マンション維持修繕技術者試験とは
マンションの維持・修繕に関する知識と技術を認定する民間資格です。建物や設備の劣化状況を把握し、長期修繕計画、修繕工事、改修提案、維持保全などに適切に対応できる技術者を育成することを目的としています。
試験では、マンションの建築構造、設備、劣化診断、修繕工事、長期修繕計画、管理組合との関係、関係法令など、維持修繕に必要な幅広い知識が問われます。択一式試験と記述式試験で構成されており、単なる知識だけでなく、実務に即した判断力も求められます。
マンション管理会社、建物管理会社、修繕工事会社、設計事務所、建設会社、不動産管理会社などで活用しやすい資格です。マンションの大規模修繕や長期修繕計画に関わる人、管理組合への技術的な助言を行う立場を目指す人に向いています。
マンション維持修繕技術者試験の基本情報
| 資格種別 | 民間資格 |
| ジャンル | 建築・不動産 |
| 資格区分 | なし |
| 受験資格 | 学歴、保有資格、マンションの維持修繕に関する実務経験などにより異なる。建築士、施工管理技士、管理業務主任者、マンション管理士などの資格保有者や、所定の実務経験者、専門課程研修修了者などが対象 |
| 試験日程 | 年1回。例年9月ごろに実施 |
| 試験方法 | 筆記試験。四肢択一式と記述式で実施 |
| 免除科目 | なし |
| 試験場所 | 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の指定試験地 |
| 受験料 | 11,000円 |
| 登録・更新 | 試験に合格し、登録手続きを行うことでマンション維持修繕技術者として登録されます。登録の有効期間は5年間で、更新には所定の更新手続きが必要 |
| 問い合わせ | 一般社団法人 マンション管理業協会 |
| 関連資格 | マンション管理士 管理業務主任者 建築設備士 |
マンション維持修繕技術者試験の試験日
2026年度試験
| 試験日 | 申込期間 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 9月6日 | 6月5日~7月1日 | 10月29日 |
マンション維持修繕技術者試験の試験内容
学科試験で実施されます。マンションの維持修繕に必要な建築、設備、調査診断、長期修繕計画、修繕設計、施工管理、関係法令などが問われます。
建物や設備の劣化状況を把握し、適切な修繕方法を判断するための知識が中心です。マンションの共用部分を対象とした維持管理や大規模修繕工事に関する内容が多く、建築・設備・法規・管理組合運営の知識を横断的に理解しておく必要があります。
出題範囲
建築・設備の維持修繕
外壁、屋上防水、バルコニー、廊下、階段、鉄部、建具、給排水設備、電気設備、消防設備、昇降機など、マンションの共用部分に関する維持修繕が問われます。
部位ごとの劣化症状、点検方法、修繕周期、補修工法、更新工事の考え方を整理しておく必要があります。建築部分だけでなく、設備の劣化や更新時期についても理解が求められます。
調査診断
建物や設備の劣化状況を把握するための調査方法が出題されます。目視調査、打診調査、赤外線調査、コンクリート中性化試験、塩化物量調査、防水層調査、配管調査などが対象になります。
調査結果をもとに、劣化原因や修繕の必要性を判断する力が重要です。単に劣化の名称を覚えるだけでなく、どの調査方法がどの部位や劣化現象に適しているかを理解しておく必要があります。
長期修繕計画・修繕設計
長期修繕計画、修繕周期、修繕積立金、大規模修繕工事、工事項目、概算工事費、資金計画などが問われます。
マンションの将来的な維持管理に必要な修繕内容を整理し、適切な時期に必要な工事を計画する考え方が重要です。修繕設計では、調査診断結果をもとに、工事範囲、仕様、工法、数量、見積り条件などを検討する力が求められます。
施工管理
大規模修繕工事の工程管理、品質管理、安全管理、居住者対応、仮設計画、工事監理、検査、引渡しなどが出題されます。
マンションでは居住者が生活しながら工事を行うため、騒音、振動、粉じん、通行制限、洗濯物制限、バルコニー使用制限などへの配慮も必要です。施工上の安全確保と居住者対応をあわせて理解しておくことが大切です。
関係法令・管理組合運営
区分所有法、マンション管理適正化法、建築基準法、消防法、建設業法、標準管理規約などが出題範囲に含まれます。
