建築設備士試験とは
建築設備士試験は、建築設備に関する専門知識を持ち、建築士に対して設備設計や工事監理に関する助言を行う建築設備士になるための国家試験です。建築設備士は、空調、換気、給排水、電気設備、防災設備など、建築物の機能性や安全性に関わる設備分野の専門家として位置づけられています。
試験は第一次試験と第二次試験に分かれており、第一次試験では建築一般知識、建築法規、建築設備に関する知識が問われます。第二次試験では、建築設備の計画や設計に関する実務的な課題に取り組み、設備計画をまとめる力が評価されます。
建築設計事務所、設備設計事務所、建設会社、設備工事会社、ビル管理会社など、建築設備に関わる仕事で活用しやすい資格です。また、建築設備士の資格を取得すると、二級建築士試験や木造建築士試験の受験資格としても認められるため、建築士を目指す人にとっても関連性の高い資格です。
建築設備士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(業務独占資格) |
| ジャンル | 建築・不動産 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 建築・機械・電気などに関する学歴、保有資格、建築設備に関する実務経験などにより異なる。学歴や資格の種類に応じて、所定の実務経験年数が必要。 |
| 試験日程 | 年1回。第一次試験と第二次試験に分けて実施。 |
| 試験方法 | 第一次試験は筆記試験で、建築一般知識・建築法規・建築設備の3科目。第二次試験は、建築設備基本計画と建築設備基本設計製図を行う記述・設計製図形式。 |
| 免除科目 | 第一次試験に合格した人は、一定期間、本人の申請により第一次試験が免除 |
| 試験場所 | 全国の指定試験地。第二次試験は一部地域での実施となる場合があります。 |
| 受験料 | 36,300円。別途、ネット決済手数料が必要。 |
| 登録・更新 | 試験に合格すると建築設備士となります |
| 問い合わせ | 公益財団法人 建築技術教育普及センター |
| 関連資格 | 一級建築士 二級建築士 木造建築士 エクステリアプランナー |
建築設備士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 第一次試験:6月21日(日) 第二次試験:8月23日(日) | 2月24日~3月13日 | 第一次試験:7月23日 最終:11月5日 |
建築設備士試験の試験内容
第一次試験と第二次試験で構成されています。第一次試験は学科試験で、建築一般知識、建築法規、建築設備の3科目が出題されます。第二次試験は設計製図試験で、建築設備基本計画と建築設備基本設計製図について問われます。
建築設備基本計画では、課題建築物の条件を読み取り、空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備などについて、基本計画を文章でまとめる力が必要です。建築設備基本設計製図では、設備計画を図面として表現する力が問われます。
出題範囲
第二次試験
建築設備基本計画と建築設備基本設計製図が出題されます。建築設備基本計画では、建物概要、平面図、断面図、計画条件などをもとに、設備計画の考え方を記述します。
建築設備基本設計製図では、空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備のうち、選択した分野を中心に設計図を作成します。設備方式、機器配置、配管・ダクト・配線経路、系統、法規への適合性などを、課題条件に合わせて整理する力が必要です。
第一次試験 建築設備
空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機、防災設備、省エネルギー、維持管理など、建築設備に関する専門知識が問われます。
設備機器の仕組み、容量計算、配管・ダクト・配線計画、設備方式の選定、法規との関係など、実務に近い内容を幅広く理解しておく必要があります。
第一次試験 建築法規
建築基準法、建築士法、消防法、省エネ法、バリアフリー関連法規など、建築や設備に関係する法令が出題されます。
法令集を使いながら、建築設備に関する条文、防火・避難、換気、排煙、給排水、電気設備、建築物の用途や規模に応じた規定を正確に読み取る力が必要です。
第一次試験 建築一般知識
建築計画、建築環境、建築構造、建築施工など、建築設備を計画する前提となる建築全般の知識が問われます。
建築物の用途、室内環境、熱・空気・音・光、構造方式、材料、施工方法などを理解し、設備計画と建築計画の関係を整理しておくことが大切です。
試験科目と出題数
第一次試験は四肢択一式で、合計105問出題されます。内訳は、建築一般知識27問、建築法規18問、建築設備60問です。
第二次試験は設計製図試験です。建築設備基本計画は記述式、建築設備基本設計製図は図面作成を含む形式で実施されます。第二次試験の課題は、試験前に公表されます。
合格基準
第一次試験は、総得点と科目ごとの基準点を満たす必要があります。原則として、建築一般知識は27問中13点、建築法規は18問中9点、建築設備は60問中30点、総得点は105問中70点が基準です。ただし、試験問題の難易度により補正される場合があります。
第二次試験は、建築設備基本計画と建築設備基本設計製図の内容をもとに判定されます。課題条件との整合性、計画の妥当性、法適合性、設備計画の表現力、図面としての完成度などが評価されます。
建築設備士試験の受験者数・合格率
第一次試験
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 2,950人 | 769人 | 26.1% |
