産業カウンセラー試験とは
働く人の悩みやストレス、職場の人間関係、キャリア形成などを支援するための知識とカウンセリング能力を評価する資格試験です。産業カウンセラーは、職場で働く人のメンタルヘルス支援やキャリア開発、人間関係の改善などに関わる心理支援職です。
資格取得には、一般社団法人日本産業カウンセラー協会の養成講座を修了する、または大学・大学院で心理学関連科目を履修するなど、所定の受験資格を満たしたうえで試験に合格する必要があります。試験では、産業カウンセリング、メンタルヘルス、キャリア支援、傾聴、心理学の基礎、職場支援に関する知識や技能が問われます。
企業の人事・労務、総務、相談窓口、キャリア支援、教育研修、福祉、医療、地域相談活動などで活かしやすい資格です。国家資格ではありませんが、職場のメンタルヘルスやキャリア支援に関わる知識を体系的に学べるため、働く人を支援する仕事や活動に関心がある人に向いた資格といえます。
産業カウンセラー試験の基本情報
| 資格種別 | 民間資格 |
| ジャンル | 医療・心理 |
| 資格区分 | 産業カウンセラー2級 |
| 受験資格 | 日本産業カウンセラー協会の産業カウンセラー養成講座を修了した者、心理学・心理学隣接諸科学などの大学院修了者で所定単位を取得した者、4年制大学卒業者で公認心理師関連の指定科目を履修した者、労働者相談に関する3年以上の実務経験を有する者など |
| 試験日程 | 年1回程度。2026年度は7月に学科試験、実技試験を実施 |
| 試験方法 | 筆記試験、実技試験 |
| 免除科目 | 学科試験または実技試験の一部合格者は、一定期間内に該当試験のみ受験可能 |
| 試験場所 | 学科試験は東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡など。実技試験は東京、名古屋、大阪、広島、福岡など |
| 受験料 | 学科・実技試験 44,000円、学科試験のみ 16,500円、実技試験のみ 27,500円 |
| 登録・更新 | 合格後、資格登録を行うことで産業カウンセラーとして登録。資格登録・更新制度あり |
| 問い合わせ | 一般社団法人日本産業カウンセラー協会 |
| 関連資格 | メンタル心理カウンセラー ビジネス心理検定 ひきこもり支援相談士 ワークルール検定 |
産業カウンセラー試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 学科試験:2026年7月12日 実技試験:2026年7月25日・7月26日 | 5月15日~5月25日 | 9月4日 |
産業カウンセラー試験の試験内容
働く人のメンタルヘルス、キャリア形成、人間関係、職場環境に関する相談対応の知識と技能が問われます。学科試験と実技試験で構成され、カウンセリング理論、傾聴、逐語記録、産業・組織心理、労働関係法規、メンタルヘルス支援などが出題されます。
出題範囲
学科試験では、産業カウンセリングの基礎、カウンセリング理論、心理学、メンタルヘルス、キャリア形成支援、職場の人間関係、労働関係法規、産業組織に関する知識などが問われます。
実技試験では、相談者の話を聴く姿勢、応答の仕方、感情や問題の受け止め方、相談場面での基本的な関わり方が評価されます。単に助言できるかではなく、相談者の話を丁寧に聴き、気持ちや状況を理解しながら面接を進められるかが重視されます。
試験科目と出題数
試験は、学科試験と実技試験で実施されます。学科試験は、産業カウンセリングに関する知識を問う問題と、逐語記録をもとにカウンセリング場面の理解を問う問題で構成されます。
実技試験では、面接場面を想定したロールプレイや口述試験を通じて、カウンセリングの基本姿勢、傾聴、応答、自己理解、相談者理解などが確認されます。
合格基準
合格には、学科試験と実技試験の両方で基準を満たす必要があります。学科試験では、産業カウンセリングに関する知識と逐語記録の理解が評価され、実技試験では、相談場面での基本的な態度や応答が評価されます。合格基準の具体的な点数は固定で公表されていないため、試験結果に基づいて総合的に判定されます。
産業カウンセラー試験の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 1,231人 | 592人 | 48.1% |
| 2024年度 | 1,350人 | 890人 | 65.9% |
| 2023年度 | 1,040人 | 626人 | 60.2% |
| 2022年度 | 1,120人 | 654人 | 58.4% |
| 2021年度 | 1,758人 | 1,076人 | 61.2% |
産業カウンセラー試験の難易度
心理系資格の中では極端に難しい試験ではありませんが、カウンセリングの基礎知識と実技的な理解の両方が求められるため、軽い暗記だけで合格できる試験ではありません。公認心理師や臨床心理士ほどの高度な専門性までは求められないものの、相談対応に関わる資格として一定の学習量と実践的な理解が必要です。
この試験では、カウンセリングの理論、メンタルヘルス、傾聴、キャリア支援、産業組織、労働者の心理、職場の人間関係、倫理などが問われます。心理学の用語を覚えるだけでなく、働く人の悩みや職場環境をどう理解し、どのように関わるかを考える力が重要になります。
特に差が出やすいのは、カウンセリングの基本姿勢を理解できているかどうかです。相談者にすぐ助言をするのではなく、相手の話を受け止め、気持ちや状況を整理しながら支援する考え方が求められます。日常的な相談対応の感覚だけで考えると、専門的なカウンセリングの姿勢との違いで迷いやすいでしょう。
また、産業カウンセラーは職場のメンタルヘルスやキャリア支援とも関係が深いため、個人の悩みだけでなく、職場環境、上司・同僚との関係、ハラスメント、休職・復職、働き方の問題なども理解する必要があります。人事・労務、教育、福祉、医療、相談業務に関わっている人は内容を実務と結びつけやすい一方、心理学や労働分野に初めて触れる人は、用語や支援の考え方を整理する部分で少し負担を感じやすい試験です。
資格を活かせる仕事
企業の人事・労務、総務、安全衛生部門、社員相談窓口、キャリア支援、研修担当、産業保健スタッフ、福祉・教育・医療分野の相談業務、カウンセリングルーム、就労支援機関などがあります。特に、職場の悩みを抱える従業員への面談、休職・復職支援、ハラスメント相談、職場環境の改善、キャリア相談などでは、資格で学んだ知識を活かしやすいでしょう。
産業カウンセラーは、心理支援だけでなく、働く人のキャリアや職場適応にも関わる点が特徴です。相手の話を丁寧に聴き、本人が抱えている課題を整理しながら、必要に応じて産業医、人事、上司、外部専門機関などにつなぐ力が求められます。
一方で、産業カウンセラーだけで就職・転職が大きく有利になるとは言いにくいです。企業の専門相談職や心理職を目指す場合は、公認心理師、臨床心理士、キャリアコンサルタント、衛生管理者、人事労務の実務経験なども重視されます。資格単体でカウンセラーとして安定した仕事を得るのは簡単ではありません。
産業カウンセラー試験は、職場のメンタルヘルスやキャリア支援に関わりたい人に向いています。人事・労務、管理職、教育研修、福祉・就労支援などの実務経験と組み合わせることで、働く人を支える分野でより活かしやすくなるでしょう。