修繕工事を進める際には、管理組合の意思決定、総会決議、理事会運営、管理規約、工事発注、契約、設計監理方式などが関係します。技術面だけでなく、管理組合の手続きや法令上の基本事項も確認しておく必要があります。
試験科目と出題数
試験は学科試験として実施されます。出題形式は四肢択一式で、マンションの維持修繕に関する建築、設備、調査診断、長期修繕計画、修繕設計、施工管理、法令などから出題されます。
出題数は50問、試験時間は120分です。建築・設備の劣化や修繕工法に加えて、管理組合の運営や大規模修繕工事の進め方も出題範囲に含まれます。
合格基準
合格基準は試験回ごとに決定されます。固定の合格点ではなく、その年の問題難易度や得点状況を踏まえて合格点が設定されます。
科目ごとの足切りはなく、総得点で合否が判定されます。建築・設備・調査診断・長期修繕計画・施工管理・法令を偏りなく確認しておくことが大切です。
マンション維持修繕技術者試験の合格率・合格点
| 年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年度 | 1,132人 | 901人 | 233人 | 25.9% |
| 2024年度 | 1,323人 | 1,043人 | 287人 | 27.5% |
| 2023年度 | 1,439人 | 1,175人 | 318人 | 27.1% |
| 2022年度 | 1,640人 | 1,321人 | 332人 | 25.1% |
しかく姫近年では合格率が25~28%になるように合格点が調整されているんですかね??
マンション維持修繕技術者試験の難易度
マンション維持修繕技術者試験は、建築・設備・マンション管理・大規模修繕に関わる実務経験がある人でも、しっかり対策が必要な試験です。建物の劣化診断、修繕計画、工事管理、設備更新、法規などを幅広く理解する必要があり、マンション管理の実務知識だけでは対応しにくい部分があります。
難しさの理由は、マンションの維持修繕に関する知識が多岐にわたるためです。外壁、屋上防水、鉄部塗装、給排水設備、電気設備、消防設備、共用部分、長期修繕計画、大規模修繕工事など、建物全体を見て劣化状況や修繕方法を判断する力が求められます。
特に負担になりやすいのは、建築と設備の両方を横断して学ぶ必要がある点です。建築工事に詳しい人でも給排水や電気設備に弱い場合があり、反対に設備管理の経験がある人でも外壁や防水、構造部分の知識が不足しやすくなります。普段関わっていない分野は、重点的に補う必要があります。
また、修繕工事では、単に不具合を見つけるだけでなく、原因を整理し、適切な修繕方法や工事時期を判断する力も重要です。長期修繕計画や修繕積立金との関係、居住者対応、工事中の安全管理など、実務に近い視点も問われるため、知識を現場の流れと結びつけて理解しておくことが大切です。
マンション管理会社、設計事務所、施工会社、設備管理会社などで維持修繕に関わっている人は、実務と結びつけながら学習しやすい資格です。一方で、マンションの大規模修繕や建物診断に触れた経験が少ない人は、劣化診断・修繕計画・工事管理・設備更新を体系的に整理しておく必要があります。
資格を活かせる仕事
マンション管理会社、建物管理会社、修繕工事会社、設計事務所、建設会社、改修工事会社、設備工事会社、マンション管理組合向けのコンサルティング業務などがあります。特に、大規模修繕工事、長期修繕計画の作成、建物劣化診断、修繕積立金の確認、管理組合への説明、工事内容の調整などに関わる仕事では、資格で学んだ知識を活かしやすいでしょう。
マンションの維持修繕では、建物の劣化状況を正しく見極めるだけでなく、管理組合や住民に分かりやすく説明し、予算や工事時期を調整する力も求められます。技術的な知識に加えて、合意形成や管理組合対応の理解がある人材は、マンション管理や改修工事の現場で評価されやすくなります。
この資格は、マンション管理や建物改修の分野では実務に結びつきやすい資格です。一方で、マンション維持修繕技術者だけで就職・転職が大きく有利になるというよりは、建築・設備・施工管理・マンション管理の実務経験と組み合わせて活かす資格です。
マンション維持修繕技術者試験は、マンション管理会社や修繕工事会社で働く人、分譲マンションの長期修繕計画や大規模修繕に関わりたい人に向いています。管理業務主任者、マンション管理士、建築士、建築施工管理技士、建築設備士などと組み合わせることで、マンション管理・修繕分野でより活かしやすくなるでしょう。

