建築物環境衛生管理技術者試験とは
建築物環境衛生管理技術者試験は、建築物の衛生的な環境を維持管理する専門家である建築物環境衛生管理技術者になるための国家試験です。通称「ビル管理士」とも呼ばれ、一定規模以上の特定建築物では、建築物環境衛生管理技術者を選任する必要があります。
試験では、建築物衛生行政、建築物の構造、空気環境、給水・排水、清掃、ねずみ・昆虫等の防除など、建物を衛生的かつ安全に管理するための幅広い知識が問われます。設備管理だけでなく、衛生管理や関係法令まで含めて理解する必要がある点が特徴です。
ビル管理会社、設備管理会社、清掃会社、建物メンテナンス会社、商業施設、病院、ホテル、学校など、建築物の維持管理に関わる仕事で活用しやすい資格です。特定建築物の管理に関わる現場では重要度が高く、ビルメンテナンス分野でキャリアアップを目指す人に向いています。
建築物環境衛生管理技術者の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(必置資格) |
| ジャンル | 建築・不動産 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 特定用途に使われる建築物で、環境衛生上の維持管理に関する実務に2年以上従事した人。対象となる建築物の用途や実務内容は細かく定められています。 |
| 試験日程 | 年1回。例年10月上旬ごろに実施。 |
| 試験方法 | 筆記試験。多肢選択式で実施。 |
| 免除科目 | なし |
| 試験場所 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県の指定試験地。 |
| 受験料 | 17,900円(非課税) |
| 登録・更新 | 試験に合格すると、厚生労働大臣から建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けられます。 |
| 問い合わせ | 公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター |
| 関連資格 | 特殊建築物等調査資格者 建築機械施工技士 建築施工管理技士 |
建築物環境衛生管理技術者の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 10月4日 | 5月7日~6月15日 | 11月10日 |
建築物環境衛生管理技術者の試験内容
学科試験のみで実施されます。出題は、建築物衛生行政概論、建築物の環境衛生、空気環境の調整、建築物の構造概論、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ・昆虫等の防除の7科目です。
建築物の衛生的な環境を維持するために必要な法令、空気環境、水質、排水、清掃、防虫防鼠、建築構造、設備管理などが問われます。試験は五肢択一式で、全科目を1日で受験します。
出題範囲
空気環境の調整
空気調和、換気、温度、湿度、気流、粉じん、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒドなど、室内空気環境の管理に関する内容が問われます。
空調設備、換気設備、測定方法、基準値、空気環境の異常への対応などを理解しておく必要があります。
給水及び排水の管理
飲料水、雑用水、貯水槽、給水設備、給湯設備、排水設備、汚水処理、衛生管理などが出題されます。
水質基準、貯水槽の清掃、残留塩素、排水トラップ、排水管の維持管理など、建築物の水回りを衛生的に保つための知識が必要です。
建築物の環境衛生
温熱環境、空気環境、音、光、衛生害虫、感染症、健康影響など、建築物内の環境と人の健康に関する内容が問われます。
環境測定や衛生管理の基本を理解し、建築物を利用する人の健康に影響する要因を整理しておくことが大切です。
清掃
建築物内外の清掃管理、清掃用具、清掃方法、廃棄物処理、衛生管理などが出題されます。
床材や場所に応じた清掃方法、日常清掃・定期清掃、廃棄物の保管・処理、清掃作業の安全管理を確認しておく必要があります。
建築物衛生行政概論
建築物衛生法、関係法令、特定建築物、建築物環境衛生管理基準、建築物環境衛生管理技術者の職務などが問われます。
制度の目的、届出、帳簿書類、立入検査、管理基準など、建築物衛生行政の基本を整理しておく必要があります。
建築物の構造概論
建築物の構造、建築材料、建築設備、耐震、防火、避難、維持管理などが出題されます。
建物の構造や設備の基本を理解し、衛生管理と建築構造・設備がどのように関係するかを確認しておくことが重要です。
ねずみ・昆虫等の防除
ねずみ、ゴキブリ、蚊、ハエ、ダニなどの生態、防除方法、薬剤、発生原因、調査方法などが問われます。
発生を防ぐ環境管理、薬剤使用時の注意点、防除作業の安全性などを理解しておく必要があります。
