マンション管理士試験とは
マンション管理士試験は、マンション管理士になるために必要な国家試験です。マンション管理士は、管理組合の運営、管理規約、長期修繕計画、区分所有法、建物の維持管理などについて、専門的な立場から助言や支援を行う資格です。
試験では、マンション管理に関する法令、管理組合の運営、建物・設備の維持管理、管理適正化に関する知識などが幅広く問われます。マンションの管理には法律、会計、建築設備、修繕計画など複数の知識が関わるため、単なる暗記だけでなく、制度や実務のつながりを理解することが重要です。
マンション管理会社、管理組合支援、不動産会社、建物管理会社などで活用しやすい資格です。独占業務がある資格ではありませんが、マンション管理に関する専門性を示しやすく、管理業務主任者や宅地建物取引士とあわせて取得することで、不動産・建物管理分野での知識を広げやすくなります。
マンション管理士試験の基本情報
| 資格種別 | 国家資格(名称独占資格) |
| ジャンル | 建築・不動産 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | なし |
| 試験日程 | 年1回。例年11月下旬ごろに実施。 |
| 試験方法 | 筆記試験。四肢択一式・50問・2時間 |
| 免除科目 | 管理業務主任者試験合格者は、申請により一部問題が免除されます。 |
| 試験場所 | 札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市とその周辺地域。 |
| 受験料 | 9,400円 |
| 登録・更新 | 試験合格後、マンション管理士として業務を行うには、マンション管理センターへの登録が必要。登録後は「マンション管理士」の名称を使用できます。 |
| 問い合わせ | 公益財団法人 マンション管理センター |
| 関連資格 | 宅建士 管理業務主任者 ファイナンシャル・プランニング技能士 不動産鑑定士 |
マンション管理士試験の試験日
2025年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 11月30日 | 郵送:8月1日~8月29日 インターネット:8月1日~9月30日 | 1月9日 |
マンション管理士試験の試験内容
四肢択一式の筆記試験で実施されます。出題数は50問で、管理業務主任者試験の合格者など、一部免除の対象者は5問免除されます。
出題は、マンション管理に関する法令・実務、管理組合の運営、マンションの建物・附属施設の構造と設備、マンション管理適正化法などから行われます。記述式問題はなく、すべてマークシート方式で解答します。
出題範囲
マンション管理に関する法令・実務
区分所有法、民法、借地借家法、被災マンション法、不動産登記法など、マンション管理に関係する法律知識が問われます。
特に区分所有法は重要で、管理組合、共用部分、専有部分、規約、集会、決議、管理者、建替えなどを正確に理解しておく必要があります。
管理組合の運営
マンション標準管理規約、管理組合の会計、長期修繕計画、管理費・修繕積立金、総会・理事会の運営などが出題されます。
管理組合の意思決定や日常管理に関わる内容が中心で、規約や管理実務に沿って判断できるかが問われます。
マンションの建物・附属施設
建築基準法、建築設備、構造、給排水設備、電気設備、消防設備、劣化診断、修繕工事などが出題されます。
建物の構造や設備の仕組みだけでなく、維持管理や修繕に関する基本知識も確認しておく必要があります。
マンション管理適正化法
マンション管理士制度、管理計画認定制度、マンション管理業者、管理業務主任者、重要事項説明、管理事務の委託契約などが問われます。
一部免除の対象者は、この分野に相当する5問が免除されます。
試験科目と出題数
出題数は50問、試験時間は2時間です。一部免除者は45問、試験時間は1時間50分です。
出題数は年度によって多少変動しますが、一般的には、法令関係、管理組合運営、建築・設備、マンション管理適正化法から出題されます。
合格基準
合格基準点は試験回ごとに決定されます。固定の合格点ではなく、その年の問題難易度などを踏まえて合格点が決まります。
50問すべてが1問1点で採点され、一部免除者は免除5問を正解扱いとして判定されます。科目ごとの足切りはありません。
マンション管理士試験の受験者数・合格率
| 年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 13,098人 | 10,984人 | 1,210人 | 11.0% |
| 令和6年度 | 13,124人 | 10,955人 | 1,389人 | 12.7% |
| 令和5年度 | 13,169人 | 11,158人 | 1,125人 | 10.1% |
| 令和4年度 | 14,342人 | 12,209人 | 1,402人 | 11.5% |
