航空管制官試験とは
航空機が安全かつ円滑に飛行・離着陸できるよう、パイロットに指示や情報提供を行う航空管制官を採用するための試験です。航空管制官は、空港の管制塔や航空交通管制部などで、航空機同士の間隔を保ち、天候や滑走路の状況を踏まえながら安全な運航を支える国家公務員です。
試験に合格すると、航空保安大学校で研修を受けた後、全国の空港や管制機関などに配属されます。受験には年齢などの条件があり、日本国籍を有しない人などは受験できません。2026年度は、1996年4月2日から2005年4月1日までに生まれた人などが主な対象として案内されています。
航空管制官は、多くの人の命を預かる責任の大きい仕事です。航空や空港の仕事に関心がある人、集中力・判断力・空間把握力・英語力を活かしたい人に向いている職業といえるでしょう。
航空管制官試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(業務独占資格) |
|---|---|
| ジャンル | 車・船・航空 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 21歳以上30歳未満など。21歳未満でも大学・短大・高専卒業者や卒業見込み者などは受験可能 |
| 試験日程 | 年1回、例年5月〜8月頃 |
| 試験方法 | 第1次・第2次・第3次試験。基礎能力試験、適性試験、外国語試験、人物試験、身体検査など |
| 免除科目 | なし |
| 試験場所 | 全国の指定試験地 |
| 受験料 | 無料 |
| 登録・更新 | 採用後、航空保安大学校で研修を受け、各地の空港・航空交通管制部などに配属 |
| 問い合わせ | 各地方の人事院事務局 |
| 関連資格 | 航空工場整備 |
航空管制官試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 第1次:5月24日(日) 第2次:7月1日(水) 第3次:8月20日(木)~8月21日(金)のうち指定する日 | 2月19日~3月23日 | 第1次:6月16日 第2次:8月12日 最終:9月24日 |
航空管制官試験の試験内容
第1次試験、第2次試験、第3次試験で構成されています。第1次試験では、基礎能力試験、適性試験Ⅰ部、外国語試験が行われます。第2次試験では、外国語試験の面接と人物試験が行われ、第3次試験では、適性試験Ⅱ部、身体検査、身体測定が実施されます。
基礎能力だけでなく、英語力、記憶力、空間把握力、航空管制業務を行うための適性、身体条件などを段階的に確認する内容です。第1次試験合格者は、基礎能力試験、適性試験Ⅰ部、外国語試験の多肢選択式の成績を総合して決定されます。
出題範囲
第3次試験
適性試験Ⅱ部、身体検査、身体測定が行われます。適性試験Ⅱ部では、航空管制官として必要な記憶力や空間把握力について、航空管制業務シミュレーションを用いて確認されます。
身体検査では、胸部疾患、血圧、尿、一般内科系検査などが行われます。身体測定では、視力、色覚、聴力が確認されます。
第2次試験
外国語試験と人物試験が行われます。外国語試験では、英会話能力を確認する面接形式の試験が実施されます。
人物試験では、人柄、対人的能力、航空管制官としての適性などが面接で確認されます。第2次試験の際には、人物試験の参考として性格検査も行われます。
第1次試験
基礎能力試験、適性試験Ⅰ部、外国語試験が行われます。基礎能力試験では、公務員として必要な基礎的な知能・知識が問われます。
適性試験Ⅰ部では、記憶力や空間関係に関する問題が出題されます。外国語試験は、多肢選択式と聞き取りで構成され、英文理解、英語表現、リスニングなどの英語力が問われます。人事院は、航空管制官採用試験の問題例として、基礎能力試験、適性試験Ⅰ部、外国語試験の多肢選択式・聞き取り・面接を公開しています。
試験科目と出題数
第1次試験では、基礎能力試験、適性試験Ⅰ部、外国語試験が実施されます。第1次試験で実施される外国語試験の聞き取りは、第1次試験合格者を対象に評定され、第2次試験合格者の決定時に他の試験種目と総合されます。
第2次試験では、外国語試験の面接と人物試験が行われます。第3次試験では、適性試験Ⅱ部、身体検査、身体測定が実施されます。適性試験Ⅱ部は、航空管制業務シミュレーションによる試験です。
合格基準
第1次試験は、基礎能力試験、適性試験Ⅰ部、外国語試験の多肢選択式で基準点以上の人について、各試験種目の標準点を合計した得点に基づいて合格者が決定されます。