試験科目と出題数
試験は五肢択一式で、全180問です。試験時間は午前と午後に分かれて実施されます。
科目別の出題数は、建築物衛生行政概論20問、建築物の環境衛生25問、空気環境の調整45問、建築物の構造概論15問、給水及び排水の管理35問、清掃25問、ねずみ・昆虫等の防除15問です。
合格基準
合格するには、全科目合計で65%以上、かつ各科目で40%以上の得点が必要です。
全180問のため、全体では117問以上の正解が目安になります。ただし、総得点が基準に達していても、いずれかの科目が40%未満の場合は合格できません。
建築物環境衛生管理技術者の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 7,131人 | 2,180人 | 30.6% |
| 2024年度 | 7,593人 | 1,759人 | 23.2% |
| 2023年度 | 8,232人 | 1,819人 | 22.1% |
| 2022年度 | 9,413人 | 1,681人 | 17.9% |
| 2021年度 | 9,651人 | 1,707人 | 17.7% |
しかく姫年度によって合格率にバラツキがありますね。
建築物環境衛生管理技術者の難易度
ビル管理系の資格の中では難しめです。実務経験がある人でも、出題範囲が広く、法令・設備・衛生管理・清掃・害虫防除などをまとめて対策する必要があるため、現場経験だけで合格するのは簡単ではありません。
難しさの理由は、建築物の環境衛生に関する内容を幅広く学ばなければならない点です。空気環境、給水・排水、清掃、廃棄物処理、ねずみ・昆虫等の防除、建築物衛生法、設備管理など、分野が多く、普段の業務で関わらない内容も出題されます。
特に負担になりやすいのは、法令や基準値の暗記です。空気環境の測定項目、給水・排水設備の管理、貯水槽の点検、清掃管理、害虫防除の方法など、似たような数字や基準が多く出てくるため、曖昧な理解のままだと得点が安定しにくくなります。
一方で、出題傾向は比較的つかみやすく、過去問演習を重ねることで頻出テーマを整理しやすい試験です。ビルメンテナンスや設備管理の実務経験がある人は、空調・給排水・衛生管理などを現場と結びつけながら学習しやすいでしょう。
合格を目指すには、得意分野だけに頼らず、全体をバランスよく対策することが大切です。実務で経験している分野は理解しやすい反面、法令や基準値、清掃・害虫防除などの未経験分野で点を落としやすいため、過去問を中心に繰り返し確認しておく必要があります。
建築物環境衛生管理技術者の勉強法
出題範囲が広く、暗記量も多い試験です。建築物衛生行政概論、空気環境、給排水、清掃、ねずみ・昆虫等の防除など、建物の衛生管理に関する幅広い知識を学ぶ必要があります。
勉強法としては、テキストを一通り読んだあと、過去問を中心に学習するのがおすすめです。最初から細かい内容をすべて覚えようとするよりも、過去問を解きながら、頻出分野や出題パターンを把握していく方が効率的です。
特に、空気環境の調整、給水・排水管理、清掃、衛生害虫の防除、関係法令は重点的に確認しておきましょう。数値や基準が多く出てくるため、表にまとめたり、間違えた問題だけを繰り返し解いたりして知識を定着させることが大切です。
実務経験がある方でも、試験では法令や基準の細かい知識が問われるため、現場感覚だけでは対応しにくい部分があります。建物を衛生的に維持管理するために、どの項目をどの基準で確認するのかを意識しながら学ぶと理解しやすくなります。
範囲の広さが大きな負担になる試験なので、早めに学習を始め、過去問を複数回解くことが合格への近道です。基本的には、テキストで基礎を押さえ、過去問で頻出論点を固め、苦手分野を重点的に復習する勉強法がおすすめです。
資格を活かせる仕事
ビル管理会社、設備管理会社、商業施設、オフィスビル、ホテル、病院、学校、百貨店、公共施設、清掃会社、建物管理部門などがあります。特に、空調設備や給排水設備の管理、清掃・衛生管理、害虫防除、建物の維持管理に関わる仕事では、資格を直接活かしやすいでしょう。
一定規模以上の特定建築物では、建築物環境衛生管理技術者を選任する必要があるため、ビルメンテナンス業界では実用性の高い資格です。資格を持っていることで、現場責任者や管理者候補として評価されやすく、職場によっては資格手当の対象になることもあります。
就職・転職でも、ビル管理や設備管理の分野では比較的アピールしやすい資格です。特に、電気工事士、ボイラー技士、危険物取扱者、冷凍機械責任者などの設備系資格と組み合わせると、ビルメンテナンス業界でより評価されやすくなります。
建築物環境衛生管理技術者試験は、ビル管理・設備管理の仕事でキャリアアップを目指す人に向いています。建物の衛生管理全体を見られる資格なので、現場作業者から管理者側へ進みたい人にとって、取得する価値の高い資格といえるでしょう。

