作業療法士試験とは
作業療法士として働くために必要な国家資格を取得するための試験です。作業療法士は、病気、けが、障害、加齢などによって日常生活に支援が必要な人に対して、食事、着替え、家事、仕事、趣味活動などの作業を通じて、生活機能の回復や維持を支援する医療専門職です。
試験では、解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床心理学、リハビリテーション医学、作業療法評価学、身体障害作業療法学、精神障害作業療法学、発達障害作業療法学、老年期作業療法学など、作業療法士に必要な幅広い知識が問われます。身体機能だけでなく、心の状態や生活環境を含めて支援する視点も重要になります。
合格後は作業療法士名簿に登録され、病院、診療所、リハビリテーション施設、精神科病院、介護施設、福祉施設、訪問リハビリ、就労支援施設などで働くことができます。生活に必要な動作や社会参加を支える専門職として、医療・介護・福祉の幅広い現場で活躍しやすい資格です。
作業療法士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(名称独占資格) |
| ジャンル | 医療・心理 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 文部科学大臣指定の学校、または都道府県知事指定の作業療法士養成施設で必要な知識・技能を修得した者・修得見込みの者、外国の作業療法に関する学校・養成施設を卒業した者、または外国で作業療法士に相当する免許を取得し、厚生労働大臣の認定を受けた者など |
| 試験日程 | 年1回。例年2月ごろに実施 |
| 試験方法 | 筆記試験で実施。重度視力障害者に対しては口述試験・実技試験が行われる場合あり |
| 免除科目 | – |
| 試験場所 | 筆記試験は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県など。口述試験・実技試験は東京都で実施 |
| 受験料 | 10,100円 |
| 登録・更新 | 合格後、作業療法士名簿に登録することで作業療法士免許を取得。作業療法士免許自体に定期更新制度はありません |
| 問い合わせ | 厚生労働省医政局事課試験免許室 |
| 関連資格 | 理学療法士 言語聴覚士 臨床工学技士 認知症ケア指導管理士 |
作業療法士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 筆記試験:2月23日 口述・実技試験:2月24日 | 12月15日~1月5日 | 3月23日 |
作業療法士試験の試験内容
作業療法士として必要な知識と判断力を確認する国家試験です。試験はマークシート方式で行われ、一般問題と実地問題で構成されます。
出題範囲
出題範囲は、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要、作業療法などです。厚生労働省の出題基準では、基礎医学、臨床医学、作業療法評価、身体障害・精神障害・発達障害・老年期障害への作業療法、地域作業療法、医療安全など、作業療法士の実務に必要な内容が整理されています。
一般問題では、基礎知識や専門知識を幅広く確認します。実地問題では、症例や検査結果、生活場面などをもとに、評価、治療・支援方針、リスク管理、社会復帰支援などを判断する力が問われます。
試験科目と出題数
試験科目は、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要、作業療法です。一般問題と実地問題を合わせて出題され、実地問題は1問3点、一般問題は1問1点で採点されます。
出題数はおおむね全200問で、作業療法士専門問題と理学療法士・作業療法士共通問題から構成されます。採点除外がある場合は、満点や基準点が変わることがあります。
合格基準
合格基準は、総得点で6割程度、かつ実地問題で一定以上の得点が必要です。直近の合格発表では、一般問題159点満点、実地問題114点満点とし、総得点164点以上/273点、実地問題40点以上/114点が基準とされています。
総得点だけでなく、実地問題にも基準があるため、基礎知識に加えて、症例を読み取り、対象者の生活や心身機能に合わせた作業療法を判断する力も重要になります。
作業療法士試験の受験者数・合格率
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | 5,426人 | 4,947人 | 91.2% |
| 2025年 | 5,693人 | 4,887人 | 85.8% |
| 2024年 | 5,736人 | 4,844人 | 84.4% |
| 2023年 | 5,719人 | 4,793人 | 83.8% |
| 2022年 | 5,723人 | 4,608人 | 80.5% |
作業療法士試験の難易度
養成課程で学んできた人にとっては合格を目指しやすい国家試験です。ただし、身体障害、精神障害、発達障害、高齢期障害など幅広い領域を扱うため、理学療法士試験よりも生活・心理・社会参加に関する視点が強く問われます。
