ビオトープ管理士試験とは
自然環境を保全・再生・創出するために必要な知識と技術を認定する民間資格です。ビオトープは、野生生物が生息・生育できる空間を意味し、地域の自然環境や生態系に配慮したまちづくり、緑地整備、河川・公園・学校ビオトープなどに関わる知識が問われます。
資格区分は、ビオトープ計画管理士とビオトープ施工管理士に分かれており、それぞれ1級と2級があります。計画管理士は、地域計画や事業計画、自然環境の保全・再生に関する企画・設計寄りの内容、施工管理士は、ビオトープの施工や管理、現場での技術的な対応に関する内容が中心です。
試験では、生態学、ビオトープ論、環境関連法、計画部門、施工部門などが出題されます。1級では筆記試験に加えて口述試験も行われ、より高度な専門知識や実務的な判断力が求められます。
造園会社、建設コンサルタント、環境コンサルタント、建設会社、地方公共団体、自然再生事業、環境教育、緑地管理などで活用しやすい資格です。法令上の独占業務がある資格ではありませんが、自然環境や生物多様性に配慮した計画・施工に関わりたい人に向いています。
ビオトープ管理士試験の基本情報
| 資格種別 | 民間資格 |
| ジャンル | 環境・自然 |
| 資格区分 | 1級ビオトープ計画管理士、1級ビオトープ施工管理士、2級ビオトープ計画管理士、2級ビオトープ施工管理士 |
| 受験資格 | 2級は制限なし。1級は学歴、保有資格、実務経験などにより異なる |
| 試験日程 | 年1回。筆記試験は例年11月ごろ、1級の口述試験は翌年1月ごろに実施 |
| 試験方法 | 筆記試験で実施。1級は筆記試験合格者を対象に口述試験も実施 |
| 免除科目 | 一部免除認定校の学生・卒業生は、2級の一部試験が免除される場合があります。また、1級筆記試験合格者は、一定の条件で再受験時の扱いが異なる場合があります |
| 試験場所 | 全国の指定試験地。サテライト会場やキャンパス受験が設けられる場合もあります |
| 受験料 | 1級:11,300円/2級:7,200円 |
| 登録・更新 | なし |
| 問い合わせ | 公益社団法人 日本生態系協会 |
| 関連資格 | こども環境管理士 森林インストラクター グリーンアドバイザー 環境経営士 環境カオリスタ検定 |
ビオトープ管理士試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 筆記試験:11月1日 | 6月1日~9月14日 | 筆記試験:12月24日 |
| 口述試験:1月16日 | 1級筆記試験合格者が対象 | 最終:2月22日 |
ビオトープ管理士試験の試験内容
1級は、筆記試験と口述試験で構成されています。筆記試験では、択一問題、記述問題、小論文が出題されます。2級は筆記試験のみで、択一問題と小論文が出題されます。
自然生態系の保全・復元・創出に関する知識を中心に、生態学、ビオトープ論、環境関連法、計画管理、施工管理などが問われます。
出題範囲
1級ビオトープ計画管理士
自然生態系の保全・復元・創出を目的とした計画、設計、地域計画、都市計画、農村計画、土地利用計画などが出題されます。
生態系の仕組みを理解したうえで、地域の自然環境や土地利用、野生生物の生息環境を踏まえた計画を立てる力が問われます。記述問題や小論文では、知識だけでなく、ビオトープ計画に関する考え方や判断力も確認されます。
1級ビオトープ施工管理士
ビオトープの施工、維持管理、現場管理、自然環境に配慮した工法、植生管理、水辺づくり、土壌、材料、施工時の安全管理などが出題されます。
計画内容を実際の現場で形にするため、施工方法や管理方法を理解しているかが問われます。記述問題や小論文では、施工現場での課題、自然環境への配慮、維持管理の考え方などを文章で説明する力が必要です。
2級ビオトープ計画管理士
生態学、ビオトープ論、環境関連法に加えて、計画管理に関する基礎知識が問われます。
自然環境の保全、野生生物の生息環境、地域計画、土地利用、自然再生、環境配慮型のまちづくりなど、ビオトープ計画に必要な基本的な考え方を理解しているかが確認されます。
2級ビオトープ施工管理士
生態学、ビオトープ論、環境関連法に加えて、施工管理に関する基礎知識が問われます。
水辺、緑地、植栽、土壌、施工方法、維持管理、安全管理など、ビオトープを整備・管理するための基本事項が出題されます。
共通科目
生態学、ビオトープ論、環境関連法が共通科目です。
生態学では、生態系の構成、生物と環境の関係、食物連鎖、遷移、生物多様性などが問われます。ビオトープ論では、ビオトープの理念、保全・復元・創出の考え方、地域環境との関係などが中心です。環境関連法では、自然環境や野生生物の保護に関係する法制度が出題されます。
試験科目と出題数
1級・2級ともに、択一問題は50問です。内訳は、生態学10問、ビオトープ論10問、環境関連法10問、専門科目20問です。専門科目は、計画管理士では計画部門、施工管理士では施工部門から出題されます。
