医療経営士試験とは
医療機関の経営やマネジメントに必要な知識と実践力を評価する民間資格です。病院やクリニックの運営では、医療制度、診療報酬、人材管理、財務、地域連携、広報、リスクマネジメントなど、医療と経営の両方を理解する力が求められます。
資格区分は、1級、2級、3級に分かれています。1級が最上位で、級が上がるほど医療経営に関する専門知識や課題解決力、実務での応用力が重視されます。試験に合格し、所定の登録手続きを行うことで、医療経営士として認定されます。
病院、クリニック、医療法人、医事課、経営企画、事務長候補、医療関連企業、コンサルティング会社などで活かしやすい資格です。国家資格ではありませんが、医療機関の経営改善や組織運営に関する知識を体系的に学べるため、医療事務から管理職を目指す人や、医療経営に関わりたい人に向いた資格といえます。
医療経営士試験の基本情報
| 資格種別 | 民間資格 |
| ジャンル | 医療・心理 |
| 資格区分 | 1級、2級、3級 |
| 受験資格 | 1級は2級合格者で、協会の個人正会員または法人正会員が対象。2級は3級合格者で、協会の個人正会員または法人正会員が対象。3級はどなたでも受験可能。1級・2級は下位級合格が必要なため、飛び級受験はできません |
| 試験日程 | 1級は年1回。例年9月ごろに第一次試験、12月ごろに第二次試験を実施。2級・3級は年2回程度実施 |
| 試験方法 | 1級は第一次試験、第二次試験で実施。2級・3級は五肢択一のマークシート形式で実施 |
| 免除科目 | 2級で一部分野に合格した場合、一定期間内は合格分野が免除される場合あり |
| 試験場所 | 1級は指定会場で実施。2級・3級は全国の指定試験会場で実施。3級の一部回はIBT試験で実施 |
| 受験料 | 1級 50,000円、2級 両分野受験 16,000円・分野受験 14,000円、3級 9,100円 |
| 登録・更新 | 試験合格後、資格認定登録を行うことで医療経営士として認定。協会会員としての登録・年会費が必要 |
| 問い合わせ | 一般社団法人 日本医療経営実践協会 |
| 関連資格 | 経営学検定 医療秘書技能検定 経営管理士 環境経営士 |
医療経営士試験の試験日
2026年度試験
医療経営士1級
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 2026年9月6日 | 公式発表後に確認 | 公式発表後に確認 |
| 2026年12月6日 | 公式発表後に確認 | 公式発表後に確認 |
医療経営士2級
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 2026年6月14日 | 3月31日~4月27日 | 7月14日 |
| 2026年10月18日 | 8月上旬ごろ開始予定 | 公式発表後に確認 |
医療経営士3級
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 2026年6月14日 | 3月31日~4月27日 | 7月14日 |
| 2026年10月18日 | 8月上旬ごろ開始予定 | 公式発表後に確認 |
| 2027年2月14日 | 公式発表後に確認 | 公式発表後に確認 |
医療経営士試験の試験内容
医療機関の経営・運営に必要な知識を確認する民間資格試験です。1級・2級・3級に分かれており、医療制度、病院経営、経営戦略、財務、組織管理、人材管理、医療マーケティングなど、医療機関を経営面から支えるための内容が出題されます。
出題範囲
3級では、医療経営の基礎知識を中心に出題されます。医療界の基礎知識、医療政策・制度、医療経営、病院の仕組み、診療報酬制度、患者サービス、医療安全、チーム医療など、医療機関の運営を理解するための基本的な内容が対象です。
2級では、医療経営に関するより実務的な知識が問われます。経営戦略、財務会計、管理会計、人事・労務管理、組織管理、マーケティング、医療関連法規、地域医療連携など、医療機関の経営改善や管理業務に関する内容が中心です。
1級では、医療経営に関する高度な分析力や提案力が問われます。経営課題の把握、事業計画、財務分析、組織改革、医療政策への対応、地域医療構想、病院経営の改善策など、実際の経営判断に近い内容が出題されます。
試験科目と出題数
3級は、医療経営に関する基礎知識を問う選択式試験です。医療制度、医療経営、病院運営、診療報酬、医療安全などの基本事項から出題されます。
2級は、選択式試験で実施されます。医療経営に関する実務知識を幅広く問う内容で、経営戦略、財務、人事・労務、組織管理、マーケティングなどから出題されます。
1級は、一次試験と二次試験に分かれます。一次試験では短文記述式の筆記試験が行われ、二次試験では課題記述と面接によって、医療経営に関する考え方や実践的な判断力が確認されます。
合格基準
3級・2級は、総得点のおおむね6割以上が合格の目安です。1級は、一次試験と二次試験のそれぞれで基準を満たす必要があります。1級では知識量だけでなく、医療経営上の課題を整理し、根拠をもって改善策を示せるかも評価対象になります。
医療経営士試験の受験者数・合格率
1級・第一次試験
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 55人 | 25人 | 45.5% |
| 2024年度 | 49人 | 22人 | 44.9% |
| 2023年度 | 45人 | 20人 | 44.4% |
| 2022年度 | 35人 | 14人 | 40.0% |
| 2021年度 | 40人 | 15人 | 37.5% |
1級・第二次試験
