CADトレース技能審査とは、日本工業規格(JIS)に基づき、設計ツールであるCADを利用して製図する作業を評価する試験で、「中央職業能力開発協会」が厚生労働省の認定を受け、実施している試験です。
試験は、「建築部門」と「機械部門」に分かれており、それぞれで、上級、中級、初級の区分に分かれています。CADトレースの業務に携わる多くの人が受験しており、合格者には「CADトレース技士」の称号が与えられます。
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基本情報
資格名 | CADトレース技能審査 |
---|---|
主な対象者 |
小学生
中学生
高校生
大学生
専門生
社会人
その他
|
資格種別 | 公的資格 |
ジャンル | IT・パソコン |
資格区分 | 機械部門(上級・中級・初級)、建築部門(上級・中級・初級) |
受験資格 | 【上級】 ・実務経験、1年以上 ・中級取得後、実務経験3ヶ月以上 のいずれか 【中級】 ・実務経験、6ヶ月以上 ・同一部門の初級取得後、実務経験6ヶ月以上 or 職業訓練を修了又は受けている or 学校教育法による大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程、専修学校又は各種学校においてCADトレースに関する学科を修めて卒業した方又はCADトレースに関する学科に在学している ・中央協会会長が指定する3ヶ月(300時間)以上の関連する教育訓練課程を修了した者又は受講している のいずれか 【初級】 ・CADトレースに関する業務に従事(予定) |
試験日程 | 2月中旬、9月中旬(年2回) ※建築は土曜日、機械は日曜日に実施 |
試験場所 | 全国各地 |
試験内容 | 筆記試験、実技試験) |
免除科目 | 学科か実技のどちらかに合格した場合は、2年間、合格した区分が申請により免除 |
合格点 | 【筆記試験】30点満点中、21点以上 【実技試験】100点満点中、70点以上 |
受験料 | 【上級】15,430円【中級】13,370円 【初級】10,290円 |
登録・更新 | – |
問い合わせ | 中央職業能力開発協会 |
関連資格 |
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試験日
2018年後期
【試験日】2018年2月10日(土)~11日(日)
【申込期間】2017年11月20日~12月1日
【合格発表】2018年3月26日
試験内容
機械部門(上級)
【筆記試験】
製図一般、機械加工全般に関する基礎及び関係法規、CADアプリケーションソフトの活用、CADシステムの活用等について問う
【実技試験】
CADを使用して、尺度「1:1」の正投影図で示された可動部のある「組立図」及び「複数の部品図」をもとに、尺度「1:1」でトレースを行う。また、「仕様変更」による「公式等」に基づく作図及び寸法記入、並びに、「組立図」と「部品図」との相互判断による未完成部の作図を行う
機械部門(中級)
【筆記試験】
機械部門の上級と同じ
【実技試験】
CADを使用して、尺度「1:1」の正投影図で示された可動部のある「組立図」及び「完成した複数の部品図」をもとに、尺度「1:1」でトレースを行う。また、「組立図」については、可動部における指定状態の作図及び寸法記入を行う
機械部門(初級)
【筆記試験】
機械部門の上級と同じ
【実技試験】
CADを使用して、尺度「1:1」の正投影図で示された「関連性のある2つの完成した部品図」をもとに、尺度「1:1」でトレースを行う
建築部門(上級)
【筆記試験】
製図一般、建築全般に関連する基礎及び関係法規、CADアプリケーションソフトの活用、CADシステムの活用等について問う
【実技試験】
CADを使用して、RC構造の建物における1エリアを対象とし、尺度「1:50」の「平面図」及び「仕上表・建具表」をもとに、尺度「1:30」の「平面詳細図」を作成する。また、作成に当たっては、尺度に応じた「オブジェクト(柱、壁、建具等)」の描画、「下地・壁」等の仕上げ方法の表記を行う
建築部門(中級)
【筆記試験】
建築部門の上級と同じ
【実技試験】
CADを使用して、一戸建ての専用住宅を除くRC構造の特殊建築物(※)を対象とし、尺度「1:100」で示された、「平面図」及び「立面図(その1)」をもとに、尺度「1:100」でトレースを行う。また、「平面図」及び「立面図(その1)」をもとに、指定方向からの「立面図(その2)」の描画等を行う
建築部門(初級)
【筆記試験】
建築部門の上級と同じ
【実技試験】
CADを使用して、一戸建ての専用住宅を除くRC構造の特殊建築物(※)を対象とし、尺度「1:100」で示された「平面図」をもとに、尺度「1:100」でトレースを行う
受験者数・合格率
【機械部門】
機械部門上級:28%、機械部門中級:42%、機械部門初級:39%ほど
【建築部門】
建築部門上級:25%、建築部門中級:45%、建築部門初級:55%ほど
試験の難易度
3つの区分がありますが、初級であれば実務未経験者を対象にした試験になるので、一般的な図面をトレースができる能力があれば簡単に合格することが可能です。
中級と上級に関しても、CADを利用した実務経験があれば難しい試験はありません。
試験の勉強法
当協会のホームページ内に受験対象テキスト(過去問)が紹介されているのでご確認下さい。
筆記試験に関しては、主にJIS製図が出題されるので、JISハンドブックの中身を多少は理解しておいた方が良いでしょう。値段は高いですが、実務で使えるテキストなので、設計職を目指すのであれば持っておいて損は無いと思います。
(ちなみに、管理人である私は元機械設計従事者です)
資格を活かせる仕事
機械部門であれば自動車や航空機関係などでCADオペレーター、建築部門であれば建築設計事務所などで設計補助など活躍できる場所は多数あります。
但し、どの業界でも言えることですが、実務経験が優先されるので、この資格を取得しただけで転職活動に有利になることはあまりありません。
技術士などの国家資格に比べると、当然ですが企業認知度も低いので、採用担当ですらこの資格の存在をしらない人も多くいます。