木造建築士試験とは
木造建築士試験は、木造建築物の設計や工事監理を行う木造建築士になるために必要な国家試験です。建築士資格の一つで、木造住宅や小規模な木造建築物に関する専門知識と設計能力を証明する資格として位置づけられています。
試験は「学科の試験」と「設計製図の試験」に分かれており、学科では建築計画、建築法規、建築構造、建築施工など、木造建築に関わる基礎知識が問われます。設計製図では、与えられた条件に基づいて木造建築物を計画し、図面としてまとめる力が評価されます。
建築設計事務所、工務店、住宅会社、リフォーム会社など、木造住宅や小規模建築に関わる仕事で活用しやすい資格です。一級建築士や二級建築士に比べると扱える建築物の範囲は限られますが、木造建築に特化した資格として、住宅設計や地域密着型の建築業務に携わりたい人に向いています。
木造建築士の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(業務独占資格) |
| ジャンル | 建築・不動産 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 大学・短期大学・高等専門学校・高等学校・専修学校・職業訓練校などで建築に関する指定科目を修めて卒業した人、建築設備士、建築実務経験が7年以上ある人、その他都道府県知事が特に認める人など。 |
| 試験日程 | 年1回。学科の試験と設計製図の試験に分けて実施。 |
| 試験方法 | 学科の試験は筆記試験で、建築計画・建築法規・建築構造・建築施工の4科目。設計製図の試験は、木造建築物の課題に基づいて設計図書を作成する実技形式。 |
| 免除科目 | 学科の試験に合格した人は、一定期間、本人の申請により学科の試験が免除されます。 |
| 試験場所 | 住所地の都道府県を基本に、指定された試験場で受験。 |
| 受験料 | 18,500円(非課税)。別途、ネット決済手数料が必要。 |
| 登録・更新 | 試験合格後、木造建築士として業務を行うには、都道府県知事の免許登録が必要。建築士事務所に所属する建築士は、原則として定期講習の受講が必要です。 |
| 問い合わせ | 公益財団法人 建築技術教育普及センター |
| 関連資格 | 一級建築士 二級建築士 建築設備士 エクステリアプランナー |
木造建築士の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 学科:7月26日(日) 設計製図:10月11日(日) | 4月1日~4月14日 | 学科:8月24日 設計製図:12月3日 |
木造建築士の試験内容
学科の試験と設計製図の試験で構成されています。学科の試験に合格した人が、設計製図の試験を受験できます。
設計製図の試験では、事前に公表される木造建築物の課題について、要求条件を読み取り、設計図書を作成する力が問われます。学科の試験では、建築計画、建築法規、建築構造、建築施工の4科目が出題されます。
出題範囲
設計製図の試験
木造建築物の配置、平面計画、断面計画、構造計画、動線、採光・換気、避難、敷地条件、法規制などを踏まえて、課題条件に沿った設計図書を作成します。
木造建築士試験では、木造建築物に関する設計能力が重視されます。柱、梁、壁、床、屋根、小屋組、基礎など、木造特有の構造や納まりを理解し、図面に反映できる力が必要です。
学科Ⅰ 建築計画
住宅や小規模建築物の計画、建築史、建築環境、建築設備などが問われます。木造建築物の使いやすさ、室内環境、採光、換気、断熱、設備計画などを理解しておく必要があります。
学科Ⅱ 建築法規
建築基準法、建築士法、消防法、都市計画法など、建築に関係する法令が出題されます。建ぺい率、容積率、高さ制限、防火規定、採光・換気、避難規定などを、法令集を使って正確に読み取る力が必要です。
学科Ⅲ 建築構造
木造建築物の構造、構造力学、荷重、基礎、軸組、壁量、接合部、耐震性などが問われます。木材の性質や、木造建築物を安全に支えるための構造の考え方を理解しておく必要があります。
学科Ⅳ 建築施工
施工計画、仮設工事、基礎工事、木工事、屋根工事、左官工事、建具工事、内外装工事、品質管理、安全管理などが出題されます。木造建築物の施工手順や、現場での管理方法を整理しておくことが大切です。
試験科目と出題数
学科の試験は、四肢択一式で100問出題されます。内訳は、建築計画25問、建築法規25問、建築構造25問、建築施工25問です。
設計製図の試験は、1課題について設計図書を作成する形式で実施されます。試験時間は5時間です。
合格基準
学科の試験は、総得点と科目ごとの基準点を満たす必要があります。一般的には、各科目25点満点中13点以上、総得点100点満点中60点以上が基準になりますが、試験回によって補正される場合があります。
設計製図の試験は、採点結果がランクⅠの場合に合格となります。ランクⅡ、ランクⅢ、ランクⅣは不合格です。要求条件を満たしていない図面や、重大な法令違反、木造建築物として成立しない構造上の不備がある場合は、大きな減点や不合格の対象になります。
木造建築士の受験者数・合格率
学科試験
