日本に訪れる外国人を対象に付き添い、その外国人に合わせた言語を用いて観光案内するガイドの役割を担っており、通訳ガイドとも言われています。
試験は英語を含む10か国語から選択し、一次試験の筆記試験・二次試験の口述試験でそれぞれ合格して研修を受講することで全国通訳案内士と名乗って業務を行うことができます。
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全国通訳案内士の基本情報
資格種別 | 国家資格(名称独占資格) |
ジャンル | 外国語 |
資格区分 | 英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語 |
受験資格 | なし |
試験日程 | 【一次試験】8月中旬(年1回) 【二次試験】12月上旬 |
試験方法 | 【一次試験】筆記試験(多肢選択式) 【二次試験】口述試験 |
免除科目 | 前年の筆記試験を合格して口述試験が不合格だった場合、次の年の外国語以外の筆記試験が免除 ※その他、取得資格により科目免除あり(下記参照) |
試験場所 | 【一次試験】札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇 【二次試験(英語、中国語、韓国語)】東京、大阪、福岡 【二次試験(それ以外)】東京 |
受験料 | 11,700円(1ヵ国) |
登録・更新 | 5年ごとに登録研修機関が行う「登録研修機関研修」を受講(2020年より開始予定) |
主な対象者 | 小学生
中学生
高校生
大学生
専門生
社会人
その他 |
問い合わせ | 独立行政法人 国際観光振興機構 |
【総合評価】
人気 : | 将来性: |
就転職: | 難易度: |
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全国通訳案内士の試験日程
2019年度試験
試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
---|---|---|
一次試験 2019年8月18日(日) 二次試験 2019年12月8日(日) | 5月13日~6月24日 | 一次試験 11月7日 二次試験 2月7日 |
全国通訳案内士の試験内容
出題形式・範囲
試験は、各言語から一つを選択して受験します。
【外国語(出願者の選択する一カ国語)】
<英語>記述式とマークシート方式の併用
<フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語>記述式
【日本語による筆記試験 (マークシート方式)】
(ア)日本地理(イ)日本歴史(ウ)産業、経済、政治及び文化に関する一般常識(エ)通訳案内の実務※2018年度試験より追加
合格点
- 外国語についての筆記試験は、各語学ごとに、70点を合格基準点
- 日本地理、日本歴史、一般常識は、各科目60点を合格基準点
免除科目
前年の筆記試験を合格して口述試験が不合格だった場合、次の年の外国語以外の筆記試験が免除されます。
- 実用英語技能検定1級
- TOEIC(900点以上)、TOEICスピーキングテスト(160点以上)、TOEICライティングテスト(170点以上)は試験日から1年以内に取得

2018年度から免除の内容が若干変更になっているので注意して下さい。他にも数多くの免許がありますので、詳しくは国際観光振興機構のHPで確認して下さい。
全国通訳案内士の受験者数・合格率
時期 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2018年 | 7,651人 | 9.8% |
2017年 | 10,564人 | 15.6% |
2016年 | 11,307人 | 21.3% |
2015年 | 10,975人 | 19.3% |
2014年 | 7,290人 | 22.7% |
2013年 | 4,706人 | 25.5% |
2012年 | 5,000人 | 14.3% |
2011年 | 5,485人 | 16.3% |
2010年 | 7,239人 | 12.9% |
2009年 | 8,078人 | 15.2% |
2008年 | 8,972人 | 19.4% |
2007年 | 9,245人 | 20.6% |
2006年 | 8,695人 | 13.1% |
2005年 | 7,043人 | 11.2% |
※合格率は、二次試験の合格者数から算出しています。

2018年度は受験者数も合格率も明らかに下がっていますね。

受験者数が減少しているのは業務独占規制が廃止されたことが影響していると思われています。
合格率については、一次試験は2017年度の合格率が21.8%なのに対して2018年度が23.0%とむしろ上がっていますが、二次試験になると2017年度の合格率が63.0%に対して2018年度が44.7%と2割以上も減少しています。