| 令和6年 | 2,807人 | 935人 | 33.3% |
| 令和5年 | 2,726人 | 818人 | 30.0% |
| 令和4年 | 2,813人 | 882人 | 31.4% |
| 令和3年 | 2,900人 | 950人 | 32.8% |
第二次試験
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 1,275人 | 563人 | 44.2% |
| 令和6年 | 1,371人 | 732人 | 53.4% |
| 令和5年 | 1,299人 | 632人 | 48.7% |
| 令和4年 | 1,111人 | 516人 | 46.4% |
| 令和3年 | 1,158人 | 606人 | 52.3% |
総合合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 3,584人 | 563人 | 15.7% |
| 令和6年 | 3,403人 | 732人 | 21.5% |
| 令和5年 | 3,302人 | 632人 | 19.1% |
| 令和4年 | 3,183人 | 516人 | 16.2% |
| 令和3年 | 3,217人 | 606人 | 18.8% |
建築設備士試験の難易度
建築設備に関する専門性が高く、建築・設備分野の実務経験がある人でもしっかり対策が必要な試験です。建築士試験のように設計製図を行う試験ではありませんが、一次試験と二次試験があり、知識だけでなく、設備計画を文章や図で説明する力も求められます。
難しさの理由は、出題範囲が建築一般知識、建築法規、建築設備の各分野にまたがるためです。特に建築設備では、空調、換気、給排水衛生、電気、防災、省エネルギーなど幅広い知識が必要になります。設備の一分野に詳しい人でも、普段扱わない分野まで学ぶ必要があるため、学習範囲の広さを負担に感じやすい試験です。
二次試験では、建築設備に関する計画や設計上の考え方を記述する力が問われます。単に用語を覚えるだけではなく、建物の用途や条件に合わせて、どのような設備計画が適切かを考え、分かりやすく説明する必要があります。実務で設備設計や施工管理に関わっている人は理解しやすい一方、経験が特定分野に偏っている場合は、総合的な設備計画の考え方に慣れるまで時間がかかります。
建築設備の実務経験がある人にとっては、学習内容を仕事と結びつけやすい資格です。ただし、一次試験では幅広い知識を整理する必要があり、二次試験では記述対策も欠かせません。暗記だけで押し切るよりも、設備ごとの役割や建物全体との関係を理解しながら対策することが重要です。
建築設備士試験の勉強法
第一次試験では、空調、給排水衛生、電気設備、防災設備、省エネルギー、建築基準法など、建築設備に関する知識が幅広く問われます。特に設備分野は範囲が広いため、テキストで全体像を確認したうえで、過去問を繰り返し解いて頻出分野を固めることが大切です。
建築法規では、法令集を使いこなす力も重要になります。建築設備に関係する条文や基準を素早く確認できるように、線引きやインデックス整理を早めに行い、問題演習を通じて条文の探し方に慣れておきましょう。
第二次試験では、建築設備基本計画や記述問題への対策が必要です。単に設備の知識を覚えるだけでなく、建物用途や条件に応じて、どの設備方式を選ぶか、どのような省エネ・防災・維持管理上の配慮をするかを説明できるようにしておきましょう。
独学でも対策できますが、第二次試験は記述や計画力が問われるため、自己採点が難しい部分もあります。基本的には、第一次試験は過去問を反復し、第二次試験は記述練習や添削講座を活用しながら、設備計画を具体的に説明できる力を身につける勉強法がおすすめです。
建築設備士試験のお勧めテキスト
建築設備士 学科問題解説集
建築設備士の第一次試験対策に使いやすい問題解説集です。建築一般知識、建築法規、建築設備の各分野を、本試験形式に近い問題で確認できます。テキストで基礎を押さえた後、出題傾向や苦手分野を把握する教材として向いています。
資格を活かせる仕事
設備設計事務所、建築設計事務所、ゼネコン、サブコン、建設会社、設備工事会社、ビル管理会社、建築設備メーカー、官公庁・自治体の建築設備部門、確認検査機関などがあります。特に、空調設備、給排水設備、電気設備、防災設備の設計・監理・施工管理・維持管理に関わる仕事では、資格で学んだ知識を実務に活かしやすいでしょう。
建築設備は、建物の使いやすさや快適さを左右する重要な分野です。どれだけ建物のデザインが良くても、空調が効きにくい、給排水に問題がある、電気設備が使いにくいと、建物全体の品質に大きく影響します。そのため、設備面から建築物を理解できる人材は、設計・施工・維持管理の現場で評価されやすいです。
建築設備士は、一級建築士に対して建築設備に関する助言を行える資格でもあり、設備設計の専門性を示しやすい資格です。建築業界の中でも設備分野でキャリアを築きたい人にとっては、取得する価値があります。
一方で、建築設備士だけで設計業務全体を広く担えるわけではありません。建築設計の中心資格としては一級建築士・二級建築士の方が評価されやすいため、建築設備士は設備分野の専門性を高める資格として考えるとよいでしょう。
建築設備士試験は、設備設計、設備施工管理、ビル管理、建築設備の維持管理などに関わる人に向いています。実務経験や一級建築士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士、建築物環境衛生管理技術者などと組み合わせることで、より仕事に活かしやすくなる資格です。