1級は、択一問題50問に加えて、記述問題4問と小論文1問が出題されます。1級の筆記試験合格者には、面接形式の口述試験も行われます。
2級は、択一問題50問と小論文1問で実施されます。口述試験はありません。
合格基準
択一問題は、各科目で60%以上の正答が必要です。総得点だけでなく、生態学、ビオトープ論、環境関連法、専門科目のそれぞれで基準を満たす必要があります。
1級の記述問題は、4問すべてで合格評価を得る必要があります。小論文では、ビオトープ管理士としての意志、信念、知識の内容が適切かどうかが確認されます。
1級の口述試験では、筆記試験で確認された知識に加えて、1級ビオトープ計画管理士または1級ビオトープ施工管理士として適切な考え方や対応ができるかが判定されます。
ビオトープ管理士試験の受験者数・合格率
1級ビオトープ管理士
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2025年度 | 32.9% |
| 2024年度 | 約31% |
| 2023年度 | 約31% |
| 2022年度 | 約33% |
| 2021年度 | 28.8% |
2級ビオトープ管理士
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2025年度 | 52.1% |
| 2024年度 | 約60% |
| 2023年度 | 約57% |
| 2022年度 | 約44% |
| 2021年度 | 50.5% |
ビオトープ管理士試験の難易度
ビオトープ管理士試験は、自然環境や生態系、造園・土木・環境保全に関心がある人でも、級によってはしっかり対策が必要な試験です。2級は基礎知識を中心に取り組みやすい一方、1級では計画・施工・管理に関する実務的な理解も求められるため、難しさが増します。
負担になりやすいのは、生きものや植物の知識だけでなく、地域の自然環境をどのように保全・再生するかまで考える必要がある点です。生態系、植生、野生動物、水辺環境、外来種、自然再生、環境教育、土地利用など、幅広いテーマが関係します。
また、ビオトープづくりでは、単に自然を残すだけでなく、場所の条件に合った計画や管理が重要になります。水辺、草地、樹林、湿地などの環境をどう整え、どのように維持していくかを理解していないと、知識が断片的になりやすいでしょう。
造園、土木、環境調査、自然保護活動、学校ビオトープ、地域の環境活動などに関わっている人は、実務や活動経験と結びつけながら理解しやすい資格です。一方で、自然環境分野に触れた経験が少ない人は、生態系の考え方や動植物、環境保全の用語に慣れるまで少し負担を感じやすいでしょう。
ビオトープ管理士試験の勉強法
生態系、動植物の生息環境、水辺・森林・草地などの環境特性、外来種、里山、自然再生などを重点的に確認しておくことが大切です。単に用語を覚えるだけでなく、生きものがどのような環境で暮らし、どのように保全・再生していくのかをイメージしながら学ぶと理解しやすくなります。
計画部門では、地域の自然環境をどう保全・再生するか、土地利用やまちづくりとどう結びつけるかが重要になります。施工部門では、水辺づくり、植栽、土壌、造成、維持管理など、実際の現場での施工や管理方法を整理しておきましょう。
試験対策では、過去問や演習問題を使って出題形式に慣れることが効果的です。生態系や法制度、環境保全に関する用語は混同しやすいため、分野ごとにまとめて復習すると知識が定着しやすくなります。
ビオトープ管理士試験は、造園・土木・環境保全の知識がある方でも、生態系を守る視点で知識を整理する必要があります。基本的には、テキストで基礎を固め、生態学、自然環境保全、計画・施工、維持管理、関連法制度を重点的に復習する勉強法がおすすめです。
資格を活かせる仕事
造園会社、建設コンサルタント、環境コンサルタント、設計事務所、自治体の環境・公園・緑地部門、自然公園、学校や教育施設、NPO、地域の環境保全団体などがあります。特に、自然環境に配慮した公園づくり、河川や湿地の再生、学校ビオトープの整備、緑地管理、生きものがすみやすい環境づくりに関わる仕事では、資格で学んだ知識を活かしやすいでしょう。
ビオトープは、単に池や緑地を作るだけではなく、その地域に合った生きものや植物、周辺環境、人との関わりまで考える必要があります。そのため、生態系への理解に加えて、計画づくり、維持管理、地域住民や利用者への説明、環境教育の視点も重要になります。
一方で、ビオトープ管理士だけで就職・転職が大きく有利になる資格ではありません。環境保全や自然再生の分野は求人が限られており、資格単体で仕事に直結するケースは多くありません。実務では、造園、土木、環境調査、設計、行政対応、地域活動などの経験も重視されます。
ビオトープ管理士試験は、自然環境の保全や生物多様性、環境教育、緑地づくりに関わりたい人に向いています。造園施工管理技士、技術士、森林インストラクター、樹木医、環境計量士、グリーンセイバーなどと組み合わせることで、自然環境・緑化・地域保全の分野でより活かしやすくなるでしょう。