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 25人 | 18人 | 72.0% |
| 2024年度 | 22人 | 17人 | 77.3% |
| 2023年度 | 20人 | 16人 | 80.0% |
| 2022年度 | 14人 | 10人 | 71.4% |
| 2021年度 | 15人 | 9人 | 60.0% |
2級
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 618人 | 115人 | 18.6% |
| 2024年度 | 606人 | 177人 | 29.2% |
| 2023年度 | 704人 | 233人 | 33.1% |
| 2022年度 | 628人 | 176人 | 28.0% |
| 2021年度 | 850人 | 219人 | 25.8% |
3級
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2026年度 | 1,145人 | 566人 | 49.4% |
| 2025年度 | 3,664人 | 1,370人 | 37.4% |
| 2024年度 | 3,004人 | 1,153人 | 38.4% |
| 2023年度 | 3,182人 | 1,212人 | 38.1% |
| 2022年度 | 3,126人 | 1,128人 | 36.1% |
医療経営士試験の難易度
医療事務系資格よりも経営・マネジメント寄りの知識が求められるため、医療機関の運営や経営に関心がある人向けの試験です。3級は基礎知識が中心で比較的取り組みやすい一方、2級・1級になると医療経営を実務レベルで考える力が必要になります。
この試験では、医療制度、病院経営、医療政策、診療報酬、財務・会計、人事・組織管理、マーケティング、地域医療連携、医療安全、コンプライアンスなど、医療機関を運営するうえで必要な知識を幅広く扱います。受付やレセプトの知識だけでなく、病院全体をどう運営するかという視点が求められる点が特徴です。
難しく感じやすいのは、医療と経営の両方を結びつけて理解する部分です。医療制度や診療報酬の仕組みだけでなく、収支管理、病床運営、人材確保、地域連携、経営改善なども関係するため、医療現場の経験があっても経営分野に慣れていない人は少し負担を感じやすいでしょう。
特に上位級では、単に用語を覚えるだけでなく、医療機関が抱える課題をどう分析し、改善につなげるかを考える力が重要になります。財務資料や経営指標、医療政策の動向などを読み取り、現場運営と結びつけて考える必要があります。
病院事務、医療法人の経営企画、医療事務、診療情報管理、地域連携、医療コンサルティングなどに関わっている人は、実務と結びつけながら理解しやすい資格です。一方で、医療制度や病院経営に触れた経験が少ない人は、医療と経営の専門用語を整理する部分で負担を感じやすい試験です。
医療経営士試験の勉強法
医療機関の経営、医療制度、財務・会計、人事・組織管理、マーケティング、医療関連法規などを幅広く学ぶことが大切です。まずは、病院やクリニックがどのような仕組みで運営され、診療報酬、患者数、病床機能、人員配置などが経営にどう関わるのかを整理すると学習しやすくなります。
勉強を進める際は、一般企業の経営知識と医療機関特有の制度を分けて理解することが重要です。収支管理、財務諸表、原価管理、労務管理、組織運営などの基本に加えて、医療法、診療報酬制度、地域医療構想、医療安全、個人情報保護といった医療分野ならではの知識も押さえる必要があります。
また、医療経営士試験では、単なる用語暗記だけでなく、医療機関が抱える課題を経営の視点で考える力も求められます。人材不足、病床稼働率、患者満足度、地域連携、在宅医療、設備投資など、実際の医療経営で起こりやすいテーマと結びつけて学ぶと理解が深まりやすくなります。
試験対策では、公式テキストで制度や経営用語を整理し、練習問題を使って出題形式に慣れることが効果的です。間違えた問題は、制度の理解不足なのか、会計・財務の知識不足なのか、医療経営の考え方でつまずいたのかを確認すると復習しやすくなります。医療機関を「診療の場」だけでなく「組織として運営される事業体」として見る意識を持つと、試験内容を実務に近い形で理解しやすくなります。
資格を活かせる仕事
病院の事務部門、経営企画、医事課、総務、人事、地域医療連携室、クリニックの運営管理、医療法人の本部職員、医療コンサルタント、医療機器・医薬品関連企業、医療系システム会社などがあります。特に、病院経営の分析、収支改善、診療報酬データの活用、医療機関の運営改善、スタッフ配置、地域連携、経営戦略の立案などに関わる仕事では、資格で学んだ知識を活かしやすいでしょう。
医療機関は、医療の質を保ちながら、経営面でも安定した運営が求められます。患者数、診療単価、人件費、設備投資、診療報酬改定、地域の医療需要などを総合的に見て、現場と経営の両方を理解できる人材は、病院運営の中で役立ちます。
一方で、医療経営士だけで就職・転職が大きく有利になるとは言いにくいです。医療機関の事務職や経営企画では、医療事務、診療報酬請求、病院での実務経験、データ分析、マネジメント経験、コミュニケーション力なども重視されます。資格単体で経営職に就けるというより、医療機関での経験と組み合わせて活かす資格です。
医療経営士試験は、医療事務から経営寄りの仕事へ進みたい人や、病院・クリニックの運営改善に関わりたい人に向いています。診療情報管理士、診療報酬請求事務能力認定試験、医療事務、簿記、経営分析、ExcelやBIツールのスキルなどと組み合わせることで、医療機関の管理部門や医療経営分野でより活かしやすくなるでしょう。