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 443人 | 231人 | 52.1% |
| 令和6年 | 560人 | 321人 | 57.3% |
| 令和5年 | 704人 | 459人 | 65.2% |
| 令和4年 | 688人 | 431人 | 62.6% |
| 令和3年 | 706人 | 352人 | 49.9% |
設計製図試験
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 245人 | 181人 | 73.9% |
| 令和6年 | 342人 | 242人 | 70.8% |
| 令和5年 | 479人 | 337人 | 70.4% |
| 令和4年 | 432人 | 255人 | 59.0% |
| 令和3年 | 256人 | 241人 | 67.7% |
総合合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 471人 | 181人 | 38.4% |
| 令和6年 | 607人 | 242人 | 39.9% |
| 令和5年 | 758人 | 337人 | 44.5% |
| 令和4年 | 719人 | 255人 | 35.5% |
| 令和3年 | 731人 | 241人 | 33.0% |
木造建築士の難易度
木造建築士試験は、一級建築士や二級建築士より出題範囲は絞られますが、学科試験と設計製図試験の両方に合格する必要があるため、十分な対策が必要です。木造建築に特化している分、建築系の学習経験や木造住宅の実務経験がある人は取り組みやすい試験です。
難しさの理由は、建築計画、建築法規、建築構造、建築施工をバランスよく学ぶ必要があるためです。特に法規では法令集を使いこなす力、構造では木造建築の仕組みや部材、接合部などを理解する力が求められます。
設計製図試験では、課題文の条件を読み取り、木造建築として無理のない平面計画や構造計画を図面にまとめる必要があります。作図に慣れていない人は、制限時間内に図面を完成させる部分で苦労しやすいでしょう。
建築系の基礎がある人なら学習を進めやすい一方、初学者は専門用語、法規、構造、製図を一から学ぶ必要があります。合格率は一級建築士や二級建築士より高めに出ることがありますが、学科と製図の両方を突破する必要があるため、計画的な学習は欠かせません。
木造建築士の勉強法
学科は、建築計画、建築法規、建築構造、建築施工の4科目が出題されるため、まずはテキストで基礎を確認し、過去問を中心に学習を進めましょう。
学科対策では、木造建築に関する知識を重点的に押さえることが大切です。特に、木材の性質、在来軸組工法、構造部材、接合部、耐力壁、基礎、屋根、床、壁の構成などは、木造建築士試験らしい重要分野になります。
建築法規では、法令集を使いこなす練習が欠かせません。必要な条文を素早く引けるように、線引きやインデックス整理を早めに行い、過去問を解きながら条文の探し方に慣れておきましょう。
設計製図試験では、木造住宅などの課題に対して、条件に合った図面を時間内に仕上げる力が求められます。エスキス、動線計画、室配置、構造計画、作図スピードを意識し、実際に手を動かして練習することが重要です。
独学でも合格を目指せますが、製図対策は自己判断が難しいため、通信講座や資格学校を利用するのも一つの方法です。基本的には、学科は過去問を反復し、製図は添削を受けながら課題を繰り返す勉強法がおすすめです。
木造建築士のテキスト
木造建築士資格研修テキスト
木造建築士試験の学科対策に使いやすいテキストです。建築計画、建築法規、建築構造、建築施工を木造建築に関連づけて学べます。学科別の厳選過去問題も収録されており、木造建築士試験の全体像をつかみたい人に向いています。
建築基準法関係法令集 2026年度版
木造建築士試験の法規対策では、建築基準法関係法令集を使った学習が欠かせません。法規問題は条文を引きながら解く力が必要になるため、早い段階から最新版の法令集に慣れておくと、本試験でも対応しやすくなります。
資格を活かせる仕事
工務店、住宅設計事務所、ハウスメーカー、リフォーム会社、木造住宅専門の設計事務所、古民家再生、住宅リノベーション、地域密着型の建築会社などがあります。特に、木造戸建住宅の設計補助、増改築、リフォーム提案、工事監理、施主との打ち合わせなどを行う仕事では、資格で学んだ知識を活かしやすいでしょう。
木造建築では、構造、材料、耐震性、断熱、劣化対策、施工方法など、木造ならではの知識が求められます。地域の工務店や住宅会社では、木造住宅に詳しい人材は実務に結びつきやすく、住宅づくりやリフォームの現場で役立ちます。
一方で、木造建築士は扱える範囲が限られるため、就職・転職で強くアピールしたい場合は、二級建築士や一級建築士の方が評価されやすいです。大規模な建築物や幅広い設計業務を目指す場合、木造建築士だけでは選択肢が狭くなります。
木造建築士試験は、木造住宅や小規模建築に関わりたい人、地域の工務店や住宅会社で働きたい人に向いている資格です。将来的に設計業務の幅を広げたい場合は、実務経験を積みながら二級建築士や一級建築士へのステップアップを考えるとよいでしょう。