第2次試験は、第1次試験合格者のうち、外国語試験の聞き取りと外国語試験の面接で基準点以上であり、人物試験がA〜C評価の人について、各試験種目と人物試験の標準点を合計した得点に基づいて合格者が決定されます。基準点は、多肢選択式試験では原則として満点の30%とされています。
航空管制官試験の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 最終合格者数 | 合格率 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 465人 | 132人 | 28.4% | 3.5倍 |
| 2024年度 | 472人 | 135人 | 28.6% | 3.5倍 |
| 2023年度 | 418人 | 94人 | 22.5% | 4.4倍 |
| 2022年度 | 428人 | 85人 | 19.9% | 5.0倍 |
| 2021年度 | 489人 | 42人 | 8.6% | 11.6倍 |
航空管制官試験の難易度
航空管制官は、航空機の安全な運航を支える専門職であり、一般的な公務員試験とは違った適性や能力が求められます。知識を覚えるだけでなく、正確な判断力、集中力、空間認識力、情報処理能力、英語力などを総合的に問われるため、簡単に合格できる試験ではありません。
特に難しいのは、航空管制官ならではの適性が見られる点です。限られた時間の中で複数の情報を整理し、ミスなく判断する力が必要になるため、通常の筆記試験対策だけでは対応しにくい部分があります。英語力も重要になるため、英語が苦手な人にとっては大きなハードルになりやすいでしょう。
また、採用試験であるため、一定点を取れば必ず合格できる資格試験とは性質が異なります。受験者の中から採用候補者として選ばれる必要があるため、筆記・適性・面接などを含めて総合的に高い評価を得る必要があります。人事院では、航空管制官採用試験として2026年度実施試験の受験案内や試験問題例も公開されています。
総合的に見ると、航空管制官試験は、国家公務員系の採用試験の中でも特殊性が高く、難易度の高い試験です。学力だけでなく、航空管制官としての適性や英語力、冷静な判断力も求められるため、十分な準備が必要な試験といえるでしょう。
航空管制官試験の勉強法
基礎能力試験では、文章理解、判断推理、数的処理、資料解釈など、公務員試験でよく出る分野を中心に対策します。特に数的処理や判断推理は短期間では伸びにくいため、早めに問題演習を始めるとよいでしょう。
航空管制官試験では、適性試験も大きなポイントです。空間把握、記憶、注意力、処理速度などが問われるため、問題例を使って形式に慣れておくことが大切です。初見では戸惑いやすいので、繰り返し練習して素早く正確に処理できるようにしましょう。
英語対策も欠かせません。多肢選択式、聞き取り、英語面接があるため、英文読解だけでなく、リスニングや簡単な受け答えの練習もしておく必要があります。航空管制官は業務上英語を使う場面があるため、日頃から英語を聞く・話す練習を取り入れると効果的です。
独学でも対策できますが、公務員試験対策、英語、適性試験をバランスよく進める必要があります。基本的には、公式の過去問題で傾向を確認し、基礎能力は公務員試験用の問題集、適性試験は問題例で反復練習、英語はリスニングと面接対策まで行う勉強法がおすすめです。
資格を活かせる仕事
基本的に航空管制官です。航空管制官は、国土交通省に所属する国家公務員として、空港の管制塔や航空交通管制部などで勤務します。航空機同士が安全な間隔を保てるように指示を出し、パイロットと無線でやり取りしながら、空の交通を管理する重要な仕事です。
航空管制官の仕事では、英語力、判断力、集中力、冷静さ、空間認識能力、チームで連携する力が求められます。一瞬の判断が航空機の安全に関わるため、責任は非常に大きいですが、その分やりがいも大きい仕事です。
この試験は、一般的な資格試験のように「取得して民間企業で幅広く使う」ものではありません。航空管制官として採用されるための試験であり、合格後は研修を受けて、管制官として必要な知識と技能を身につけていく流れになります。
そのため、航空管制官試験は、就職・転職で幅広く使える資格というより、航空管制官を目指す人のための専門的な採用試験です。航空業界で働きたい人の中でも、航空機の安全運航を支える仕事に強い関心がある人に向いている試験といえるでしょう。

