細胞検査士試験とは
細胞診検査に関する専門知識と技能を評価する認定試験です。細胞検査士は、顕微鏡で細胞を観察し、がん細胞や異常細胞の有無を調べる細胞診に関わる専門職で、臨床検査技師の中でも病理・細胞診分野に特化した資格です。
資格取得には、臨床検査技師または衛生検査技師の資格を持ち、細胞診検査の実務経験を積む、または認定された養成課程を修了するなど、所定の受験資格を満たしたうえで、細胞検査士資格認定試験に合格する必要があります。
病院、検査センター、病理検査部門、細胞診検査室、がん検診、研究機関などで活かしやすい資格です。国家資格ではありませんが、がんの早期発見や診断支援に関わる専門性を示せるため、臨床検査技師として病理・細胞診分野で専門性を高めたい人に向いた資格といえます。
細胞検査士試験の基本情報
| 資格種別 | 民間資格 |
| ジャンル | 医療・心理 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 臨床検査技師または衛生検査技師の資格取得後、主として細胞診検査実務に1年以上従事した者、臨床検査技師または衛生検査技師の資格を有し日本臨床細胞学会認定の細胞診技術者養成機関を修了した者・修了見込みの者、4年制大学の細胞検査士養成課程を修了した者・卒業見込みの者など |
| 試験日程 | 年1回。一次試験は例年10月ごろ、二次試験は例年12月ごろに実施 |
| 試験方法 | 一次試験、二次試験で実施 |
| 免除科目 | 一次試験合格後に二次試験が不合格だった場合、翌年度の一次試験が免除される場合あり |
| 試験場所 | 一次試験・二次試験ともに指定会場で実施 |
| 受験料 | 40,000円 |
| 登録・更新 | 合格後、細胞検査士として認定。資格維持には所定の更新手続きが必要 |
| 問い合わせ | 日本臨床細胞学会 |
| 関連資格 | 臨床検査技師 臨床工学技士 理学療法士 作業療法士 |
細胞検査士試験の試験日
2025年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 一次試験:2025年10月25日 | 8月1日~8月22日 | 一次合格者番号掲載:11月10日 一次試験結果・二次試験案内発送:11月13日 |
| 二次試験:2025年12月6日・12月7日 | 一次試験合格者・一次免除者が対象 | 二次試験結果発送:2026年1月15日 |
細胞検査士試験の試験内容
細胞診に必要な基礎知識、標本作製、染色、細胞像の読み取り、良悪性の判定、疾患や組織型の推定などが問われます。試験は一次試験と二次試験に分かれ、一次試験では筆記と細胞画像、二次試験では実際の標本を用いた鏡検能力が確認されます。
出題範囲
一次試験では、総論、技術、婦人科、呼吸器、消化器、体腔液・その他の分野から出題されます。細胞診の基礎、検体処理、標本作製、染色、正常細胞・良性病変・悪性細胞の特徴、各臓器・領域ごとの細胞像などが中心です。
二次試験では、婦人科、呼吸器、消化器、体腔液、尿路系、その他の標本を対象に、正常・良性、要精査、悪性などの判定を行います。異型細胞や悪性細胞を見つけるだけでなく、考えられる疾患、病態、細胞型、組織型を推定する力も問われます。
試験科目と出題数
一次試験は、筆記試験と細胞像試験で構成されます。筆記試験は120問で、総論、技術、婦人科、呼吸器、消化器、体腔液・その他から各20問が出題されます。細胞像試験では、カラープリントされた細胞画像を見て設問に答えます。
二次試験は実技試験で、スクリーニング試験と同定試験が行われます。スクリーニング試験では、標本を鏡検して問題となる細胞の有無や区分を判定します。同定試験では、示された細胞像から細胞型や組織型、病変などを推定します。
合格基準
合格基準は、一次試験・二次試験ともに100点満点に換算し、原則として70点以上です。一次試験に合格して二次試験に不合格だった場合は、翌年に限り一次試験が免除され、二次試験から受験できます。
細胞検査士試験の受験者数・合格率
一次試験
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 661人 | 395人 | 59.8% |
