全国通訳案内士とは、外国人旅行者に日本の観光地や文化、歴史などを外国語で案内する「通訳ガイド」の国家資格です。
資格取得には、10か国語から受験言語を選び、筆記試験と口述試験に合格する必要があります。語学力だけでなく、日本の地理・歴史・文化など幅広い知識が求められます。
全国通訳案内士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(名称独占資格) |
| ジャンル | 外国語 |
| 資格区分 | 英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語 |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 【一次試験】8月中旬(年1回) 【二次試験】12月上旬 |
| 試験方法 | 【一次試験】筆記試験(多肢選択式) 【二次試験】口述試験 |
| 免除科目 | 前年に合格基準を満たした筆記試験科目などは、条件により免除あり ※取得資格などによる科目免除制度もあり |
| 試験場所 | 【筆記試験】札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪府、広島市、福岡市、那覇市 【口述試験】受験言語により東京近郊、大阪近郊、福岡市 |
| 受験料 | 1言語受験:11,700円、2言語受験:23,400円 |
| 登録・更新 | 合格後、都道府県への登録が必要 登録後は5年ごとに登録研修機関が実施する研修を受講 |
| 問い合わせ | 日本政府観光局(JNTO) |
全国通訳案内士試験の試験日程
2026年度試験
| 願書受付 | 6月1日~7月10日 |
| 筆記試験 | 8月16日 |
| 筆記試験合格発表 | 9月25日 |
| 口述試験 | 11月29日 |
| 最終合格発表 | 1月22日 |
全国通訳案内士試験の試験内容
全国通訳案内士試験は、一次試験(筆記)と二次試験(口述)で行われます。
一次試験では、外国語に加えて、日本地理、日本歴史、一般常識、通訳案内の実務が出題されます。二次試験では選択した外国語を使い、通訳や日本文化・観光についての説明、旅行者への対応など、実際のガイド業務を想定した能力が問われます。
出題形式・範囲
一次試験は以下の5科目です。
外国語、日本地理、日本歴史、一般常識、通訳案内の実務
外国語は英語、中国語、韓国語など10言語から選択します。語学力だけでなく、日本の観光地・歴史・文化や、旅程管理、危機管理、関係法令など幅広い知識が必要です。
二次試験では、外国語によるプレゼンテーションや通訳、旅行者への対応などが行われ、知識を外国人旅行者に分かりやすく伝える力も評価されます。
合格点
一次試験の合格基準は原則として、
外国語・日本地理・日本歴史:70点
一般常識・通訳案内の実務:30点
です。
科目ごとに基準点をクリアする必要があり、平均点などによって基準が調整される場合もあります。
二次試験は、原則7割が合格基準です。語学力だけでなく、プレゼンテーション、コミュニケーション、発音、ホスピタリティなども評価されます。
免除科目
全国通訳案内士試験には、条件を満たすことで筆記試験の一部が免除される制度があります。
例えば、英検1級や一定以上のTOEICスコアなどで外国語、旅行業務取扱管理者で日本地理、歴史能力検定の対象級で日本歴史が免除される場合があります。
また、前年度に合格基準を満たした科目についても、翌年度の試験で免除を受けられる場合があります。
免除条件や対象資格には細かな規定があるため、利用する場合は受験年度の最新ガイドラインを確認しておきましょう。
全国通訳案内士試験の受験者数・合格率
| 時期 | 受験者数 | 合格率 |
|---|---|---|
| 2025年 | 3,987人 | 14.7% |
| 2024年 | 3,849人 | 10.0% |
| 2023年 | 3,638人 | 12.0% |
| 2022年 | 3,472人 | 16.4% |
| 2021年 | 3,834人 | 9.1% |
| 2020年 | 5,078人 | 9.6% |
| 2019年 | 7,244人 | 8.5% |
| 2018年 | 7,651人 | 9.8% |
| 2017年 | 10,564人 | 15.6% |
| 2016年 | 11,307人 | 21.3% |
| 2015年 | 10,975人 | 19.3% |
| 2014年 | 7,290人 | 22.7% |
| 2013年 | 4,706人 | 25.5% |
| 2012年 | 5,000人 | 14.3% |
| 2011年 | 5,485人 | 16.3% |
| 2010年 | 7,239人 | 12.9% |
| 2009年 | 8,078人 | 15.2% |
| 2008年 | 8,972人 | 19.4% |
| 2007年 | 9,245人 | 20.6% |
| 2006年 | 8,695人 | 13.1% |
| 2005年 | 7,043人 | 11.2% |
※合格率は、二次試験の合格者数から算出しています。
全国通訳案内士試験の受験者数は、2018年の法改正で資格がなくても有償の通訳ガイド業務が可能になったことなどから、大きく減少しました。
2017年度は10,564人だった受験者数が、2018年度には7,651人まで減少。近年は3,000人台後半で推移しており、2025年度は3,987人となっています。
合格率は年度によって差がありますが、近年は10%台前半が中心です。2025年度は14.7%で、語学力だけでなく、日本の地理・歴史・文化に関する知識や実践的な対応力まで求められる難関試験といえます。
現在は「仕事をするために必須の資格」ではなく、通訳ガイドとしての専門性を証明する国家資格という意味合いが強くなっています。
全国通訳案内士試験の難易度