| 令和3年度 | 14,562人 | 12,520人 | 1,238人 | 9.9% |
マンション管理士試験の難易度
マンション管理士試験は、不動産・管理系資格の中でも難しめの試験です。受験資格はなく誰でも受験できますが、出題範囲が広く、法律・管理実務・建築設備・会計などを横断して学ぶ必要があるため、軽い暗記だけで合格を狙うのは難しい試験です。
難しさの理由は、区分所有法や標準管理規約、マンション管理適正化法など、マンション管理に関する法律知識を正確に理解する必要があるためです。特に区分所有法は出題の中心になりやすく、管理組合、総会、理事会、規約、共用部分、建替えなど、似た用語や制度を整理して覚える必要があります。
また、マンションの維持管理や建築設備に関する知識も求められます。給排水設備、電気設備、消防設備、長期修繕計画、大規模修繕など、法律だけでなく建物そのものに関する内容も出題されるため、法務系の勉強だけでは対応しきれません。建築や設備に慣れていない人は、この分野で苦労しやすいでしょう。
さらに、会計や管理組合の運営に関する問題も出題されます。管理費や修繕積立金、収支予算、決算、滞納対応など、実務に近い内容も含まれるため、単語を覚えるだけでなく、管理組合の運営をイメージしながら学ぶことが大切です。
宅建士や管理業務主任者の学習経験がある人は、法律や不動産関連の基礎知識を活かしやすい資格です。ただし、マンション管理士は出題内容が細かく、合格ライン付近での競争も厳しくなりやすいため、過去問演習を繰り返しながら、区分所有法・標準管理規約・管理実務を重点的に固める必要があります。
マンション管理士試験の勉強法
区分所有法、マンション標準管理規約、民法、建築・設備、マンション管理適正化法など、幅広い知識が問われる試験です。まずはテキストで全体像をつかみ、過去問を中心に出題傾向を押さえていきましょう。
特に重要なのは、区分所有法と標準管理規約です。総会、理事会、管理組合、規約、共用部分、議決要件などは頻出分野なので、条文や規約の内容を整理しながら覚えることが大切です。
民法は、契約、不法行為、時効、相続、代理などが関係します。法律の考え方に慣れていない方は、過去問を解きながら「誰にどのような権利や義務があるのか」を具体的に整理すると理解しやすくなります。
建築・設備分野では、給排水設備、電気設備、消防設備、長期修繕計画、大規模修繕などが出題されます。専門用語が多いため、図や表を使ってイメージしながら覚えるとよいでしょう。
マンション管理士試験は合格率が低く、暗記だけで突破しにくい試験です。宅建や管理業務主任者の学習経験がある方は関連知識を活かしやすいですが、初学者は過去問演習を繰り返し、区分所有法・標準管理規約・民法を重点的に固める勉強法がおすすめです。
マンション管理士試験のお勧めテキスト
2026年版 出る順マンション管理士 合格テキスト
マンション管理士試験の基本知識を体系的に学べるLECの定番テキストです。区分所有法、標準管理規約、民法、建築・設備、マンション管理適正化法などを整理して学べます。独学で全体像をつかみたい人に向いています。
2026年度版 マンション管理士 項目別過去8年問題集
TAC出版の過去問題集です。直近8年分の本試験問題をテーマ別に収録し、さらに購入者特典で2年分のWebダウンロードも利用できます。過去10年分を演習できるため、テキスト学習後の仕上げに使いやすい教材です。
2026年版 出る順マンション管理士 分野別過去問題集
LECの分野別過去問題集です。8年分の過去問に加え、購入者特典で2年分の過去問も利用できるため、合計10年分の問題演習ができます。苦手分野を確認しながら、出題傾向に沿って復習したい人におすすめです。
資格を活かせる仕事
マンション管理会社、不動産管理会社、管理組合の相談業務、マンション管理コンサルタント、不動産会社、建築・修繕関連会社、行政や自治体の住宅相談窓口などがあります。特に、管理組合の運営支援、管理規約の見直し、大規模修繕の相談、管理費・修繕積立金の確認、住民トラブルの予防などに関わる仕事では、資格で学んだ知識を活かしやすいでしょう。
マンションは築年数が経つほど、修繕費の不足、建物の老朽化、管理組合の担い手不足、住民間の意見調整などの課題が出やすくなります。そのため、法律・管理・建物維持の知識を持って助言できる人材は、マンション管理の現場で役立ちます。
一方で、マンション管理士だけで就職・転職が大きく有利になるとは言いにくいです。名称の印象ほど求人が多い資格ではなく、独占業務もありません。マンション管理会社では、管理業務主任者の方が実務上必要とされやすく、採用でも評価されやすい場面があります。
マンション管理士試験は、マンション管理に関する専門知識を深める資格としては有用ですが、資格単体で仕事を得るのは簡単ではありません。管理業務主任者、宅地建物取引士、建築・修繕に関する実務経験と組み合わせることで、マンション管理や不動産管理の仕事でより活かしやすくなる資格といえるでしょう。

