エネルギー管理士試験とは
工場や事業場で使用されるエネルギーを適切に管理し、省エネルギーを推進するための国家試験です。一定規模以上のエネルギーを使用する工場などでは、エネルギー管理士の選任が必要になる場合があり、エネルギー使用設備の管理や改善に関する専門知識が問われます。
試験は熱分野と電気分野に分かれており、受験者はいずれかの分野を選択します。熱分野では燃料、燃焼、熱利用設備、熱計算などが中心となり、電気分野では電気設備、電力応用、電気計算、電気管理などが問われます。共通分野として、エネルギー総合管理や関係法令に関する知識も必要です。
製造業、化学工場、ビル管理会社、エネルギー関連企業、設備管理会社、電力・ガス関連会社などで活用しやすい資格です。省エネルギー対策やエネルギーコスト削減に関わる実務で評価されやすく、工場や事業場のエネルギー管理を担いたい人に向いています。
エネルギー管理士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(必置資格) |
| ジャンル | 保安・技術 |
| 資格区分 | エネルギー管理士 熱分野、エネルギー管理士 電気分野 |
| 受験資格 | なし。年齢・学歴・実務経験を問わず受験可能。ただし、免状交付にはエネルギーの使用の合理化に関する実務経験が1年以上必要 |
| 試験日程 | 年1回。例年8月上旬ごろに実施 |
| 試験方法 | 筆記試験。マークシート方式で実施 |
| 免除科目 | 課目合格制度があり、合格した課目は一定期間免除されます。また、旧制度の熱管理士・電気管理士などは、経過措置により一部課目が免除される場合があります |
| 試験場所 | 北海道、宮城県、東京都、富山県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の指定試験地 |
| 受験料 | 17,000円 |
| 登録・更新 | 試験合格後、1年以上の実務経験を満たして免状交付申請を行うことでエネルギー管理士免状が交付されます |
| 問い合わせ | 一般社団法人 省エネルギーセンター |
| 関連資格 | 太陽光発電アドバイザー eco検定 環境カオリスタ検定 スマートマスター |
エネルギー管理士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 8月2日 | 4月6日~6月22日 | 9月下旬 |
エネルギー管理士試験の試験内容
熱分野と電気分野に分かれて実施されます。どちらの分野で合格しても、取得できるエネルギー管理士免状の効力に違いはありません。
試験は、共通課目の「エネルギー総合管理及び法規」と、選択した分野ごとの専門3課目で構成されています。熱分野では、熱と流体、燃料と燃焼、熱利用設備などが問われます。電気分野では、電気の基礎、電気設備、電力応用などが問われます。
出題範囲
熱分野
熱と流体の流れの基礎、燃料と燃焼、熱利用設備及びその管理が出題されます。
熱と流体の流れの基礎では、熱力学、伝熱、流体力学、蒸気、空気、燃焼に関係する基礎的な計算や理論が問われます。
燃料と燃焼では、燃料の種類、発熱量、燃焼計算、燃焼管理、排ガス、空気比、熱効率などが中心です。
熱利用設備及びその管理では、ボイラー、蒸気設備、加熱炉、熱交換器、冷凍設備、空気調和設備、熱回収、省エネルギー管理などが出題されます。
電気分野
電気の基礎、電気設備及び機器、電力応用が出題されます。
電気の基礎では、電気回路、三相交流、電磁気、電気計測、電子回路などが問われます。
電気設備及び機器では、変圧器、電動機、発電設備、受変電設備、配電設備、力率改善、保護装置、電気設備の管理などが中心です。
電力応用では、電動力応用、照明、電気加熱、電気化学、空気調和、ポンプ、ファン、圧縮機など、電力を利用する設備と省エネルギー管理が出題されます。
エネルギー総合管理及び法規
熱分野・電気分野に共通する必須課目です。
エネルギーの使用の合理化、非化石エネルギーへの転換、エネルギー管理指定工場、エネルギー管理者、定期報告、中長期計画、エネルギー原単位、工場・事業場における管理体制などが問われます。
法規だけでなく、エネルギー管理の考え方、燃料・電気の使用量、熱量換算、省エネルギーの基本的な管理指標なども出題範囲に含まれます。
試験科目と出題数
試験はマークシート方式で実施されます。熱分野・電気分野ともに、共通課目1科目と専門課目3科目の合計4課目です。
共通課目は、エネルギー総合管理及び法規で、試験時間は80分です。
熱分野の専門課目は、熱と流体の流れの基礎が110分、燃料と燃焼が80分、熱利用設備及びその管理が110分です。
電気分野の専門課目は、電気の基礎が80分、電気設備及び機器が110分、電力応用が110分です。
4課目のうち一部の課目だけを受験することもできます。課目合格制度があり、合格した課目は一定期間、免除の対象になります。
合格基準
合格基準は、各課目60%以上です。
4課目すべてで合格基準を満たすことで、エネルギー管理士試験の合格となります。一部課目だけ合格した場合は課目合格となり、所定の期間内はその課目の受験が免除されます。
エネルギー管理士試験の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 8,300人 | 2,783人 | 33.5% |