試験内容が変更になったことが影響してそうですね。これからは現場で要求されるコミュニケーション能力が重要視されていくのでしょうね。
全国通訳案内士の難易度
合格率は毎年10%~20%しかありませんので、難易度はかなり高いと言えるでしょう。
ただ受験資格はなく、遊び気分で特に試験対策を立てずに受験する人が多数いる中で合格率が下がっていることも考えられますので、しっかりと試験対策をすれば十分合格できるチャンスはあります。
- 対策を立てなかったので見事に撃沈。全て不合格でした。難易度は高いと感じました(2018年度試験)
- 初めて受けたけど、英語の試験そんなに難しくはなかった(2018年度試験)
- 地理の問題が過去問の傾向と全然違っていて全然できなかった。英語は簡単だった(2017年度試験)
- 一般常識で過去の東京オリンピックの問題が出るとは思わなかった。(2015年度試験)
全国通訳案内士の勉強法
通訳案内士の試験は一次試験と二次試験に分かれており、一次試験では「外国語」と「日本の地理・歴史・一般常識」で構成されています。
勉強時間の目安は150時間~200時間程度になりますが、試験勉強前にどれだけ事前知識があるのかで必要な勉強時間は大きく異なります。
外国語は、英語、韓国語、中国語など10か国語の中から選択して受験しますが、受験者の半数近くは英語を選択しています。

合格率は10%~25%程しかありませんのでしっかり試験対策をしておく必要があります。
英語の勉強法
英語のレベルは英検準1級程度のレベルになるので、同等レベルの知識があれば、英語に関して言えば、過去門を2~3回繰り返して勉強すればさほど難しくありません。
英検の参考書で勉強しても良いですが、法学書院編集部が出版している「通訳ガイド英語過去問解説」は、過去問に対する解説がキチッとされているので、分かりやすくオススメできます。
後は、練習問題を徹底的にこなすためにも「通訳ガイド英語完全対策」辺りも併用して勉強すれば、独学でも十分対応できます。
日本史・地理・一般常識の勉強法
通訳案内士を目指す人の多くが、英語を得意としていますが、日本史に関して苦戦する受験が多いので、しっかりと対策を練る必要があります。
岸貴介さんが監修している「通訳ガイド地理・歴史・一般常識過去問解説」では、過去5年分の過去問を収録しています。
但し、過去の問題と全く同じではないので注意が必要なのと、著作権の問題なのか写真の資料に乏しいので、ネットで画像検索をかけるなど、視覚的にも勉強して記憶を補強することが必要です。
過去問をこなすことで、ある程度の傾向はつかめると思います。
過去問をこなしつつ、必要であれば「通訳ガイド 地理・歴史・一般常識完全対策」を徹底的にこなしましょう。
ことちらの参考書は、過去問や問題に対する解説の他にも、重要用語と用語の解説がまとめられているので、辞書代わりとしても使うことができます。
と言っても、試験対策にはかなりの知識が必要になるので、参考書だけの勉強だけでは心もとないので、高校の参考書などを流し読みをして、知識を蓄えることが必要になります。
歴史に関しては「歴史能力検定の日本史2級」、地理に関しては「総合又は国内旅行業務取扱管理者」を取得すれば免除されるので、先にこっちを資格を取得するのも一つの手かもしれません。
一般常識に関しては、普通の社会生活を行っていればさほど難しくないですが、スポーツ、政治、時事、出生率・観光などの統計データなど、出題範囲は広範囲になります。特化した対策が出来ないので、鬼門に思っている人も多いです。
全国通訳案内士の仕事
旅行代理店や日本観光通訳協会などと契約して働くことがメインになります。
雇用ではなくフリーとして働くパターンが多いので安定した収入を得ることは難しいですが、完全歩合制になるので、働き方次第では高収入を狙うことができる仕事と言えるでしょう。
通訳ガイド制度について
改正通訳案内士法(平成30年1月4日施行)により通訳案内士の名称が「全国通訳案内士」と名称変更になりました。
これまでは通訳案内士の資格を取得しなければ通訳案内士としての業務を行うことができませんでしたが、有償で通訳案内業務を行えるようになるなど、通訳案内士制度が大きく変わりました。
但し、全国通訳案内士として業務を行うには通訳案内士の資格が必要になります。(名称独占資格)
受験者の口コミ評判

3.5 かずや 30代会社員

4.5 どろーる 20代会社員