| 2024年度 | 677人 | 357人 | 52.7% |
| 2023年度 | 714人 | 401人 | 56.2% |
| 2022年度 | 638人 | 298人 | 46.7% |
| 2021年度 | 625人 | 405人 | 64.8% |
一次試験から二次試験まで
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 661人 | 248人 | 37.5% |
| 2024年度 | 677人 | 247人 | 36.5% |
| 2023年度 | 714人 | 248人 | 34.7% |
| 2022年度 | 638人 | 154人 | 24.1% |
| 2021年度 | 625人 | 215人 | 34.4% |
一次免除者
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 100人 | 78人 | 78.0% |
| 2024年度 | 139人 | 97人 | 69.8% |
| 2023年度 | 131人 | 78人 | 59.5% |
| 2022年度 | 178人 | 91人 | 51.1% |
| 2021年度 | 154人 | 94人 | 61.0% |
細胞検査士試験の難易度
臨床検査技師系の資格の中でも専門性が高めです。臨床検査技師としての基礎知識に加えて、細胞診に関する知識と標本を読み取る力が求められるため、単なる暗記だけでは対応しにくい試験です。
この試験では、婦人科、呼吸器、消化器、泌尿器、体腔液、乳腺、甲状腺など、さまざまな検体に出現する細胞を理解する必要があります。正常細胞、炎症性変化、良性病変、異形成、悪性腫瘍などを見分ける力が必要になるため、細胞の形態や染色性、核の変化、細胞配列などを細かく判断できるかが重要になります。
特に難しく感じやすいのは、顕微鏡で見た細胞像から病変の可能性を読み取る部分です。知識として病名を覚えていても、実際の標本では典型例ばかりではなく、炎症や変性、採取状態の影響で判断が難しくなることがあります。似た細胞像を区別する力が必要になるため、細胞診の実務経験や標本観察の経験が大きく影響します。
また、細胞診では見落としを防ぐ注意力も重要です。多数の細胞の中から異常細胞を探し出し、良悪性の判断につなげる必要があるため、集中力と観察力が求められます。病理学や腫瘍学の知識だけでなく、実際の細胞像をどれだけ見慣れているかが難しさに直結します。
臨床検査技師として病理・細胞診分野に関わっている人は、実務と結びつけながら理解しやすい資格です。一方で、細胞診の経験が少ない人は、検体ごとの特徴、細胞形態、良性・悪性の鑑別、標本の見方を体系的に整理する必要があり、取得までのハードルはやや高めです。
資格を活かせる仕事
病院、大学病院、検査センター、病理検査室、健診センター、臨床検査会社、研究機関などがあります。特に、細胞診標本のスクリーニング、異常細胞の検出、病理医への報告、がん検診に関わる検査業務では、資格で学んだ知識と技能を直接活かしやすいでしょう。
細胞診は、がんの早期発見や診断補助に関わる重要な検査です。顕微鏡で細胞の形や染まり方、核の異常などを細かく確認するため、高い集中力、観察力、正確な判断力が求められます。わずかな異常を見逃さないことが、早期発見や適切な治療につながる点で、医療現場で重要な役割を担います。
この資格は、臨床検査技師の専門性を高める資格として評価されやすいです。臨床検査技師免許を持ち、病理・細胞診分野で働きたい人にとっては、キャリアアップや専門業務への配置につながりやすい資格といえます。
一方で、細胞検査士だけで就職・転職が大きく有利になるというよりは、臨床検査技師としての実務経験や病理検査の経験と組み合わせて活かす資格です。細胞診は専門性が高いため、標本作製、染色、病理検査、顕微鏡観察の経験を積むことも重要になります。
細胞検査士試験は、がん検診や病理検査、細胞診の分野で専門性を高めたい臨床検査技師に向いています。臨床検査技師としての経験に加えて、病理検査、認定病理検査技師、がん関連検査、遺伝子検査などの知識と組み合わせることで、検査医療の分野でより活かしやすくなるでしょう。