この試験では、解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床心理学、リハビリテーション医学、作業療法評価学、身体障害作業療法、精神障害作業療法、発達障害作業療法、老年期作業療法、日常生活活動、福祉用具、地域支援などが出題されます。疾患名や評価方法を覚えるだけでなく、その人の生活や役割、活動への影響まで考える必要があります。
つまずきやすいのは、疾患ごとの症状と作業療法の目的を結びつけて判断する部分です。脳血管障害、認知症、統合失調症、うつ病、発達障害、整形外科疾患などでは、身体機能だけでなく、認知機能、心理面、社会生活、家族支援まで含めて考える力が求められます。
また、評価と支援の選択でも差が出やすい試験です。ADL、IADL、作業分析、環境調整、福祉用具、就労支援、地域生活支援など、実際の生活場面をイメージして理解していないと、選択肢で迷いやすくなります。
養成校での授業や臨床実習を積み重ねてきた人であれば、極端に難しい試験ではありません。一方で、出題範囲は広く、医学的知識だけでなく生活支援や心理社会的な視点も必要になるため、各領域を横断して理解できるかが難しさにつながります。
作業療法士試験の勉強法
解剖学、生理学、運動学、病理学、精神医学、発達学、評価学、作業療法学、日常生活活動、福祉用具、関係法規などを幅広く学ぶことが大切です。まずは、身体機能・精神機能・発達過程の基礎を整理し、対象者の生活動作や社会参加を支援する作業療法の考え方につなげて理解していくと学習しやすくなります。
勉強を進める際は、教科書の知識だけでなく、実習で経験した評価や訓練場面と結びつけて覚えることが効果的です。関節可動域、筋力、感覚、認知機能、高次脳機能、ADL、作業遂行能力などは、評価の目的や結果の見方をセットで整理しておくと混同しにくくなります。
また、作業療法士試験では、疾患や障害ごとの特徴を理解し、その人の生活にどのような支援が必要かを考える力も求められます。脳血管障害、整形外科疾患、神経疾患、精神障害、発達障害、高齢者の認知症などは、病態、評価、訓練、環境調整、家族支援を関連づけて学ぶと理解が深まりやすくなります。
過去問演習では、正解だけを覚えるのではなく、なぜその評価や訓練が適切なのか、なぜその支援方法を選ぶのかまで確認することが大切です。直前期は、基礎医学、疾患別作業療法、精神領域、発達領域、ADL、福祉制度や法規などの頻出分野を中心に復習すると効果的です。知識を「心身機能」「活動」「参加」「環境」の流れで整理すると、試験本番でも応用しやすくなります。
資格を活かせる仕事
病院、リハビリテーション病院、精神科病院、介護老人保健施設、デイケア、訪問リハビリ、障害者支援施設、児童発達支援、放課後等デイサービス、就労支援施設などがあります。特に、食事・着替え・入浴・家事などの日常生活動作の訓練、手先の動作訓練、高次脳機能障害への支援、精神科リハビリ、発達支援、社会復帰支援などでは、資格を直接活かすことができます。
作業療法士は、身体機能の回復だけでなく、その人が生活の中で必要とする動作や役割を取り戻すことを重視する専門職です。患者や利用者の生活環境、家族関係、仕事、趣味、地域での暮らしなども考えながら支援するため、医学的な知識に加えて、相手の生活を理解する力やコミュニケーション力が求められます。
就職・転職においては、医療・介護・福祉・精神保健・発達支援の分野で実用性の高い資格です。理学療法士が歩行や運動機能の回復に強いのに対し、作業療法士は生活動作、認知機能、精神面、社会参加への支援に強みがあります。
作業療法士試験は、リハビリテーションを通じて人の生活や社会復帰を支えたい人に向いています。免許取得後も、身体障害、精神科、発達障害、高齢者リハビリ、訪問リハビリ、就労支援などの分野で経験を積むことで、仕事の幅を広げやすくなるでしょう。
受験者の口コミ評判
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やりがいのある仕事
4.5 智樹 20代会社員
作業療法士でできる仕事のほとんどが理学療法士で出来てしまうという現状から、作業療法士を雇っている医療機関はあまり多くありません。ただ、その分、理学療法士の数の方が多いので、どちらが転職・就職に有利か言われると「?」です。精神障害者施設など、理学療法士では出来ない職場だと重宝される資格ですね。
給料面で言えば、数ある医療資格の中でも厳しく待遇は悪いです。私は12年この業務をしていますが、基本給で3万円程しかアップしていません。初めは周りの友達より高い水準でしたが、いつの間にか追い抜かれていきました。でも、やりがいのある仕事だし、作業療法士をやっていて良かったと思っています。(2019年12月)
とにかく大変
3.0 わら 30代会社員
私は現在31歳で作業療法士の免許を取得しました。専門学校を卒業してこの試験に合格するまでは大変でしたが、就職しても大変です。現在、老人施設に勤務していますが、体力面でかなり厳しいです。まだまだ売り手市場の職種だと思いますが、受験生が増えている中、今後厳しくなっていくと思います。
これから入学される方はそれなりの覚悟が必要です。収入は理学療法士が働けない様な職場(精神障害者施設など)に就職できればそれなりの収入を得られます 。また、理学療法士ほど体力を使いませんので、女性の方が働きやすいです。うちの職場でも、女性の割合が6割と女性の方が多いです。(2017年5月)


やりがいのある仕事
とにかく大変