| 2024年度 | 8,586人 | 3,175人 | 37.0% |
| 2023年度 | 8,137人 | 3,074人 | 37.8% |
| 2022年度 | 7,766人 | 2,636人 | 33.9% |
| 2021年度 | 7,684人 | 2,454人 | 31.9% |
エネルギー管理士試験の難易度
熱分野では、燃焼、蒸気、熱交換、空調、ボイラー、工業炉、エネルギー使用の合理化などを学ぶ必要があります。設備の仕組みを知っているだけでなく、熱量、効率、損失、燃料消費量などを計算で扱う力も求められるため、熱力学や設備計算に慣れていない人は難しさを感じやすいでしょう。
電気分野では、電気理論、電動機、変圧器、受配電設備、照明、電力管理、省エネルギー対策などが中心になります。電気主任技術者や電気工事関連の学習経験がある人は取り組みやすい一方、回路計算や電力設備の知識が弱い人は、基礎部分の理解に時間がかかります。
この試験では、単に用語を覚えるだけでなく、エネルギーをどこで消費し、どこに損失があり、どのように効率を改善するかを考える力が重要です。計算問題も多く、公式を覚えているだけではなく、問題文の条件を読み取り、適切に使い分ける必要があります。
工場、ビル、プラント、設備管理、電気設備、空調・ボイラー管理などに関わっている人は、実務と結びつけながら理解しやすい資格です。一方で、熱・電気の基礎知識が少ない人にとっては、専門用語と計算の両方で学習負担が大きくなりやすい試験です。
- 試験を受けるのに特に資格はありませんが、一年以上関連する仕事に従事していなければなりません。機械、電気などの理系の方は勉強時間が少なくても取得できると思います。(30代男性 会社員)
- 共通科目は、エネルギー関係の法律等の問題のため、しっかり勉強する必要があります。過去問を数度目を通しておけば合格点が取れると思います。選択科目は、理系の方であれば、得意な分野(熱力学、工場の配電、等)を選択して試験を受ければよいので、その科目の勉強に集中すれば良いと思います。(50代男性 会社員)
エネルギー管理士試験の勉強法
熱分野では、燃焼、ボイラー、蒸気、熱交換器、空調、冷凍、熱力学などが重要になります。電気分野では、電力、電動機、変圧器、照明、空調設備、電気計測、電力管理などを重点的に確認しておきましょう。
特に重要なのは、計算問題への対策です。熱効率、燃料消費量、電力使用量、力率、損失、省エネ効果などは、公式を覚えるだけでなく、実際に問題を解きながら手順に慣れておく必要があります。
法令分野では、省エネルギー法やエネルギー管理指定工場、定期報告、中長期計画、エネルギー管理者の役割などが問われます。数字や制度が混同しやすいため、表にまとめて繰り返し復習すると覚えやすくなります。
エネルギー管理士試験は、実務経験がある方でも計算問題や法令対策を試験向けに整理する必要があります。基本的には、テキストで基礎を確認し、過去問を繰り返し解き、熱・電気の専門分野、計算問題、省エネ法令を重点的に復習する勉強法がおすすめです。
資格を活かせる仕事
製造業の工場、ビル管理会社、設備管理会社、電力・エネルギー関連企業、プラント、化学工場、食品工場、建設会社、設備工事会社、環境コンサルタント、省エネ診断に関わる会社などがあります。特に、工場や大型施設のエネルギー使用状況を確認し、空調・ボイラー・照明・受変電設備・生産設備などの効率改善に関わる仕事では、資格で学んだ知識を活かしやすいでしょう。
エネルギー管理士は、省エネ法に関わる職場では実務性の高い資格です。一定規模以上のエネルギーを使用する工場や事業場では、エネルギー管理に関する担当者が必要になるため、製造業や設備管理の分野では評価されやすい資格といえます。企業によっては、資格手当や配置、昇進の評価につながる場合もあります。
一方で、エネルギー管理士だけで就職・転職が必ず大きく有利になるわけではありません。活かせる分野は工場管理、設備管理、省エネ、環境管理などに寄っており、実務では電気・熱設備の知識、設備点検、改善提案、データ分析、現場経験なども重視されます。
エネルギー管理士試験は、工場やビルの設備管理、省エネ対策、環境管理に関わりたい人に向いています。電気主任技術者、電気工事士、ボイラー技士、冷凍機械責任者、公害防止管理者、建築物環境衛生管理技術者などと組み合わせることで、設備管理・工場管理・環境対策の分野でより活かしやすくなるでしょう。
受験者の口コミ評判
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役に立つ資格
5.0 南波 50代会社員
電験3種取得後に資格勉強が楽しくなり似たような資格がないのか探していたときにエネルギー管理士を見つけました。省エネルギーについても関心はあったので勉強を始めましたが、新聞などで報道されているエネルギー問題や地球温暖化に対しても知っておく必要があったので意識して読むようにしていました。
試験には合格しましたが、勉強する過程で得られた知識が仕事でも役に立てられたので有意義でした。(2019年6月)


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