさの理由は、基礎能力試験で幅広い分野が問われることに加え、人物試験や体力検査でも適性を見られるためです。文章理解、数的処理、判断推理、社会科学、時事など、公務員試験でよく出る分野を一通り対策する必要があります。特に数的処理や判断推理は、慣れていない人が得点を伸ばしにくい分野です。
また、入国警備官は、不法入国・不法滞在への対応、収容・送還、違反調査などに関わる職種のため、責任感や冷静な判断力、規律を守る姿勢も重要になります。面接では、なぜ入国警備官を志望するのか、公安職としてどのような覚悟を持っているのかを、自分の言葉で説明できるようにしておく必要があります。
体力面の準備も欠かせません。警備・摘発・収容施設での対応など、身体を使う場面がある仕事のため、基礎的な体力や健康状態も見られます。筆記試験の対策だけに集中していると、体力検査や面接で不安が残りやすいでしょう。
公務員試験の基礎をしっかり固め、体力面にも不安が少ない人であれば十分に合格を目指せる試験です。一方で、筆記・面接・体力のどれか一つでも準備不足だと合格が難しくなるため、教養試験の演習に加えて、職務理解と人物試験対策を早めに進めることが大切です。
入国警備官試験の勉強法
基礎能力試験では、文章理解、数的処理、判断推理、資料解釈、社会科学、人文科学、自然科学などが出題されます。特に数的処理や判断推理は短期間では伸びにくいため、早めに問題演習を始め、解法パターンを身につけておくことが大切です。
作文試験では、入国警備官としての使命感、法令遵守、人権意識、外国人への対応、治安維持、冷静な判断力などが問われやすいです。結論、理由、具体例、入国警備官としてどう行動したいかを整理して、時間内に分かりやすく書く練習をしておきましょう。
体力検査もあるため、筆記対策だけに偏らないことが重要です。ランニング、腕立て伏せ、上体起こし、反復横跳びなど、基礎体力を高める運動を早めに始めておくと安心です。
入国警備官試験では、学力だけでなく、責任感、規律性、冷静さ、対人対応力も見られます。基本的には、公務員試験対策で基礎能力を固め、作文と面接で志望動機や職務理解を整理し、体力面も計画的に準備する勉強法がおすすめです。
資格を活かせる仕事
基本的には入国警備官です。空港や港、地方出入国在留管理局、入国者収容所などで、出入国管理に関する違反事件の調査、違反者の身柄確保、収容施設での管理、退去強制手続きに関わる業務などを行います。外国人と接する機会が多いため、法律知識だけでなく、冷静な対応力、語学力、体力、判断力、コミュニケーション力も求められます。
入国警備官は、国内の出入国管理や在留管理を支える専門職です。国境管理や治安維持に関わる責任のある仕事であり、社会的な役割は大きい一方、違反調査や身柄の収容・送還など、精神的にも体力的にも負担のある業務に関わる場面があります。
一方で、入国警備官試験は民間企業への就職・転職で直接評価される資格ではありません。あくまで入国警備官になるための採用試験です。採用後は、必要な研修や実務経験を通じて、出入国管理や入管法に関する専門性を身につけていくことになります。
入国警備官試験は、公務員として出入国管理や外国人の在留管理に関わりたい人、法律に基づいて社会秩序を守る仕事に就きたい人に向いています。警察官や刑務官などと同じく、採用後の職務適性や現場対応力が重要になる試験といえるでしょう。