全国通訳案内士試験の最終合格率は、近年10%台で推移する難関試験です。外国語だけでなく、日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務まで幅広く出題されます。
ただし、受験資格がなく誰でも受験できるため、合格率の低さだけで難易度を判断する必要はありません。科目ごとの傾向を把握し、計画的に対策すれば十分に合格を狙えます。
特に注意したいのが二次試験(口述)です。通訳力だけでなく、日本文化を説明する力や旅行者への対応力も評価されるため、一次試験と並行して早めに対策しておくことが重要です。
- 対策不足のまま受けたところ、外国語以外の科目でかなり苦戦しました。特に日本地理と一般常識は範囲が広く、過去問だけでは不安が残る内容でした。(2025年度試験)
- 英語の筆記試験は思ったより取り組みやすかったですが、日本歴史と通訳案内の実務で苦戦しました。語学力だけでは合格できない試験だと実感しました。(2024年度試験)
- 日本地理は観光地や地域の特色まで問われるので、単なる暗記では対応しにくい印象です。旅行や観光ニュースにも普段から触れておくべきだと思いました。(2023年度試験)
- 二次試験では、外国語で話す力だけでなく、ガイドとしてどう対応するかも見られていると感じました。想定問答をもっと練習しておけばよかったです。(2022年度試験)
- 受験資格がないので気軽に申し込みましたが、実際はかなり本格的な国家試験でした。筆記も口述も幅広く、計画的な対策が必要だと感じました。(2021年度試験)
全国通訳案内士試験のテキスト
全国通訳案内士試験 地理・歴史・一般常識・実務 パーフェクト対策
日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務をまとめて対策できる一冊。一次試験の主要科目を幅広く確認したい人に向いています。
全国通訳案内士試験「英語一次・二次」直前対策
英語の一次試験だけでなく、二次の口述試験までカバーした対策本。英語で受験する人が試験前の総仕上げに使いやすい教材です。
全国通訳案内士試験「地理」合格!対策
地図や写真、イラストを使いながら日本地理を学べる科目別テキストです。出題の重要度も掲載されており、地理を重点的に対策したい人におすすめです。通訳案内士予備校True Japan Schoolでも2026年の地理対策講座のメインテキストとして採用されています。
全国通訳案内士を取得する意味はない?
2018年の法改正により、現在は全国通訳案内士の資格がなくても、有償で外国人旅行者を案内できます。そのため、以前のような「仕事をするための必須資格」ではありません。
ただし、全国通訳案内士は、語学力に加えて日本の地理・歴史・文化・観光知識を持っていることを証明できる国家資格です。
採用する側にとっても、一定の語学力や観光知識を客観的に判断できるため、旅行会社やインバウンド関連企業などでは評価材料になります。
資格だけで仕事が保証されるわけではありませんが、通訳ガイドとしての専門性や信用を示すという意味では、現在でも取得する価値のある資格といえるでしょう。
全国通訳案内士を取得すれば年収はいくらを目指せる?
全国通訳案内士には会社員のような統一された給与水準はなく、フリーランスで活動する人も多いため、「資格を取れば年収○万円」とは決められません。
実際の収入は、対応言語、ガイド経験、稼働日数、旅行会社との取引、個人で集客できるかなどによって大きく変わります。特に繁忙期中心の仕事になりやすいため、資格取得直後からガイド業だけで安定した高収入を得られるとは限りません。
一方で、案件を継続的に獲得できるようになれば、年収300万~500万円程度を目標にすることは現実的なラインです。英語以外の希少言語に対応できる人や、高単価のプライベートツアーを多数受注できる人なら、それ以上を狙える場合もあります。
全国通訳案内士は資格がなくても仕事ができる?
2018年の法改正以降、全国通訳案内士の資格を持っていなくても、有償で外国人旅行者を案内できるようになりました。
ただし、「全国通訳案内士」という名称を使用できるのは資格取得者だけです。
そのため現在は「仕事をするために必須の資格」というより、語学力や日本に関する知識、ガイドとしての能力を公的に証明する資格という位置づけになっています。
全国通訳案内士はどんなところで働く?
全国通訳案内士は、旅行会社などから依頼を受けて、訪日外国人の観光案内を行うのが代表的な仕事です。
観光地を案内するだけでなく、日本の歴史や文化、食事、生活習慣などについて説明したり、旅行中のトラブルに対応したりすることもあります。
会社員として働くだけでなく、フリーランスの通訳ガイドとして仕事を受ける働き方もあります。
全国通訳案内士は英語以外でも取得できる?
全国通訳案内士というと英語のイメージがありますが、試験は10言語に対応しています。
英語のほか、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語から選択できます。
また、すでに全国通訳案内士になっている人が、別の外国語で資格取得を目指すことも可能です。
全国通訳案内士と地域通訳案内士の違い
全国通訳案内士とは別に、地域通訳案内士という制度があります。
全国通訳案内士は国家試験に合格して登録する資格で、全国を対象として活動できます。一方、地域通訳案内士は自治体などが実施する研修を修了し、特定の地域で外国人旅行者を案内する制度です。
「全国」と「地域」では、資格取得までの仕組みや活動する範囲が異なります。
- 観光英語検定
観光・旅行分野の英語力を測る資格で、通訳ガイドの仕事内容と関連性が高い。 - 実用英語技能検定(英検)
総合的な英語力を証明でき、一定の級を取得すると全国通訳案内士試験の外国語科目が免除される。 - TOEIC L&R
英語でのコミュニケーション能力を測る試験。一定以上のスコアで外国語科目の免除対象になる。 - 旅行業務取扱管理者
旅行業に関する国家資格。通訳だけでなく、観光・旅行業界で幅広く活躍したい人と相性がよい。

